45年前“ハブ退治の期待の星”として約30匹を野に放つも希少動物や農作物が予想外の被害を受け“害獣”指定されていたマングースが30万匹以上駆除され、9月3日、奄美大島で「根絶宣言」が発表された。かつては“ハブ退治の期待の星”とされていたマングースだが、一体どうしてこんなことになってしまったのだろうか。その歴史を振り返る。
人気者が一転…嫌われものの“害獣”に
“ハブの天敵”と呼ばれたマングースだが、今や“害獣”となってしまったかつての人気者が、3日奄美大島で「根絶宣言」が発表された。

鹿児島県奄美大島の観光の目玉として人気を博した「ハブ対マングースの決闘ショー」だが、「動物虐待なのでは?」との声が上がるなど今では、見ることができなくなってしまった。

沖縄県でも変化が起き、2000年の映像ではハブとマングースの“決闘ショー”が“水泳競争”に変わっていた。

ハブの天敵として人気を集めたマングースは、猛毒を持つハブに噛まれる人が相次いでいた奄美大島では45年前、“ハブ退治の期待の星”としてマングース約30匹を野に放った。

しかし、その後の調査で、昼間にしか行動しないマングースが、夜行性のハブを捕食することはほとんどなく、マングースが“ハブの天敵ではない”ことが分かった。

しかも、マングースは、特別天然記念物のアマミノクロウサギやルリカケスといった希少動物たちを食べていることも分かった。
さらに、農作物も被害を受け、2000年の取材では農家の人たちから「さつまいもがほとんどやられた」「思うように農作物が作れない」といった悲痛の声が聞かれていた。
「根絶宣言」のマングース…一方で残されたハブは?
ピーク時、マングースは1万頭まで増えてしまっていた。

それを受け環境省は、2005年捕獲集団「マングースバスターズ」を結成し、本格的な駆除を開始した。人気のマングースは、一転し、嫌われものの“害獣”に転落してしまった…。

マングースの捕獲数は、この30年ほどで3万2000匹を超え、2018年を最後に捕獲数は0になっていた。

そして3日環境省は、奄美大島のマングースについて「根絶」を宣言。

ここまでにかかった予算は、人件費や罠などの費用で合わせて36億円に上った。
環境省自然環境局 植田明浩局長:
この世界的にも他に例がない・類がない根絶の事業が達成できた。

一方、残されたかつての天敵ハブは、今も奄美大島では約4800頭が捕獲されており、鹿児島県は、噛まれた場合、死亡するケースもあることから注意を呼び掛けている。
(「イット!」9月3日放送より)