幼稚園で保護されている1羽のツバメの雛。6羽いたはずの雛が1羽だけ保護されることになったわけとはー。

6羽の雛が誕生したが…

「ちっちゃい」「まだ赤ちゃんだから噛みつかないよ」「優しくこうやって」と子どもたちが夢中になっているのは、ふわふわの羽毛に包まれたツバメの雛。名前はピノちゃん。

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福岡・宗像市の『博多のびっこ幼稚園』では毎年、春になると訪れるツバメが園舎の軒下に巣を作り、やがて雛が巣立っていく姿を園児たちが見守ってきた。2025年も6月7日に6羽の雛が生まれたのを園の職員が確認したという。

しかし雛たちが生まれてから4日後-。その日の出来事を園のバス運転手の松吉和昭さんは、紙芝居仕立てにして園児に話して聞かせた。

「6月11日の夜、事件がありました。夜、真夜中、こんなのが…こんなのが」

闇夜に目が光る生きものが…

松吉さんに改めてその日のことを聞いた。「ここに最初、巣があったんですけど、6月11日の夜、壊されて雛と巣の破片が、ここに散らばっていました」と話す松吉さん。園舎の軒下には、巣の痕が無残な形で残されていた。

事件が起きた夜、ツバメの巣の近くを映した防犯カメラの映像を見ると、そこに映っていたのは、目が光る生きものだった。

「巣から少し離れた場所に鳥が止まっている。目が光っているので、恐らくフクロウだと思う。それが、飛びました。今、巣を襲っています」と松吉さんは防犯画像を指差す。

誰もいない夜、フクロウらしき鳥に襲われて巣は壊れ、雛たちは地面に落下。巣を修復して雛を戻したものの親鳥は戻らず、ピノちゃんだけが生き残った。

親代わりになって育てる

「私が親ですもん。目が開いた時に最初に見たのが私だったから」と1羽だけになったピノちゃんを愛おしそうに両手で包み込む松吉さん。

その後、動物病院と相談しながら、カイロで保温したりエサを与えたりすると、ピノちゃんはすっかり元気を取り戻す。羽根もしっかりと生え、これからもうしばらくすると巣立っていくのでは?と松吉さんはピノちゃんを見詰める。

「ちょっと寂しいですよ。せっかくここまで育てたのにと。でも来年、帰って来てくれるなら、もっと嬉しい。『帰ってきたね、ピノちゃん』と言ってみたいですね」。

この後、エサの取り方の訓練をして、園児とともにピノちゃんの巣立ちを見送る予定だ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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