石川県白山市の放課後児童クラブで、現在30代の男性支援員が女子児童2人に対してわいせつな行為を繰り返していたことが明らかになった。運営する社会福祉法人・佛子園は全職員への聞き取り調査を実施しながらも問題を認定せず、その後も性的虐待の詳細を保護者に説明しなかった。保護者の一人は「隠蔽していた上の人たちも同罪だと思っている」と強い言葉で不信感をあらわにした。

「撮影しないでください」――会見で際立った不透明な姿勢

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5月20日、佛子園は報道向けに説明の場を設けた。しかし、その場の雰囲気は冒頭から異様だった。司会者が「静止動画(理事長が無言で座っている様子を1分間撮影)とさせていただきます。撮影につきましてご協力お願いします」と告げ、映像での撮影を制限。

記者が「理事長、それでよろしいんですか?その形で今回の会見ですけど」と問いかけると、司会者は「今の動画も撮らないでください」と重ねて要求した。

佛子園側が映像撮影を許可しなかった理由は、「被害を受けた児童や保護者などへの配慮」だという。撮影が認められたのは、雄谷理事長による謝罪を含む冒頭部分のみ。理事長はしばらく無言のまま沈黙した後、「本当にこのことを深く受け止め、何よりも深くお詫び申し上げます」と述べ、「はい、以上となります」という司会の声とともに、わずかな謝罪の場は幕を閉じた。

その後の詳細な説明についても、映像撮影は認められないままだった。被害を受けた子どもたちや家族を守るという名目は一定の理解を得られるものかもしれないが、組織としての説明責任という観点から見ると、閉鎖的な姿勢が際立つ場となった。

何が起きていたのか―2023年度から24年度にかけて女子児童2人に被害

佛子園の説明によると、事件の発端は複数の保護者からの相談だった。白山市はその相談を受け、2024年9月から佛子園に対する監査を開始。その結果、児童に対する虐待行為5件が認定された。このうち性的虐待は2件にのぼる。

2023年度から2024年度にかけて、白山市内の放課後児童クラブで、現在30代の男性職員が高学年の女子児童2人に対し、尻や下半身を触るなどのわいせつな行為を行っていたとされる。
問題の男性職員は2024年8月に依願退職している。しかし、佛子園が実施した聞き取り調査に対して「故意ではなかった」と述べたという。

放課後児童クラブは、子どもたちが放課後の時間を安心して過ごすための場所である。保護者にとっては、子どもを安心して預けられる環境であることが大前提だ。その信頼が根底から崩れた。

2024年度に聞き取り調査も「問題なし」――なぜ見逃されたのか

重大なのは、佛子園が2024年度に全職員を対象とした聞き取り調査を実施しながら、「問題のあった行為は認められなかった」として対応をとらなかったという点だ。
組織として調査を行いながら、なぜ虐待の実態が明るみに出なかったのか。その後、白山市による外部監査によって虐待行為5件が認定されていることを踏まえると、内部調査の実効性に深刻な疑問が残る。

さらに、2025年3月に佛子園が開いた保護者向けの説明会でも、性的虐待についての詳しい説明は佛子園側からはなかったという。保護者たちが虐待の実態を詳しく知ることになったのは、その説明会に出席していた「以前佛子園で働いていたスタッフ」が声を上げたことによる。組織の内側にいた人物の告発がなければ、真相は今も闇に包まれていた可能性がある。

「服の中から手を入れられた」――元スタッフの告発で明かされた実態

佛子園側の説明会では語られなかった被害の実態は、元スタッフの証言によって初めて明らかにされた。保護者の言葉は衝撃的だ。
「盗撮とか、おしりだけじゃなくて、下半身全部触られたとか」「服の中からという話」「手を入れられたとか、結構な内容。でもそれも佛子園側からではなくて、その暴露してくれた支援員さんが言った言葉だから」

この証言が示すのは、被害の深刻さだけではない。佛子園が保護者説明会という公式の場において、被害の実態を積極的に開示しようとしなかったという組織の姿勢そのものだ。告発した元スタッフがいなければ、保護者たちは被害の全容を知ることすらできなかった。

「隠蔽した人たちも同罪」――募る保護者の怒り

証言した保護者たちの言葉には、個別の事案への怒りにとどまらない、組織全体への不信が色濃く滲んでいる。
「やったことに関しては許せないし、それを隠蔽していた人たちも本当に許せん。同罪やと思っている。」
「隠蔽していた上の人たちはみんな解雇してほしいです。じゃないと安心できんよね。だってどうせまた何かあったら隠蔽するもん、その人は。」
「子どもたちをじゃなくて、自分の身を守るような人だよね。」

この怒りは、加害行為そのものに向けられていると同時に、それを組織として適切に扱わなかった管理体制への批判でもある。虐待を行った職員が問題なのはもちろんだが、内部調査で「問題なし」としながらも実際には虐待が認定され、説明会でも詳細を明かさなかった経緯を踏まえれば、保護者の不信感は当然だ。

子どもたちが毎日通い、生活する場所を提供する組織として、何よりも優先すべきは子どもたちの安全と、保護者への誠実な情報開示であるはずだ。「自分の身を守るような人」という言葉は、組織の体質そのものへの痛烈な批判だろう。

佛子園の再発防止策と、残る疑問

佛子園は再発防止策として、現場での情報共有の強化と職員への研修の徹底を行っていくとしている。

しかし、保護者たちの声が示すように、問題の核心は個々の職員への研修だけでは解決しない。内部調査が機能しなかった理由、説明会で性的虐待の詳細を開示しなかった判断の経緯、そして組織としての隠蔽が疑われる構造的な問題——これらに対する明確な説明と責任の所在を明らかにすることなしに、失われた信頼を取り戻すことはできないだろう。

会見での撮影制限、わずかな謝罪だけで終わった冒頭、映像に残らない形での詳細説明。一連の対応が、保護者や社会に「自分の身を守るような」組織の姿として映っているとすれば、それ自体が佛子園にとって深刻な問題であるはずだ。

佛子園は、能登半島地震を受けて積極的な復旧復興活動に励んできた。復興支援のため「コミセンBASE」を仮設住宅そばで運営しているのも佛子園だ。だからこそ、今回の対応は、大変、残念に思える。

被害を受けた子どもたちとその家族にとって、安心できる日常を取り戻すことが最優先であることは言うまでもない。地域の子どもたちを預かる放課後児童クラブとして、佛子園がどのような具体的行動を示していくのか、今後も注視していく必要がある。

(石川テレビ)

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