台風の予想進路が、日ごとに変わっている事に気づかれている方も多いであろう。
JR東日本は、台風10号の影響で計画運休の可能性を発表していたが、台風の進路変更に伴い、平常運行を予定していると新たに発表した。
この記事の画像(3枚)台風の進路が定まらないのは、台風の背中を押す上空の風が無いためだ。
台風の予想進路図を見ると、3日後、4日後、5日後の予報円が重なっている。
これは、動きが遅いというのと、予測精度が高くないことを意味する。
台風の動きが遅いと移動距離が短いため、予報円どうしが離れないのと、予測精度が高くないため、予報円が大きくなってしまうということで、3日後、4日後、5日後の予報円が重なってしまうのである。
“迷走台風”の様相…
台風の進路を決めるのは、約5000メートル上空の風だ。
富士山の山頂よりは高く、ジェット機が飛ぶ高さよりは低いあたりの風で、偏西風などの気流に流されると台風はしっかりと動く。
ところが、今回の台風10号は、台風を動かす明確な風が無く、予想進路が日ごとに変更になるという状況になっている。
26日15時の進路予想では、進路の中心を通れば九州上陸だが、東側を通れば関東上陸、西側の進路を通った場合は日本海から北陸や東北に上陸する可能性もあり、日本列島はどこに接近してもおかしくない予想だ。
コンピューター予測でも進路のバラツキが大きく、迷走台風の様相を呈している。
そして、動きが遅いので、大雨などの影響が長引く見込みで、週末にかけて警戒期間が1週間続くおそれがある。
台風動き遅く長時間の大雨
さらに、台風はこれからさらに発達して、日本列島に最接近する頃が強さの最盛期を迎える。
今年は西日本近海の海面水温が30度もあり、温水プールのような温かさで、海面から立ち上る湯気(水蒸気)が雨雲を作って、台風を発達させている。
列島に接近する段階で、強さのランクは上から2番目の「非常に強い」になり、最大瞬間風速は60メートルを予想している。これは家が倒壊する場合があるほどの暴風で、飛んでくる物があれば、命にかかわるため、暴風域内では外出を避けて頂きたい。
また、温水プールのような温かい海からの湯気で、雨雲が次々に発生するため、大雨となる。
台風の動きが遅いため、大雨が長時間続くのと、台風の反時計回りの回転が山の南東側の地域で強制的な上昇気流を起こすため、積乱雲が継続的に発生する状況になる。
このメカニズムは、台風から離れた地域でも起きえる。
日本気象協会による今後72時間に予想される降水量予想では、九州南部、四国、紀伊半島のそれぞれ多い所で400ミリ以上となり、いずれも山の南東側である。
特に宮崎県や鹿児島県では、600ミリ以上を予想している所がある。
記録的な大雨になるエリアも予想されている。
このため、土砂災害、浸水、河川氾濫、高潮、暴風に警戒して頂きたい。