仙台市にある宮城学院女子大学で新種のサンショウウオが発見された。大学構内の水辺に生息しているのが発見されたこのサンショウウオ、はじめは在来種だと思われていたが、よくよく調べたところ、新種と判明!いったい、どんなサンショウウオなのか。
在来種と思って研究…他大学が「新種では?」
この記事の画像(8枚)宮城学院女子大学で今回発見された新種は、生息地である仙台と山形から「センザンサンショウウオ」と名付けられた、見た目は普通のサンショウウオ。大学構内の森林で繁殖しているのを見つけて、研究していた当時の助教授も、「トウホクサンショウウオ」という、もともといる生き物だと思っていたそう。同大学の田中一裕教授も、「間違いなくトウホクサンショウウオ」だと思い、研究の手助けをしていた。ところが、その論文を読んだ高知大学の先生が、「もしかして新種では?」と思い、実際に個体をよく調べたところ、在来種とはDNAが異なる「新種」と判明したという。
ただ、勘違いするのも無理はない。なぜなら、在来種のトウホクサンショウウオとセンザンサンショウウオは、見た目にはほとんど違いがないのだ。違うのは上の歯の幅の比率くらいで、よほどのことがない限りは見た目では判別できないという。
発見相次ぐサンショウウオの新種
実はサンショウウオの新種は、全国で発見が相次いでいるのだという。日本に生息する約50種類のサンショウウオのうち、約半数がここ10年ほどで見つかった新種なんだそう。
近年、DNA解析が研究に取り入れられたことで、これまで在来種と思われていたサンショウウオが「新種だった」という、今回のような事例が続々と報告されているという。
繁殖池の場所はトップシークレット
取材班も実際に野生のセンザンサンショウウオをその目で見るべく、田中教授と交渉。だが、取材した時期は繁殖池の周辺にサンショウウオの親がおり、昼の間は落ち葉の下に潜っていることが多いということで、我々が近づくと踏みつぶしてしまう可能性があるという。貴重な生態系を壊すわけにはいかない。
センザンサンショウウオの繁殖池の場所は、大学の中でも一部の人間しか知らないトップシークレットだ。
しかし、同じく大学構内の近くの小川にセンザンサンショウウオの子供がときどき姿を現すのだという。田中教授が言うには、雨などで繁殖池が増水した際に、小さな個体が流されて下流の小川に現れることもあるのだという。この場所なら探してもいいということで、捜索を開始!
小川の草の根本あたりに網を持っていき、ガサガサとしてみる。網を取り出して、中をチェックし、生き物が隠れていないかを探す。獣道にも踏み込んで、広範囲を探すこと約2時間。
残念ながら、今回はセンザンサンショウウオに出会うことができなかった。田中教授曰く、繁殖池以外で発見することは相当難しいそうだ。
身近な自然の中にこそ“新発見”
最後に、田中教授に今回の新種の発見について伺った。
「身近な自然だけれど、注意して見ていれば何かしら発見はある。その発見は、我々が遠くにいて観察しても難しいが、身近なものをしっかり観察することで、新発見につながる。今回の発見が生き物に興味を持ってもらうきっかけになって、自然を大切にする人が増えてほしい。」(宮城学院女子大学 田中一裕教授)
新しい発見は身近なところにこそ、潜んでいるのかもしれない。
(仙台放送)