日本中が沸いた歴史的快挙。柔道男子81キロ級永瀬貴規選手(30)は、東京オリンピックに続き、パリでも金メダルに輝きました。
81キロ級での連覇はオリンピック史上初の偉業です。

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五輪連覇を達成した永瀬貴規選手:
オリンピックという舞台を2回勝ち抜くことができて本当に幸せなことだなと思います。
勝てない時期が続き、つらい日々でしたが、周りの人に支えられてここまで来られたので、本当に感謝したいです。

世界に知らしめた“永瀬の柔道”。
しかし、永瀬選手のパリへの道のりは順風満帆ではありませんでした。

(東京五輪81キロ級金メダル 永瀬貴規選手)
(東京五輪81キロ級金メダル 永瀬貴規選手)

2016年リオでの銅メダルに続き、前回の東京オリンピックで手にした金メダル。

このころの永瀬選手について、共に切磋琢磨してきた、金メダリストの大野将平さんは、こう語ります。

(東京五輪73キロ級金メダル 大野将平氏)
(東京五輪73キロ級金メダル 大野将平氏)

東京五輪73キロ級金メダリスト 大野将平氏:
自分の階級を1つあげて永瀬選手と(パリ五輪)の代表の座を争うということもほんの少しだけ考えたんですけど、僕も後輩に負けるのはきついので(挑むのは)やめさせていただきました。

リオ、東京とオリンピック連覇を成し遂げた大野さんが「現役最強」と評する永瀬さんの柔道。

「現役最強」といわれる柔道の感覚に“ズレ”が…

しかし、去年5月に行われた世界選手権では、3位という結果に。

(2023年5月の世界選手権では3位に)
(2023年5月の世界選手権では3位に)

永瀬貴規選手(去年5月世界選手権後):
もう本当に進歩がないというか、悔しいです。

さらに去年12月に開催されたグランドスラム東京では、3回戦で敗れる結果に…。

そんな状況に今年1月、永瀬選手は地元のテレビ局のインタビューで“試行錯誤”している状況について語っていました。

永瀬貴規選手(今年1月):
私も30歳と年齢を重ね、昔との感覚のズレが良くも悪くもあるので、試行錯誤して結果には出ていない状況ではあるが、生かすも殺すも自分次第なので…。

昔との感覚に生じてしまったズレ…。それでもパリを目指し続ける理由については。

永瀬貴規選手(今年5月):
東京オリンピックが終わっていろんな方に報告したときに「もう一度パリでも頑張ってね」ってたくさんの声をいただいて…、そういった方のためにも、もう一度パリでの連覇っていうのを目指していこうと…。

「120点かな」パリ五輪決勝戦

そして、乗り込んだパリの地。
順調に勝ち進み、迎えた決勝戦。相手はジョージアのタト・グリガラシビリ選手。世界選手権3連覇中の強豪です。

(パリ五輪決勝戦 対グリガラシビリ選手)
(パリ五輪決勝戦 対グリガラシビリ選手)

金メダルがかかった一戦。解説は永瀬選手と共に切磋琢磨してきた、東京オリンピック金メダリストの大野将平さんが務めました。

解説 大野将平さん:
組み手、投げ技、受け、何をとっても「最強の永瀬」です。

そして、開始1分57秒。

実況:
決めたー!一本!
築き上げた永瀬の柔道!永瀬貴規オリンピック連覇です。

圧倒的な強さで金メダルを獲得。オリンピック史上初となる81キロ級での連覇を成し遂げました。盟友の偉業を目にした大野さんは…。

大野将平さん:
道場で彼が隣で稽古していると彼が休まないので本当に嫌でした。こうして報われている姿をこのパリで見ると自分のこと以上にうれしいです。

――オリンピック連覇ですね。
永瀬貴規選手:

そうですね。まだ信じきれていないですけど、ここまでやってきて間違ってなかったなと思います。

――今日の解説、大野さんが「永瀬最強説」をうたっています。なぜそこまで強いんでしょう?
永瀬貴規選手:

本当にいろんな人に鍛えられて、支えられて僕のいまがあると思うので本当に感謝感謝です。
この舞台で勝つことだけを考えてやってきたので、きょう一日自分を信じて畳の上で戦うことができました。

――その、答え合わせは何点だったんでしょうか?
永瀬貴規選手:

120点かなと思います。

大学時代の先輩が語る「練習の鬼」

そんな永瀨選手について筑波大学の先輩であり、2012年ロンドン五輪60キロ級銀メダリストの平岡拓晃さんに「めざまし8」のスタジオで解説していただきました。

(平岡拓晃さん)
(平岡拓晃さん)

MC 谷原章介:
永瀨選手は心の強い選手だなと思ったのですが、いかがですか?

2012年ロンドン五輪60キロ級銀メダリスト 平岡拓晃さん:
この階級で勝つことの難しさっていうのはあったと思うんですけど、彼はすごく謙虚で寡黙で普段から礼儀正しくて、なかなか強そうに見えないんですよね。でもこの日は、本当強かったですよね。

渡辺和洋アナウンサー:
この階級で連覇を成し遂げた。これがどのくらい難しいのかというと、実は欧米選手含めると平均的な体重のクラスなんです。ですから強い選手がたくさんいるということで、オリンピックで誰も連覇できなかった。そんな中で史上初ということですから『最強』というのにふさわしいということなんですね。
平岡さんとは大学が同じ、筑波大学出身の先輩後輩ということで、LINEでやりとりされたということですが。

平岡拓晃さん:
出発前も「頑張ってきて」「ありがとうございます」という連絡が来て、昨日も夜中に「おめでとう。返信はいいから」というLINEをしたんですけど、すぐ「ありがとうございます」と、本当に礼儀正しい後輩なんですよ。

MC 谷原章介:
真面目な性格っていうのもあるんですかね。

平岡拓晃さん:
すごい真面目です。

渡辺和洋アナウンサー:
さらに、永瀬選手は、負荷の強い練習を黙々と続けていた、「練習の鬼」と呼ばれています。

平岡拓晃さん:
筑波大で練習しているんですけど、永瀨選手が一番強いんですね。どうしても相手のレベルは下がってしまうんです。でも、その中で工夫して自分に負荷をかけて、自分の課題に取り組む練習を続けていける能力の高さが永瀨選手にはあります。
リオデジャネイロ五輪のときも、東京五輪の時もそうだったんですけど、オリンピックが終わってすぐ練習を始めたのが永瀨選手だったんです。

MC 谷原章介:
欧米の力の強い選手と組み合ってても、組み負けてない感じがしますよね。

平岡拓晃さん:
体幹の強さ、足腰の強さを兼ね備えた選手ですよね。

MC 谷原章介:
心・技・体どころかその場の対応力も含めて金メダルということなんですね。
(「めざまし8」7月31日放送より)