北朝鮮から飛ばされた「ゴミ風船」。
このゴミ風船をめぐる北朝鮮と韓国の応酬がエスカレートし、緊張が高まっている。
BTS『ダイナマイト』が拡声器で北朝鮮に向け流される
韓国の世界的アイドルグループ「BTS」のヒット曲『ダイナマイト』が9日、拡声器を使って北朝鮮に向けて流された。
この記事の画像(34枚)さらに「北朝鮮同胞の皆さん、こんにちは。真実と希望の声を伝える自由の放送を今から始める」と宣伝放送が流された。
韓国が始めたこの宣伝放送に9日夜、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹・与正(ヨジョン)氏が即座に反応した。
金与正氏の談話:
「泥棒の居直りがごとき行動」「汚らわしくて幼稚な行動」
この1カ月ほどでにわかに激しさを増す、韓国と北朝鮮の応酬。
そのきっかけは5月、韓国の脱北者団体が金正恩体制を批判するビラを北朝鮮に向け飛ばしたことだった。
その対抗措置として、北朝鮮が飛ばしてきたのが、“風船”。
記者(5月29日):
巨大な風船が風に乗って飛んでいくと、警察官とパトカーが同じ方向に追いかけます。
ソウルをはじめ、韓国各地に飛来した風船の中には、タバコの吸い殻などのゴミが入っていたという。
韓国の住民(5月29日):
不安ですね、やっぱり。こんなことはなかったのに。
その後も6月に入り、韓国の脱北者団体がアメリカのドル札や『冬のソナタ』を収録したUSBメモリーなどを飛ばすと、北朝鮮も8日、ゴミが入った風船を飛ばし続け、約80個が韓国国内に落下した。
こうした風船の応酬を経て9日、韓国側がついに風船ではなく、拡声器で北朝鮮に宣伝放送を行ったのだ。
北朝鮮に向けた“宣伝放送”は6年ぶり
南北の境界線付近から、北朝鮮に関連するさまざまなニュースを流し、その合間には、BTSの世界的ヒット曲『ダイナマイト』などK-POPを流し、拡声器による宣伝放送を約2時間行った。
北朝鮮に向け拡声器が使われたのは、6年ぶりという。
北朝鮮事情にくわしい龍谷大学・李相哲教授によると、この宣伝放送は北朝鮮が最も恐れるもので、韓国と北朝鮮は間違いなくさらなる緊張関係に向かうとの見方を示している。
一方、韓国の宣伝放送に対抗し、北朝鮮も拡声器による放送の準備を進める動きが出ている。
北朝鮮が南北の境界地域で韓国向けの放送を行うため、拡声器を設置する動きが韓国軍によって確認された。
北朝鮮は過去にも、休日や深夜の時間帯に金正恩総書記をたたえる歌を拡声器で流したことがあり、宣伝放送の応酬となる可能性がある。
(「イット!」6月10日放送より)