JR東海は、リニア中央新幹線の開業目標を「2027年」から「2027年以降」に変更した。理由は静岡工区の遅れだ。長野県内唯一の駅ができる飯田市では困惑の声が上がっている。商工会議所の会頭は「部分開業も検討すべきだ」としている。
静岡工区の遅れが理由…
12月21日に開かれたJR東海とリニア中央新幹線の関係市町村の意見交換会。
冒頭、JR東海の宇野護副社長は、「現時点で新たな開業時期を見通すことはできない状況ですが、可能な限り、早期の開業を目指して取り組んでいく」と述べた。

品川・名古屋間を40分で結ぶ「リニア中央新幹線」。開業目標は「2027年」だったが、JR東海は、このほど静岡県内の工事の遅れを理由に「2027年以降」への変更を国に届け出た。
長野県内で唯一、駅ができる飯田市。
市は周辺に駐車場や広場を整備する計画で、開業時期が不透明になったことに波紋が広がっている。
予定地の周辺では立ちのきが終わった建物を取り壊す工事が進んでいる。

地元困惑「急いで引っ越したのに」
この一角に、かつてあったのが、自動車の修理や整備を行う「ガレージいじりや」。
2023年3月、2キロ余り離れた所に移転した。
社長の小林由季さんは2023年3月までと期限を切られたため、移転先探しには苦労したという。
「毎晩毎晩、社員たちと飯田市内をぐるぐる走って、ここの空いてる土地はどうなのか、ここはどうなのか、そんなレベルでずっと探していたので」と、小林社長は話す。

急いで引っ越したのに、開業時期は不透明にー。
小林社長は、「やっとの思いで引っ越しした身からすると、やるならちゃんとやって下さいって感じですよね。思い入れってすごくあるじゃないですか、出ていった人の気持ちはわかってほしい」と話す。
商議所「部分開業も検討すべき」
飯田商工会議所の原勉会頭は「地元の経済界はリニア開業を前提にして動いている」とし、部分開業も検討すべきだとしている。
「開業が2028年だか29年だか全然わからないと、事業投資はできなくなる。少なくとも名古屋からまずできたところからリニアは動かして、全線開業まで動かさないというのは、それは困ると言わないと」と、原会頭は話す。

12月21日の会合では「開業時期を早く明確に」という声に、JR東海側は「静岡工区が着工しないと申し上げることができない」と答えたという。
飯田市の佐藤健市長は、「もう少し具体的にスケジュールが明らかにならないと、われわれとしては状況が変わらないので、ぜひ早く示してほしい」と、やきもきしている。

(長野放送)