触らずに操作「エレベーターの非接触ボタン」登場

新型コロナウイルスの収束の兆しが見えない中、感染予防として、外出自粛や不特定多数の人が触るものにはなるべく触らないようにするなどしている人も多いのではないか。

編集部でも以前、“ドアノブやつり革などへの接触を防ぐグッズ”などを紹介したが、新たに、そもそもボタンに接触する必要をなくしたタッチレスのエレベーターが登場した。

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それが、フジテック株式会社が8月3日に発売した、同社の既設エレベーター向けのタッチレス操作可能「非接触ボタン」だ。

施工前(左)と施工後のイメージ (提供:フジテック株式会社)
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設置されているエレベーターのかご内と各階の乗り場にある操作盤を、非接触ボタンが併設された新しい操作盤(プッシュ式ボタンに非接触ボタンが併設されたハイブリッド型)に交換するというもの。

そして、新しい操作盤の機能は2つ。

1つは、赤外線ビーム式のセンサーを用いた「非接触ボタン」。
センサーに手をかざすことで赤外線ビームの反射を検知し、反応する仕組みになっており、ボタンに触ることなくタッチレスで操作することが可能。

なお、階を押し間違えた際は、もう一度手をかざすことでキャンセルすることができる。また、複数のセンサーが同時に検知した場合は反応しないようになっているため、操作盤に近づいた利用者に反応して誤作動が起こらない仕組みにもなっている。

(提供:フジテック株式会社)

2つめは、抗菌機能付きの「プッシュボタン」。
素材に抗菌性樹脂が練りこまれており、細菌の増殖を抑制する効果があるという。なお、かご内のインターホン呼びボタンと閉ボタンは、誤動作による影響やリスクを考慮した上で、非接触ではなくプッシュ式が採用されている。

工事にはエレベーターの停止を伴い、約2日掛かる。対象機種は2005年以降に設置したフジテック社標準型エレベーター(定員15人以下)で、停止数12フロア以下となる。

接触による感染を気にする人にとって安心感が増す今回の「非接触ボタン」。
なぜプッシュ式を併用したハイブリッド型なのか? 掃除や災害時はどうなるのか? フジテック株式会社の担当者に話を聞いた。

コロナではなく衛生面に配慮する施設向けに開発

ーー「非接触ボタン」開発の経緯は?

衛生面への配慮が求められる、病院、高齢者向け福祉施設、食品工場、研究機関などに、装置に触れることなく呼び登録できるシステムを提供したいと考え、開発しました。


ーー開発で苦労した点は?

センサーやボタンの配置です。利用者にとって最適な意匠、操作性を検討すべく、試行錯誤を重ねました。

赤外線のセンサーがたくさん設置されるので、操作したいセンサー以外が反応しないよう、センサーの配置に苦労しました。

タッチ前(提供:フジテック株式会社)
タッチ後(提供:フジテック株式会社)

ーーハイブリッド型(プッシュ式に非接触ボタンが併設)が採用されたのは、なぜ?

操作性や工事負担に配慮しています。
 
操作性の面では、パネルを分けて設置するよりも、プッシュ式ボタンと同一パネル(ハイブリット型)を設置することで、通常のボタン操作により近い動作で操作いただくことができるメリットがあります。

工事負担の面では、既設エレベータに対して施工する際、別パネルを新たに設置する場合、電気回路の追加設置など、工事ボリュームが増しお客さまへの工事負担が増加します。

(提供:フジテック株式会社)

ーー掃除の際は大丈夫?

センサー部分を拭き掃除すると認識します。認識した場合は、キャンセル機能がありますので、もう一度かざすとキャンセルされます。


ーー災害時は?

災害時は普段のボタンで操作いただきます。(非接触ボタンは無効になります。)

新生活様式の1つとして世間に認知された

ーー現在の反響は?

当初、衛生面への配慮が求められる、病院、高齢者向け福祉施設、食品工場、研究機関などでの採用を想定していましたが、商業施設・マンション・ホテル・オフィスなど、さまざまな施設から問い合わせをいただいています。

コロナ禍の影響により、世間全体の衛生意識が高まってきています。その中で当社の製品が、社会インフラ改善の一助となっていることを実感しており、これを機会に普及できたらと考えています。


ーー「非接触ボタン」に込めた思いとは?

当初は衛生面への配慮が求められる施設向けの製品でしたが、コロナ禍の影響でその対象はあらゆる施設・建物に広がっています。

これは「非接触ボタン」が新生活様式の1つとして世間に認知されたものと捉えておりますが、これからも利用者のことを第一に考えて進化させ、エレベータができる社会貢献を進めていきたいと思います。

かご内イメージ (提供:フジテック株式会社)

なお、インターホン呼びボタンと扉の閉ボタンをプッシュ式だけにした理由については、インターホン呼びボタンは非常時にしか使用しないことと、非接触ボタンでなくても誤って押してしまえば混乱が起こる可能性があるため。

またエレベーターは、閉めるボタンを押さなくても一定時間経過すると自動で扉が閉まるようになっている。そこで、必ずしも閉めるボタンを押す必要はなく、また、扉に指や人が挟まれる危険性を考慮したとのことだ。

元々、新型コロナウイルスの感染防止のために開発していたものではなかったという「非接触ボタン」。しかし、多くの人が衛生面をより気に掛けるようになった新型コロナウイルスの影響により、今後も需要が増えるのではないだろうか。

このような「非接触ボタン」はエレベーターのみならず、いろいろ場面で見る機会が増えてくるかもしれない。
 

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