東京都は住宅の断熱性能や省エネ性能の基準を独自に設定し、環境への排出物をゼロに近づけるゼロエミッションという意味の東京ゼロエミ住宅を推奨していますが、この基準が10月から変わるとともに、適合すれば最大240万円の助成金が交付されます。

9月に都内の住宅展示場を取材すると、住宅メーカーAQグループの担当者が、「東京のゼロエミ住宅。いわゆる住宅の水準を建築すると東京都から補助金が受けられる、現状、今月末まで、それに対して補助金10月から水準が変わりまして、補助金が受けられる額は、最大で240万円」と話し、10月から変わる東京ゼロミエ住宅の助成金について説明していました。

東京ゼロエミ住宅は、2030年までに東京から排出される温室効果ガス排出量を50パーセント削減する目標を掲げる東京都が2019年度から実施しているもので、断熱性能の窓や断熱材を使用したり、省エネ性能が高いエアコンや照明の使用などが求められます。

東京都のCO2排出量は家庭からが全体の3割を占めていて、東京ゼロエミ住宅が普及することで排出量の大幅な削減が期待されます。

10月1日から変わった新たな基準では、これまでより高い基準が設定され、外壁や窓、ドアの断熱性、浴槽や給湯設備、全室LED照明など設備の省エネ化がもとめられます。

新たな基準の助成金は戸建て住宅で最大240万円、集合住宅で最大200万円が交付されます。

東京都の試算では、太陽光パネルを設置しゼロエミ住宅の基準で住宅を新築した場合、およそ215万円建築費用が増えるとみられています。

その一方で、光熱費が年間で13万円削減できるほか都や国の補助もあります。

また結露が抑制されたり、ダニやカビが繁殖しにくくなるなどの効果があります。

しかし物価高騰で、建築費用が試算よりも増えることも予想されます。

住宅購入を検討している小秋元さん夫妻は、「補助金自体は魅力的。できれば導入したいが基準を満たす建築をするには採用する仕様のグレードを上げなくてはならず、予算を超えてしまう。環境によい家づくりに関して、出来る事ならしていきたいと思っています。環境にもよくかつ我々が得できるところでうまくバランスが取れたので太陽光パネルは設置する予定です」と話す。

東京ゼロエミ住宅は選択せず、太陽光パネルは設置するという事です。

AQグループの古関晟歩法人営業店長代理は、「新しい基準が10月からスタートということで、お客さまの関心がすごく増えてるなという印象です。お客様と相談しながら建築にかかる金額と、住んだ後にかかる光熱費なども比較していただいてご提案するようにしております」と語る。

東京都では毎年およそ4万棟の新築住宅が着工されますが、2022年度は都内の新築住宅の1割強にあたるおよそ4600件で東京ゼロエミ住宅の申請がありました。

都は、CO2排出削減を進めるため、大手住宅メーカーに対して、来年4月から新築住宅に太陽光パネル設置を義務付ける予定です。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。