肌と比べると無防備になりがちな、髪。夏の過酷な環境にさらされるとパサパサに…。放っておけば老け見え印象が加速する可能性大!毎日のケアでリカバリーを目指そう。
髪がパサつく要因とその解消法を、生活情報誌「ESSE (エッセ)」 2024年9月号から一部抜粋・再編集して紹介する。

紫外線や暑さで髪のパサパサは悪化する

夏、髪がパサつく原因は「紫外線と暑さにある」と話すのは、毛髪診断士の余慶尚美さん。

「頭上から降り注ぐ紫外線、そして40℃近い気温で、髪も頭皮もダメージを受けています。それなのに暑いからと雑に髪を洗ったり自然乾燥させたりすると、髪の表面をうろこ状におおうキューティクルが乱れ、髪内部のうるおいが流出。ツヤが失われてパサつくようになります」(以下、余慶さん)

とくにカラーリングをしている人は、薬剤のダメージが加わることでパサつきが悪化することも。「ダメージをリセットし、健やかな頭皮環境を整える意味からも、毎日の洗髪とドライヤーを見直して」とアドバイスしてくれた。

紫外線と暑さで、髪も頭皮もダメージ…“パサパサ髪”は洗髪とドライヤーで変わるという
紫外線と暑さで、髪も頭皮もダメージ…“パサパサ髪”は洗髪とドライヤーで変わるという
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ESSE読者へのアンケートでは、パサパサ髪の悩み1位は「ツヤがなくなった」こと。2位に「ボリュームがなくなった」、3位に「カラーが早く落ちる」と続く。余慶さんによると、これを解決するには以下の3つが大切になるという。

【パサパサ髪脱出への三原則】

1)熱・摩擦を避ける
タンパク質が主成分の髪の大敵が、摩擦と熱。紫外線や太陽光だけでなく、シャンプーやドライヤー時の摩擦も最小限に抑えるのが正解。

2)キューティクルの流れを整える
キューティクルが乱れると髪内部のうるおいが流出し、髪がパサつき、ツヤが失われる。キューティクルを守るケアを意識して。

3)保湿をする
外気の影響を受け、髪からは水分が蒸散。乾燥を進ませず、うるおいを補う意味からも保湿力のあるスタイリング剤を味方につけて。

とにかく傷ませない髪の洗い方

上記のパサパサ髪を防ぐ三原則を押さえたケアで、その日のダメージは即日リセットを。では具体的に、パサパサ髪脱出のための洗う・乾かすの基本のポイントを、余慶さんに聞いた。

ぬるま湯で予洗いを2分。なんとこれで約60%も汚れが落ちるという
ぬるま湯で予洗いを2分。なんとこれで約60%も汚れが落ちるという

1)ブラッシングをした後、予洗いする
ブラッシングで頭皮や髪の汚れを浮かせたら、38℃のぬるま湯シャワーで予洗いを約2分。
「予洗いで約60%の汚れをオフでき、シャンプーの泡立ちがアップ」するという。

“パサ髪”の大敵である摩擦を減らすため、シャンプーはこの5カ所に分けて置こう
“パサ髪”の大敵である摩擦を減らすため、シャンプーはこの5カ所に分けて置こう

2)シャンプーを5点に分けてつけ、優しく洗う
シャンプーを手のひらで軽く広げてから、頭頂部と前髪中央の生え際、左右の側頭部、衿足の5箇所に置く。分けて置くことで余計な摩擦を防げる。

※ゴシゴシ洗いすぎるのはNG
シャンプー時はゴシゴシすると髪が絡まり摩擦の原因となってしまう。頭皮は指の腹でマッサージ。毛束は泡で包み、優しくもむように洗おう。

シャンプー時、ゴシゴシするのはNG!毛束は泡で包んで、優しくもむように洗う
シャンプー時、ゴシゴシするのはNG!毛束は泡で包んで、優しくもむように洗う

3)〝上から下〞を意識してすすぐ
キューティクルは、上から下に重なり合って並んでいる。すすぐときもキューティクルの配列を意識して、上から下にシャワーするのが効果的。

4)タオルで水気をふく
すすぎをしたあとの髪は、水分を含んで膨張した状態。トリートメントが入る隙間がないの
で、吸水のよいタオルで軽くタオルドライするのが良いという。

トリートメントをつけたら、クシでさっととかす
トリートメントをつけたら、クシでさっととかす

5)トリートメントをつけてクシでとく
トリートメントをつけたら、目の粗いクシで髪をサッととかす。とかすことでトリートメント剤の接地面が増えて、より髪に密着する。

6)トリートメントを3〜4分浸透させる
トリートメントをつけたら湯船に浸かろう。3~4分おくことで、トリートメント剤が浸透する。その後、ぬるつきがなくなるまですすいだら完了だ。

うるおいを逃がさない!髪の乾かし方

髪を洗った後、中にはドライヤーの時間を短縮するために、タオルを巻いたまま長時間放置して自然乾燥…という人もいるかも知れないが、これはNG。キューティクルが開いた状態が長いとダメージが進むという。
では、パサパサ髪に効果的な乾かし方とは?

