汗をかく季節が近づくと気になるのが夫やパートナーのにおい。言いづらくて我慢している人もいるかもしれないが、その一方で、自己流のにおい対策をつきつめている40代の男性がいた。

もはや執念とも言えるほどの強いこだわりを持って、男性は日々のケアを続けている。その方法は果たして正しいのか、専門家も驚きの対策を紹介する。

日々実践!“自己流”におい対策はこれだ

都内に住む40代の男性Aさん。もともと清潔感を重視してきたが、40代になってより意識するようになったのが「におい」。仕事で重要な交渉に臨むことが多く、印象がその行方を左右しかねない…。となると、におい対策も大切になる。

自己流のにおい対策をつきつめている40代のAさん
自己流のにおい対策をつきつめている40代のAさん
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Aさんが実践するのは、以下の9つだ。

1.耳の後ろや後頭部を念入りに洗う
2.Tシャツや下着を持参し、職場に到着後すぐに着替える
3.枕の上にタオルを敷く
4.洗濯物を裏返して洗う
5.夜はシャワーで済まさず、必ず湯船につかる
6.朝はお気に入りのシャワージェルを使ってシャワーを浴びる
7.お風呂から出たら全身をしっかり保湿する
8.おへその掃除をこまめにする
9.ハッカなど自然の香りを身にまとう

その方法は多岐で、ここまで徹底している男性がいることに驚く人も多いのではないだろうか。さて、これらはすべて正しいのか。臭気判定士の資格を持つにおいのスペシャリスト、久加亜由美さんに判定してもらった。

さっそく判定!対策3までの効果はいかに?

まず、後頭部を念入りに洗うことはにおい対策に効果的なのか。30代~40代のいわゆる「ミドル世代」に発生するとされ、脂っぽいにおいがする「ミドル脂臭」。久加さんによると、ミドル脂臭は頭頂部から後頭部にかけて発生するので、後頭部を洗うことはとても理にかなった洗い方だという。

※画像はイメージ
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一方、Aさんは特に耳の後ろを念入りに洗っているとのことだが、ミドル脂臭は耳の後ろから発生するわけではなく、久加さんは耳の後ろのにおいはそれほど強くないと評価している。発生する部位と、そこからどんなにおいが発生するのかを知ることでさらに効果的な対策ができそうだ。

次に、Tシャツや下着を持参し、職場に到着後すぐに着替えることはどうだろう。

「非常にいいと思います。体臭の発生原因は汗や皮脂ですが、その皮脂が皮膚上の菌によってにおいに変わってしまいます。衣類に汗がつくと衣類でにおいが発生してしまうので、着替えることによってにおいが発生するものを身にまとわなくていいので、いいことだと思います」と久加さん。

細菌は皮膚の上に常にいるが、お風呂に入ったりデオドラント剤を使ったりすることで、ゼロにはならないものの一度は減る。細菌が減った状態をキープすることで体のにおいは出にくくなるのだが、汗や皮脂が出るとそれを「エサ」にして菌が増えてしまうそうだ。それがにおいの原因になり衣類に付着することで、衣類でも別のにおいが発生する場合がある。

衣類には、皮膚から付着した菌やそれ以外の雑菌がいることもある。汗がにおいに変わる前に着替えることが重要なのだ。

そして、この9つの中で久加さんが特に評価して強く勧めるのが、枕の上にタオルを敷くこと。においが蓄積すると洗っても取れにくくなるからだ。枕カバーを毎日洗うのは大変だが、その上にタオルを敷いて寝る。起床時に顔の汗などを拭ってこまめに交換するのも「とてもいい習慣」だという。

まだまだ続く自己流対策の判定結果

ここからは、「プラスα(アルファ)」で実践するとよい対策という位置づけになる。

対策4の洗濯物を裏返して洗うことはどうだろうこちらは直接的なにおい対策ではないが、汚れがついている部位を洗濯しやすくしているので理にかなっているそうだ。「ここまでやっている人は100人に1人もいない」と、久加さんも驚きを隠せない。

夜はシャワーで済まさず、必ず湯船につかることで、汗を出しやすい状態になる。人は汗を出すことで体温を下げるなどの調節ができるが、普段から汗をかいていないと出ない。そうなると、急激な暑さに対応できなくなる。体のメンテナンスとして有効な方法だそうだ。

朝はお気に入りのシャワージェルを使ってシャワーを浴びるのは、面倒だと感じる人もいるだろう。だが、久加さんは「さわやかに香る商品を使って1日を快適に過ごすのはいいことだと思いますし、体をきれいな状態に保つのが一番重要です。夜お風呂に入ってさらに朝シャワージェルで汗を流すのは、におい対策としてはすごくいいことだと思ってます」と太鼓判を押す。

さて、全身をしっかり保湿することはにおい対策になるのか。これについてデータはないが、久加さんは保湿された肌とそうでない肌とでにおい方に違いが出るとは考えていない。

ただ、肌が健康であるために保湿は大事。同様に、おへその掃除をこまめにすることも、気にしすぎなくてよいそうだ。汚れがたまりやすいおへその形状があるそうで、個人差もありますが、においが気になる場合でも1~2週間に1回程度のケアでよいといった報告があるとのこと。

デオドラント剤でにおいの抑制効果を上げる

久加さんはAさんの対策について「自分が健やかにいるためのケアを色々していて、その中でにおい対策もしている」という印象を持っている。強い香りではなく、ハッカなど自然の香りを身にまとうことで自分が爽快感を得られるほか、他人への配慮にもなっているという。

久加さんのオススメは、ここにデオドラント剤を追加すること。シャワー後やボディーペーパーで体を拭いた後の清潔な肌にデオドラントを使用すると、においの抑制効果が長く続く。香りをまといたい人は、無香料のデオドラント剤を使った後に好きな香りをまとうのがいいそうだ。汗などにおいの元になるものを放っておかないことが鉄則だ。

今回Aさんの対策を見た久加さんは「こんな対策されてる男性はいないと思います。パーフェクトに近い印象でして、においを気にしているミドル世代の男性はいますが、対策を間違えていて実はできていない人がたくさんいます」と評価。夫やパートナーにどれかひとつでも実践を勧めてみてはいかがだろう。

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久加亜由美
(株)マンダム 先端技術研究所 ライフサイエンス研究グループ
嗅覚測定を行うための国家資格である「臭気判定士」の資格を保持。
2008年株式会社マンダム入社。2012年より体臭研究に携わり、デオドラントに関する基礎研究(体臭/制汗)に従事。

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