2024年3月、新潟県燕市の入浴施設で意識を失って溺れた高齢男性を助けたとして救助に携わった客やスタッフに市から感謝状が贈られた。男性の命をつなぎとめたのは咄嗟の連携や普段の備えだった。
男性を救った客・スタッフに感謝状
燕市の鈴木力市長から感謝状が贈られたのは、燕市の入浴施設・てまりの湯のスタッフと現場に居合わせた2人の男性客だ。
この記事の画像(9枚)感謝状を受け取った五十嵐美博さんは「自分が一緒に湯船につかっていて、隣で顔がどんどん湯船につかっていく感じだった。それを繰り返していて、『大丈夫ですか?』と聞いたら『大丈夫です』と答えたが、数分後に潜っていってしまった」と当時について話す。
また、同じく男性を救助した柳川光宏さんも「沈んでいる姿を見て『早くなんとかしないといけない』という気持ちに。1分1秒の命だったので、急いで無我夢中だった」と振り返った。
人工呼吸や心臓マッサージで意識回復
この事故があったのは2024年3月。
てまりの湯で入浴中だった70代の男性が意識を失って溺れ、客として異変に気付いた五十嵐さんなどが浴槽から引き上げ、すぐにスタッフに連絡したという。
てまりの湯の乾博之副支配人は「脈をとると、もう薄かったので、そのまま、ここで心肺蘇生をやった」と振り返る。
男性の意識がなかったことから、スタッフが人工呼吸や心臓マッサージを10分以上にわたって行った結果、男性は意識を取り戻したという。
この時、AEDも用意していたが、スタッフの判断により使わなかった。
この理由について「体がぬれていて、下手な反応が出たらまずいと思ったので、まず蘇生と人工呼吸を優先させた」と乾副支配人は明かす。
“普段の備え”が男性の命救う
突然の事態でも冷静に対応できたのは、普段の備えのおかげだと乾副支配人は話す。「年2回、消防訓練とお客様が倒れた時の対応、AEDの使い方を訓練している」
燕・弥彦総合事務組合消防本部の若林純一消防長は「119番通報から現場に着くまでには、やはり時間がある。その時間、何もしないのではなくて、蘇生をしていただくことによって傷病者の社会復帰がかなうものだと思っている」と今回の対応を称えた。
たまたま居合わせた客やスタッフの備えに基づく適切な対応が一つの命を救った。
(NST新潟総合テレビ)