1)タオルで水気を吸い取る
濡れた髪はキューティクルが開いてダメージを受けやすい状態。やわらかいタオルで押さえて、水気をよくふき取ろう。

2)洗い流さないトリートメントをつける
クシで髪の絡まりをといてから、髪が太い&毛量が多い人はヘアオイル、それ以外はヘア美容液をつけて。栄養が行き渡り、ドライヤーの熱からガードしてくれるそうだ。

後頭部や外側の髪を持ち上げて、内側にドライヤーの風を当て、頭皮をしっかり乾かす
後頭部や外側の髪を持ち上げて、内側にドライヤーの風を当て、頭皮をしっかり乾かす

3)頭皮全体を乾かす
後頭部や外側の髪を持ち上げて、内側にドライヤーの風を当てて乾かす。頭皮をしっかり乾かすことで、うねりとにおいを防止することにつながる。

髪表面は、ドライヤーを約20cm離して斜め45度上から風を当てる。最後は冷風に。
髪表面は、ドライヤーを約20cm離して斜め45度上から風を当てる。最後は冷風に。

4)斜め45度と仕上げの冷風でつやつやに
髪表面をドライ。「ドライヤーは約20㎝離し、斜め45度上から当てて。最後は冷風にする
とキューティクルが引き締まり、ツヤ髪に」

※下から当てるのはNG 髪が絡まりパサパサに
下から風を当てると、上から下に向かってタケノコの皮のように重なり合っているキューティクルがめくれ上がり、ツヤが失われてしまう。

下からドライヤーを当てるのはNG!キューティクルがめくれ上がる要因に
下からドライヤーを当てるのはNG!キューティクルがめくれ上がる要因に

髪を乾かした後、寝る時にオススメなのはシルクの枕カバーだ。吸水力や放湿性に優れ、パサ髪ケアの強い味方なのだそう。「選ぶときは100%シルクのものを。摩擦を抑え、髪を傷めません」

読者がパサパサ髪脱出法にチャレンジ!

まとまりづらい髪に悩む読者に、余慶さん伝授のケアを1週間実践してもらった。

乾かす時の「斜め45度」を特に意識したというAさん(44)は、朝、髪が絡まず全然違う手触りに感動したといい、すぐに広がってしまった髪が、まとまりやすくなったという。

Aさん(44)は、広がりやすかった髪がまとまりやすくなった
Aさん(44)は、広がりやすかった髪がまとまりやすくなった

「シャンプー後、水分をふきとる&とかすのひと手間で、同じアイテムを使っているのにこれまでとは違う効果を実感。朝はよく髪が絡まっていましたが、指どおりなめらかになり、まとまりやすさは段違いに」(Aさん)

一方、シャワー前のブラッシングを特に意識したというBさん(50)は、いつもゴワついていた髪にツヤが出た。

Bさん(50)は、やわらかいツヤ髪に変化
Bさん(50)は、やわらかいツヤ髪に変化

「シャワー前のブラッシングのおかげか、普段よりシャンプーの泡立ちを感じました。乾燥した髪が広がり、まとまりづらさに悩んでいたのが、1週間でやわらかいツヤ髪に! 頭皮のべたつきやかゆみも改善されました」という。

次回は、今すぐパサパサ髪をなんとかしたい人に向けた10分で出来るスタイリング術と、パサパサ髪のギモンQ&Aをお伝えする。

【今すぐ変えたい…10分で出来るスタイリング術はこちら】
緊急!10分でできる“パサパサ髪”解消スタイリングをヘアメイクアップアーティストに聞いた

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ESSE(エッセ)2024年9月号

【余慶尚美】
毛髪診断士、ヘアケアリスト。的確でわかりやすいアドバイスが人気でTVや美容誌などで活躍。また、漢方美容や薬膳料理にも精通している。おもな著書に『髪トレ』(主婦の友社刊)。

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