障がいのある人たちが生み出すアート作品は、その独特の表現が“癒しの力”を持つとされているが、その一方で、作り手や作品が埋もれてしまっている例も多い。障がいのある人たちのアート作品をグッズにして販売し、収益につなげようと奮闘する女性が広島にいる。その新たな可能性を取材した。
福祉事業所でつくられたアート作品を販売・レンタル
色とりどりのポーチや毛糸の編み物などのグッズは広島県内の福祉サービス事業所で作られたもの。
![福祉事業所でつくられたグッズ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/2/700mw/img_1272e867e2e3187f819dd05b46ed0b5b554517.jpg)
これらは、事業所に通う障がいのある人たちが手がけたアート・グッズ。そんなグッズを社会に発信しようと活動しているのが「KONKON」の佐々木恵理子さん。
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佐々木さんは、事業所でつくられたグッズを世の中に知らしめ、収益を出すことに注力している。
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企業への卸売りをしたり、イベントでの小売りや、独自のウェブサイトでの販売もしている。
![ウェブサイトでのグッズ販売](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/700mw/img_e0d67a37935599a02909feeccb52a8fe412909.jpg)
販売しているグッズにはQRコードがついていて、佐々木さんが取材した作者のストーリーに飛ぶようになっている。
![貸し出された作品](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/b/700mw/img_0b867f9aa044ba4109d2bfcad420b49b590604.jpg)
このほか、レンタル料が描いた人に支払われるアート作品の貸し出しも行っている。福祉事業所には定期的に、成果の報告をしている。
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KONKON・佐々木恵理子さん:
本田さんの作品を以前報告した会社で展示しました。売り上げの6600円をきょうお持ちしました。素敵な作品を貸してくれてありがとうございました
もともと、福祉の世界とは無縁だった佐々木さんには、ある出会いがあったという。
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KONKON・佐々木恵理子さん:
すごくかわいい商品があって、手に取って裏側に書いてあるURLを検索したら福祉事業所で、そこがギャラリーも持っていたので、見学に行ったのがきっかけです。こんな素敵なアートが生まれていることに心を動かされて福祉の世界に入りました
福祉事業所で働き始めた佐々木さんは、そこで事業所の現実を知ったという。
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KONKON・佐々木恵理子さん:
福祉的な仕事をするだけでも職員の方はすごく忙しいので、ものを作ることは事業所の利用者と一緒にできても、販売や宣伝までを、職員の勤務時間内にするのは、すごく難しいということを身をもって感じました
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その経験もあって、佐々木さんは事業所を退職して、作品と社会をつなぐ会社「KONKON(コンコン)」を立ち上げた。
作品のグッズ化は事業所利用者の生きがいに
事業所では、販売する商品の準備を利用者が参加して行う。利用者の石澤美穂さんはイベント会場でグッズの販売を担当する。
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体に障がいがある伊世伸一さんは、パソコンを操作し、商品の管理を担当している。
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イベントで販売するのは、オリジナルのTシャツで、シャツのデザインは、事業所の利用者が描いた百数十枚の絵から選ばれたもの。事業所の利用者は、毎年開かれる展覧会のために絵を描く。
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利用者・石澤美穂さん:
Tシャツの絵には、みんなの思いとか、こうなってほしいという思いもあったりする
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これまで採用されたデザインは50作品近くある。この事業所では、利用者の描く作品のアートとしての可能性を大切にしてきた。
![利用者の人たちが描いた原画](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/5/700mw/img_55d7f9874d0833a7757995ed3716ba67438217.jpg)
利用者・石澤美穂さん:
これ以外にも「平和Tシャツ」があるんです。平和の願いを思って書いてもらっている
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平和Tシャツは今から34年前、湾岸戦争の時に作られた。ニュースで伝えられる戦場の映像を見て、利用者らが「自分たちにできることはないか」と考えて、平和の大切さを伝えるTシャツを作ったのが始まりだったという。
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イベントでTシャツ販売を担当する、石澤さんと伊世さん。コロナ禍以来、久しぶりの対面販売だ。
利用者・伊世伸一さん:
イベントで直接お客さんと触れ合うことがすごくうれしいです
Q:楽しみですか?
はい楽しみです
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Q:喜んでくれると頑張ろうと思う?
利用者・石澤美穂さん:
仕事のやりがいがある
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たくさんの人の様々な思いが込められた作品。佐々木さんがこだわるのは、作る人たちの魅力をいかに伝えるかだ。
グッズのQRコードから作者のストーリーが
KONKON・佐々木恵理子さん:
必ず裏にQRコードを付けるようにしていて、ここを読み取ってもらうと、私が取材した記事に飛ぶようになっています
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福祉事業所には、障がいがありながら、様々な特技を持った多くの人たちがいて、1つ1つのグッズには作った人たちの思いがこめられている。
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KONKON・佐々木恵理子さん:
この商品たちって、これをきっかけに作っている人たちのことを知るための媒体だと思っているので、これが拡がっていくことで、作っている人を知ってもらって、みんなが生きやすい社会につながっていけばいいと本気で思っています
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佐々木さんの作る障がい者と社会の架け橋は、SDGsの「だれも取り残さない」ことに繋がり、誰もが平等に生きる世界の実現に向けて、新たな可能性を広げ始めている。
(テレビ新広島)