3年前、石川県野々市市の中学生1年生の女子生徒がいじめを苦に自らの命を絶った。その後の市の第三者委員会は、22項目のいじめを認定した。こうした中、女子中学生の遺族が野々市市を相手取り7200万円余りの損害賠償を求めた裁判が金沢地裁で始まった。先日行われた第1回口頭弁論。遺族の悲痛な思いが法廷で吐露された。
教師や加害生徒への処罰求め遺族が提訴
この記事の画像(8枚)野々市市内の中学校に通っていた女子生徒は2021年2月、同じクラスの複数の女子生徒からいじめを受けていたことを理由に自殺した。これを受け2023年2月、野々市市教育委員会が設置した第三者委員会は、22項目にも及ぶいじめが継続され自殺につながったとする報告書を市に提出している。
第三者委員会の報告書で認定された22項目のいじめ。具体的には、女子生徒に対する無視や暴言、メッセージアプリのLINEで嫌悪感を示すようなメッセージを残すなどの行為だ。女子生徒は次第にクラスで孤立していき、自殺につながったとされている。
訴状などによると亡くなった女子生徒の遺族は、教師やいじめを行った生徒に処罰がないなどとして、野々市市に対し7200万円余りの損害賠償を求めている。
涙ながらに父親が訴え「責任を認めて」
9日、金沢地方裁判所で開かれた第1回口頭弁論。女子生徒の父親が涙ながらに意見陳述を行った。
女子生徒の父親:
裁判官の皆さんには娘が受けた苦痛、中学一年生の女の子が死を決意せざるをえない状況に追い込まれる思い、そして私と妻の一生消えない心の傷を理解いただき野々市市の責任を認める判決をお願いします。
一方、訴えられた野々市市は遺族の請求をすべて棄却するよう求める答弁書を提出した。裁判を傍聴した、野々市市教育委員会の大久保邦彦教育長は取材に対し「尊い命が失われて3年半が過ぎました。改めまして哀悼の意を表したいと思います。意見陳述では、お子さまを思う気持ちが現れていたと思っています。深く受け止めたいと思っています。」と述べた。
遺族はいじめを行ったとされる同級生8人に対しても民事調停を申し立て調停が不成立となった1人に対して、先月、165万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴している。
石川テレビの取材では、野々市市では、2023年9月にも同じ中学校でいじめにおける重大事態が発生したとして第三者委員会による調査が行われている。
いったいこの中学校で何が起きているのか。この中学校は、女子中学生が自殺してから一度も記者会見を開いていない。
(石川テレビ)