ドアノブや電車のつり革に触りたくない人へ

新型コロナウイルスの感染者が各地で確認される現在。ドアノブやエレベーターのボタン、電車のつり革など、多くの人が触るものにはなるべく触れたくないという人も多いのではないか。

編集部では以前、このような対策として、老舗つまようじ店製造の接触感染予防アイテムを紹介した。

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そして今、新たな感染予防対策の商品が話題になっている。それがこちら。

「銅で守る、自分で守る」というキャッチコピーがついた「純銅削り出しアシストフック」(税抜き1680円)だ。スマートフォンのケースなどを作っている「ギルドデザイン」(三重県亀山市)が製造、販売をしている。

大きさは縦81mm、横41mm、厚み3mmで、重さは42g。財布のカードポケットに入るサイズとなっており、電車やバスのつり革、手すりなどに直接触ることなく、フックを掛け、つかまることができる。

また、エスカレーターの手すりやレバーの付いたドアノブ、エレベーターボタンにも使用できる。そして、銅には導電性があり、ATMやスマートフォンなどのタッチパネルもフックの先端で操作可能という優れものだ。

銅はスマートフォン用のタッチペン先端にも使われる素材で、画面を傷つけることもないという。

今の時期、特に便利そうなこの商品。どのような経緯で開発したのだろうか? ギルドデザインにお話を伺った。

すでに2万5000個ほどの受注

ーー「アシストフック」はどのような経緯で生まれた?

4月上旬に新型コロナウイルスの影響で、多くの方が接触感染を恐れ「電車の手すりを握らずに乗車している」とのコメントをSNSで拝見しました。電車等に少しでも安全に乗車頂けるよう、ギルドデザインの設計、加工の技術がお役に立てればと急ぎ設計、製作したものです。

ーー商品化するにあたり、こだわった部分は?

この商品で一番重要視したのは、電車の手すりに使用できるというところと、純銅(99.9%)を使用するところでしょうか(銅の純度が高いほどウイルスの不活性化を早めるそうです)。

また弊社ではオートバイのレース用部品の設計も行っています。レース用部品には機能性のみを追求し、市販の自動車のような見た目のデザイン(意匠デザイン)は一切ありません。本製品も同じ考えで機能性のみを考えて設計されています。カードサイズという制限の中で、必要とされる機能を付けていくと、自然とこの形になります。


ーー反響はあった?

多くのSNS、メディアでご紹介頂き、皆様のコロナ対策グッズへの関心の強さが分かりました。


ーーこれまでどれくらい売れた?

4月15日夕方より受注を始めて、17日夕方の時点で2万5千個ほどの受注を頂きました。年間販売数を1万個と想定していたので驚きました。


ーーちなみに、新型コロナウイルスは会社に影響はあった?

昨年比で通常商品の売上が半分ほどになっていました。

4月上旬にSNSのコメントを見て生まれたという「アシストフック」。ここまで早く商品化できる技術には驚かされる。また、機能性のみを考えて設計されたということだが、財布にも入れることができる持ち運びやすさも人気の理由なのだろう。

なお、想定以上の注文があったことから現在は受注を停止し、5月末の再開を見込んでいるとのことだ。

技術力が高い会社が他にも!

そして、同様の商品を製造する会社が実はほかにもあった。

ピンバッジやメダル、キーホルダーを製造、販売している「桂記章」(石川県金沢市)の「マルチタッチツール」(税抜き1800円)という商品だ。

「マルチタッチツール」も「純銅削り出しアシストフック」同様に銅でできていて、フックの形状をしている。こちらもやはり、エレベーターのボタンやATMのタッチパネル、ドアノブ、引き戸の取っ手などに手で触れずに操作することができる。

サイズは縦75mm、横35mm、厚み3mm、重さは約30gとコンパクトで持ち運びやすそうなサイズ感だ。

桂記章にも「マルチタッチツール」の開発経緯についてお話を伺った。

メダルなどの受注が急減し、必要とされる商品を探した

ーー「マルチタッチツール」はどのような経緯で生まれた?

弊社は金属プレス加工メーカーで、スポーツ大会のメダルや社章および観光地向けのキーホルダー等を銅や真鍮などで製作していますが、新型コロナウイルスの影響で受注が急減した為、このコロナ禍で必要とされる商品として抗ウイルス機能を持った商品を開発できないかと考えました。

エレベーターボタンを爪楊枝で押すという話を聞き、直接触れたくないニーズに気が付き、タッチする機能に加えて引き戸やドアレバー等を操作できる機能を取り入れて、マルチタッチツールを開発しました。


ーーこだわった部分はどこ?

タッチに特化して安全で使いやすい形状を試作を繰り返して製品化しました。

ーーいつ、どのような方法で販売されるの?

5月15日(金)より弊社ネットショップで発売開始します。現在予約受付中です。マルチタッチツールをお取り扱いいただける代理店様も探しております。


ーー今後このような商品が浸透すると思う?

このような抗ウイルス抗菌機能を持った商品は浸透すると思います。コロナウイルスが収束するまでの期間はマスクのように需要が続くと考えています。


ーー新型コロナウイルスの影響は会社にあった?

既存の受注が9割減という非常に厳しい状況です。コロナウィルス感染拡大にともない、各種スポーツ大会が延期または中止となり、入賞メダル製作の受注が3月以降急激に減少しました。

観光地向けのキーホルダー製作の仕事については2月以降急激に減少しています。

桂記章もスポーツ大会のメダルなどの受注が減ったため、現在のニーズに合った商品を考えた結果、「マルチタッチツール」に行き着いたという。安全で使いやすい形状を模索し、フックの形状となったということで、やはりこの形状が一番使いやすいのだろう。


今回紹介した両社とも、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減る中、知恵とこれまで培った技術で生み出した今回の商品。これらが普及することによって少しでも感染防止につながることを期待したい。

ただし、感染を防ぐには私たち一人一人の行動、そして、手洗いなどの基本的な対策が欠かさないことも忘れてはならないだろう。

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