倉田大誠アナ実況「乗ったー、大逆転の金メダリストだ!!!」
日本時間30日未明に行われたスケートボード男子ストリート決勝。堀米雄斗選手(25)が見事奇跡の大逆転勝利で、オリンピック連覇を果たしました。
スケートボード男子ストリート決勝は、45秒間でコース全体を使って自由に技を繰り出す「ラン」と、障害物を1つ選択し技を決める「ベストトリック」の合計点で争われます。
堀米選手はラン終了時点で、「89.90」の高得点をマークして4位という「金メダル」を狙える位置に。
そして、始まった勝負の「ベストトリック」。
ベストトリックは、5回の演技を行い、上位2本のスコアが得点となります。
その1本目、いきなり堀米選手が大技を決め 「94.16」という高得点をマーク。
その後ライバルたちが大技を決める中、堀米選手は3回連続で失敗してしまいます。
4回目が終わった時点でメダル圏外となり、失敗すれば終わりという厳しい状況に追い込まれました。
そして最後の5本目。
この時点で暫定7位の堀米選手は、金メダルには「96.99」が必要となる絶体絶命の状況。
ここで、堀米選手が見せたのは、とんでもない大技でした。
大技“ユウトトルネード”とは…
堀米選手が見せたのは「ノーリーバックサイド270バックサイド ブラントスライド」。
後ろ向きの状態からジャンプするためレールが全く見えないことや、利き足と逆の足で飛び上がりながら、270度回転するという難易度MAX級の大技です。
この大技で「97.08」という驚異的な得点をたたき出し、一気に首位へ。
見事、連覇を達成し 会場からも大きな“ユウトコール”が巻き起こりました。
実は、堀米選手は今回のパリへの切符も、崖っぷちからの大逆転で掴んだものでした。
東京オリンピックの後、ルール改正などの影響からか、不振に陥り パリへの選考大会でも敗戦が続いていた、堀米選手。
「地獄だった」と本人が振り返るほどでしたが、最後の選考大会で勝利し、大逆転でパリオリンピックへの切符を手に入れたのです。
金メダルを獲得した堀米雄斗選手(25):
ここまで来るのに諦めかけたこともあった。このオリンピック前の予選から、オリンピックに行けるかも分からない状況で、最後のオリンピック予選で1位を取らないといけなくて、1位を取ってもいけない可能性もあって…。
1パーセントを最後まで信じて(6月に優勝して切符をつかんだ)。
このオリンピックでもやってこれて、それが最後に実ってすごくうれしいです。
逆転での決着については…
金メダルを獲得した堀米雄斗選手(25):
いや、もう自分ではその、逆転を狙ってはいないんですけど(笑)、できればもう早めに乗って優勝を決めたかったんですけど。まあ、でも最後でも逆転できてホントにうれしいです。
困難を乗り越えた堀米選手を見守っていた父・亮太さんは試合後、フジテレビのカメラに喜びを語りました。
父・亮太さん:
もう感無量です。今回結果はどうあれ最後まで応援し切ろうと思っていたので。
東京は見てなかったんです。今回は雄斗が来てほしいみたいな感じだったんで、これは行くしかないだろうって感じで、ほんとよくやったしか言えないです。
僕に夢を与えてくれてるんで、これからも雄斗の大好きなスケートボードを見守っていくしかできないですね。
元全日本チャンピオンが解説「恐ろしい技」
日本スケートボード界のパイオニア・元全日本チャンピオンの荒畑潤一さんに、今回の堀米選手のトリックについて解説していただきました。
元全日本チャンピオン 荒畑潤一さん:
いやーもうスゴすぎて興奮しすぎちゃって寝れなかったです。
MC 谷原章介:
今回の最後のベストトリックを解説していただけますか?
元全日本チャンピオン 荒畑潤一さん:
はい。まず、階段の方に進みまして、スケートボード先端を蹴りまして、板と体を270度一緒に回ります。スケートボードのおしりの部分をかけて板を立てながら、これブラントスライドという状態なんですけど、滑りながら最後90度回って着地するという…。
MC 谷原章介:
背中向きから入っていって、降りる時も背中向きから降りていくと、滑っていく時もずっとレールが後ろ向きになるということですか?
元全日本チャンピオン 荒畑潤一さん:
そうですね。最初にもうレールが背中側の方にあるので、ほとんど見えていない状態なので…、そこにも“勘”で行くというか、そういう感じなのでめちゃくちゃ怖いと思いますね。
MC 谷原章介:
やる人も怖いし、これ、どれぐらい難しいことなのですか?
元全日本チャンピオン 荒畑潤一さん:
どれぐらい…? もう本当“計り知れない恐ろしい技”だと思います。
MC 谷原章介:
世界中で何人ぐらいこの技はできるんですか?
元全日本チャンピオン 荒畑潤一さん:
世界中でももう、このクオリティーでできるのは堀米選手しかいないと思います。
元競泳日本代表 入江陵介さん:
プレッシャーがかかる中での最後のトリック本当に素晴らしいかったですし、なんか「持っている」って一言で片付けたら失礼かと思うんですけど、その言葉の裏には、本当にこう見えない努力というか、たくさんあったんだなと思うと…、本当に感動をありがとうございましたという一言に尽きるなと思います。
(「めざまし8」7月30日放送より)