4年生大学への進学が増える中、少子化も加わり経営難となる短期大学が増えている。全国では22の短期大学が2024年度の募集停止を発表しており、宮崎県内では南九州短期大学が2026年度以降の募集停止を発表した。保育士養成の使命を全うしようという、宮崎学園短期大学を取材した。

全国で増加する募集停止 宮崎でも…

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宮崎県内にある短期大学は2つ。南九州短大の募集停止により、今後は宮崎学園短大が県内唯一の短大となる。宮崎学園短期大学では、設立当初から宮崎県内に輩出する保育士養成の一役を担ってきた。2024年度からは3年かけて保育士になる新しいコースができた。

宮崎学園短期大学保育科では、2024年4月に3年コースを設けた。以前は210人だった定員を180人にしても、2024年度の入学者は155人と定員割れした。歴史と保育者養成の実績があるこの短大も、18歳人口の減少で定員割れという厳しい現実に直面している。

宮崎学園短期大学・村上昇学長:
短大の保育科をどうやって残すかということ。宮崎学園短大は先生たちの7~8割を輩出している。うちが募集停止になろうものなら、宮崎の幼児教育・保育園などは全滅に近い。その使命感もありますので、どうしても存続しなければならない。

「3年制コース」で時間を確保

2年間で学ぶ短大は授業のスケジュールが窮屈で、夕方まで授業がある。「アルバイトをしながら学びたい」「大学生活を楽しむ時間が欲しい」こうしたニーズに合わせ入学者を増やすため、2024年4月3年制コースができた。

2024年度の保育科入学者は155人で、このうち43人がこのコースを選択。3年間学んでも学費は2年分で済み、授業は午前中だけ。午後は視野を広げるために時間を使うことができる。

椎葉村出身の那須桃華さんは、3年制のコースを選択した。1人暮らしをしていて、午後はアルバイトをして生活費を稼いでいる。

椎葉村出身・那須桃華さん:
3年間かけて、2年間の学びをゆっくりできるところに魅力を感じて。平日はバイトに行ったり、遊びに行ったり、1人暮らしをしているのでお買い物に行ったりしています。

そんな那須さんのアルバイト先は、幼保連携型認定こども園。那須さんの仕事は午後2時ごろにスタートし、園児の活動の補助や遊び、教室の掃除や消毒など、保育の現場の動きを見て実践力を磨いている。

那須桃華さん
那須桃華さん

清武みどり幼稚園の中武亮子園長は、「先生たちは掃除しながら、子どもを見ながら、色々な片づけをしながらということを一度にやっているので、那須さんの存在はとても助かっているし、子どもたちも喜んでいる」と話す。

椎葉村出身・那須桃華さん:
先生たちは子どもでも分かるように伝えるのが本当にすごいなと思います。実習だけでは見られない園児の姿があると思うので、2年間だと経験できないことを経験できて、3年制コースに来てよかった。

説明会で“ミスマッチ対策”も

宮崎学園短大では「長く仕事を続けてほしい」と就職後も見据え、ミスマッチ対策にも力を入れている。

6月に就職説明会を開き、県北や都城地区から幼稚園・保育園の関係者が学校を訪れ、保育者の仕事について学生に説明した。

参加した1年生は「地元にどんな方針の園があるか知りたくて来た「保育のやり方とか先生たちの雰囲気とか、やりがいが持てるようなところで働きたいので、そういうところを見つけたい」と話す。

宮崎学園短大では毎年150人近くが保育者になり、そのほとんどが県内で就職する。こうした就職説明会の開催で、保育者の確保と定着に力を注いでいる。

短大が募集停止したら保育士不足に拍車がかかり困るのは子育て世代。保育士の働く環境を整えるのはもちろん、保育士を目指す若い人をどう支えていくかも、大切な視点である。

(テレビ宮崎)

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