各地に甚大な被害をもたらした7月の大雨から1カ月。山形・戸沢村では、県内で最も多くの人が現在も避難生活を続けている。住民に話を聞くと、「先の見えない不安」を抱えながらこの1カ月を過ごしてきたという。被災した住民からは「り災証明書」の発行を急ぐ声が聞かれた。

「疲れた…」避難所での生活

最上川がはん濫し、集落一帯が水に浸かった戸沢村蔵岡地区。
2階に迫る高さまで水が流れ込んだ。大雨の降った日、庄司輝好さんは自宅の2階に垂直避難して一夜を過ごした。

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庄司輝好さん:
逃げられないし、あとは黙って見て、笑うしかない。怖さはなくなってしまう。狐(きつね)につままれた感じ。誰も思っていないことが起きてしまった。

県内では、現在も183人が避難生活を余儀なくされている。

戸沢村の戸沢学園では、現在も100人近くが避難所での生活を余儀なくされている。大雨から1カ月がたち、避難所で生活をする人からは、「この先いつまでここで生活しなければいけないのか」と、先が見えないことへの不安の声が聞かれた。

蔵岡地区の住民は、避難所での生活に「疲れた」と話した。

自宅で生活する人も…必要なのは資金

これからの時期に心配なのが災害関連死。避難している人の健康維持が大切だ。
戸沢村には連日、各地から保健師などが派遣され活動を続けている。

8月20日に始まった仮設住宅の建設も、健康維持には重要な役割を果たす。
9月の完成を目指して作業は急ピッチで進み、26日に住宅の枠組みの設置が始まった。

蔵岡地区では、避難所ではなく自宅で生活を続けている人も多くいる。前田正弘さんもその1人だ。

自宅で生活を続けている蔵岡地区の住民「避難所暮らしは人に気を遣う」と話す
自宅で生活を続けている蔵岡地区の住民「避難所暮らしは人に気を遣う」と話す

前田正弘さん:
正直言って、避難所暮らしは人に気を遣わないといけないし、蔵岡に残ることを決めたので、家の再建をしながら頑張りたい。

被災から1カ月、今、必要な支援は何か聞くと、「やっぱり資金が欲しい。今も役場で見舞金の申請をしてきたが、何をするにしてもお金が必要」と話した。

どちらに進めば?先が見えない不安

前述の庄司さんは、自宅で風呂に入れるようにと、業者に灯油タンクの修理を依頼した。

ただし、室内など本格的な自宅の修復は全く手つかず。
その理由の1つが「り災証明書がまだ発行されていない」ことだという。

庄司輝好さん:
何事にも「り災証明が必要」と言われる。それも出ていないので手をつけられない。片付けるので精いっぱい。仮にみんなが集団移転するとなっても、「修繕費をかけた分、誰が持ってくれるのか」となるから、ある程度の道筋ができていれば、我々も直したりそのまま放棄とか、いろいろな形もあるけど、あとは行政の進め方次第。

復旧作業を進めていいのか、それともやめておくべきなのか、「どちらに進めばいいのか?先が見えないことが何よりつらい」と住民が話していたことが、被災地の現状をあらわしていると強く感じた。

(さくらんぼテレビ)

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