品川・名古屋間の2027年開業を断念したリニア中央新幹線。6月4日夜、長野県大鹿村で開かれた説明会で、JR東海は村内の2つのトンネルの完成が計画より3年から4年遅れると明らかにした。住民からは「見込みが甘い」「さらに我慢しないといけないのか」など疑念の声が上がっている。

土木工事の完了は約3年から4年遅れ

6月4日夜、大鹿村でリニア中央新幹線の住民説明会が開かれた。

JR東海中央新幹線建設部名古屋建設部の古谷佳久担当部長は「土木工事の完了は約3年から4年遅れとなります。大変、申し訳ない思いでございます」と述べ、工事の遅れを陳謝した。

リニア中央新幹線の住民説明会(長野県大鹿村 6月4日)
リニア中央新幹線の住民説明会(長野県大鹿村 6月4日)
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説明会は、当初「2027年」としていた品川・名古屋間の開業を3月に断念したのを受けたもの。

大鹿村では現在、「南アルプストンネル」と「伊那山地トンネル」の2つのトンネル工事が進んでいる。

JR東海は、村内の工区の完成時期を「南アルプストンネル」は2026年11月から2030年夏ごろに。「伊那山地トンネル」は2026年9月末から2029年夏ごろになると明らかにした。

大鹿村では「南アルプストンネル」と「伊那山地トンネル」の2つのトンネル工事が進む
大鹿村では「南アルプストンネル」と「伊那山地トンネル」の2つのトンネル工事が進む

工事の遅れの理由は…

遅れた理由として、「土かぶり」と呼ばれる地表からトンネルまでの深さが場所によって1000メートルを超えることや地質のもろさを挙げた。いずれも着工する前から懸念されていた。

古谷担当部長は「地質データを踏まえて、補助工法の実施や支保を二重にするなど、前回計画の想定よりもかなり遅れている」と説明した。

JR東海の説明
JR東海の説明

住民「見込み甘い」「さらに我慢…」

現在、大鹿村を通る工事車両は多い日で960台。増減はあるとしてもまだ5、6年は続くことになる。

出席した住民からは「見込みが甘かったのでは」「さらに我慢しないといけないのか」「住んでいる方はとってもつらい」「工期があの通りになるとは思わない」といった疑念の声が上がった。

リニア中央新幹線の住民説明会(長野県大鹿村 6月4日)
リニア中央新幹線の住民説明会(長野県大鹿村 6月4日)

古谷担当部長は「地元の皆さんの意見を聞いてしっかりコミュニケーションを図って進めていくのが大切」と話した。

JR東海は飯田市の新しい駅も予定した2026年3月までの完成は難しいとして、7月、住民説明会を開くことにしている。

資料
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(長野放送)

長野放送
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