「まちなかに居場所が欲しい」そんな中高生の声に応えるための取り組みが宮崎で始まっている。勉強や読書だけでなく、友人との雑談や進路相談など、自由に過ごすことができる場所だ。その狙いと取り組みを取材した。

中高生の声に応えるための取り組み

宮崎市の中心市街地。
橘通りに面した宮崎ナナイロ東館(旧ボンベルタ橘)の8階にあるコワーキングスペース「ATOMica宮崎」を土日祝日、中高生に無料で使ってもらう取り組みが始まっている。

利用している高校生に話を聞くと、「集中度が全然違う。開放感があり眺めも良いためすごくいい場所だと思う。」という答えが返ってきた。

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この取り組みは、宮崎市が国の交付金を活用しATOMicaに委託して行っている。

予約は不要で、初回に利用登録と学生証を提示すれば、中高生は土日祝日の午前10時~午後6時まで無料で使用できる。座席は少なくとも10席は確保されるということ。

会社員やフリーランスの方、勉強に来ている方もいる。様々な人が共同で使う作業場だ。

過ごし方は様々。一人で自習や読書、友人と雑談、スタッフへの進路相談など自由に過ごすことができる。ATOMica 義岡隆征さん:
いろいろな働き方をしている大人がいるので、偶然の出会いを楽しんでもらい何かが生まれる場所になれば良いと思う。自分では見つけられなかった働き方や進路を選んでほしい。

利用した中高生は「過ごしやすいし、おしゃれでモチベーションも上がり集中できる」「家と学校ではない第三の居場所という感じで、心の味方ができた感じで心強い」「家だと勉強しにくいから、静かな場所で勉強したくて来た」などと反応も上々で、うまく活用しているようだ。

視聴者の中高生時代の居場所は?

宮崎市30代女性 むーむーさん:
中学、高校時代の居場所はTSUTAYAでした。アイドル雑誌、ファッション雑誌、漫画、CD、カセットテープ、ビデオ。高校を卒業したら、こんな世界が広がっているんだとワクワクしていました。今はSNSで行かずともすべて知ることができ、便利な反面、未知の世界を体感するワクワク感は減っているかもしれません。

宮崎市50代男性 餃子モンブランさん:
高校時代の私の居場所は、ゲームセンターです。30数年前は、街中に沢山ゲームセンターが有りました。シューティングゲームが得意だった私がプレーしている後ろで、中学生達が羨望の眼差しで観ていた時が私の人生のピークだったのかもしれません。

宮崎市40代男性 かずぱぱさん:
高校時代は若草通が居場所で、オシャレなセレクトショップの店員さん達と話したり、同級生と意味もなく、たむろしたり、他校の同学年の人たちと交流したり、スマホのない時代でしたが、そうしたコミュニケーションを取れる場所が若草通でした。郊外に商業施設ができ、若草通は閑散とした時代が続いていましたが、最近少しずつ進化した若草通の姿を見るとなんだか嬉しいです。

中高生の声をきっかけに始まった

今回のコワーキングスペースの無料解放は、中高生の声がきっかけとなって始まった。

2023年度、宮崎市が市内の中高生を対象に開いた「宮崎ティーンズ会議」で、「家や学校だけではなく、もっとこんな場所がほしい」というテーマで話し合いをした。

そこで出た意見は

・自由に自分たちが使える場所がほしい
・児童館は中高生向けに設定されていない
・公民館は利用料金に課題がある
・今あるものをうまく活用し、メイクではなくリメイクを

ATOMicaや宮崎市によると、6月の利用者の延べ人数は216人で、1日平均で30人~40人の利用があったそう。特にテスト前は多くの利用希望があり、お断りしたほどの人気ぶりだったという。

都城市では『スタディカフェ』

まちなかでの居場所づくりは都城市でも行われた。

都城泉ケ丘高校の生徒が発案したスタディカフェ『MCS study cafe』

5月に期間限定でオープンした。カフェには地元企業から提供を受けたお菓子や飲み物があり、アンケートへの回答で、無料で飲食できる。地元企業には、商品に対する高校生からの意見をフィードバックすることで協賛するメリットをつくった。別の高校に通っている中学時代の友達とここで合流して、一緒に勉強する姿も見られたという。

今後、アトミカでは、社会人や別の学校の中高生と交流できるイベントを実施していきたいとしている。

まちなかに出来た新たな居場所。ここに来ることで、新たな出会いや発見もある。中高生が、「宮崎って面白いな!ここなら頑張れるな!」と思える場になっていくことを期待したい。

(テレビ宮崎)

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