秋の運動会シーズンを迎えているが、これまでの暑さが子どもたちの学校生活に大きな影響を与えている。この状況を受け、ある小学校では運動会プログラムの大幅な見直しを行った。賛否両論がある中、様々な課題解決の工夫を行った。
「暑さ指数」を日々測定し判断
2024年9月のカレンダーにつけられた×や▲の印。この印は、暑さにより外で体育の授業ができなかった日を示している。×は「外で体育の授業ができなかった日」、▲は「1時間目しか外で授業ができなかった日」だ。
この記事の画像(10枚)9月は「1時間目しか外で授業ができなかった日」が6日間あり、「外で体育の授業ができなかった日」が8日間もあった。この状況を受け、宮崎市のある小学校では、2024年度の運動会プログラムの大幅な見直しを行った。
10月7日、宮崎市の大淀小学校では20日の運動会を前に子どもたちが一生懸命練習を行っていた。2024年度、大淀小学校では、5月末から協議を重ねた結果、運動会のプログラムを大幅に見直した。
その理由の一つが「暑さ」だ。小中学校は、気温や湿度などから熱中症のリスクを算出した「暑さ指数」を基に、体育の授業や休み時間を屋外で過ごせるか判断している。
大淀小では1日に数回、教員が機械を使って暑さ指数を測定。
暑さ指数が31以上になると、レベルA「屋外での運動原則中止」を意味する赤い旗を掲示する。
124時間中 外でできたのは13時間
図師慶子養護教諭:
1時間目の途中から31以上になって、途中で教室もしくは体育館に行って体育を継続する流れになっていて、9月は体育が124時間ぐらいだったが実際外でできたのが13時間ぐらいというデータになっています。
小川太志校長:
6月だけをとっても、昨年度はレベルAという屋外での運動制限がほとんどなかったが、今年は6月の段階からレベルAに入っているため、去年並みの種目は無理だと思っていました。
猛烈な暑さが続き、外で運動会の練習が十分にできず、加えてコロナ禍を経て運動会が午前中のみとなり、開催時間に対して種目数が多いことも課題となっていた。
小川太志校長:
限られた時間で予定されたプログラムを消化しないといけませんので、これは子どもたちの心理面にも影響しますし、せかして「急いで」っていう形で行われていた。それを解消するという意味で種目の精選を1つの視点に設けました。
プログラム大幅削除で一抹の不安も
2023年度の大淀小学校の運動会プログラムでは、各学年で徒走・団技・表現・学年選抜リレーがあったが、2024年度は学年選抜リレーは6年生のみ。そして1年生から5年生は「団技」か「表現」のいずれかとなり、合わせて10のプログラムが削減される。
小川太志校長:
正直、精選を図った時に2023年度と比べてかなり減らしていますので、これで運動会が成立するのか。子どもたちがどう感じるのだろう、地域保護者の方がどう感じるのかなという一抹の不安はありました。
プログラムの削減に賛否意見が出る一方、大淀小学校では5年ぶりに地域の踊りである「大淀音頭」を復活させ、保護者や地域住民も運動会に参加できるよう工夫した。
こうした対応に子どもたちは…
児童:
暑いけどみんながいると楽しいです。
ほかの学年にもリレーをやってほしかったけど、大淀音頭が追加されたこともうれしいのであまり変化はない。
小川太志校長:
子どもたちの健康、体力面への配慮、保護者や地域の皆さんの運動会へのご意見や要望、折り合いをどこでつけていくかが大切。しっかりそういった意見を受け止めながら運動会を成功させたいですし、今後につなげたいと思います。
時代や気候の変化を受け入れながら、子どもたちの学びと思い出の場を守る…秋の風物詩「運動会」開催の裏には、地域とコミュニケーションを図りながら試行錯誤する学校の姿があった。
(テレビ宮崎)