暑さをしのぐアイテムとして人気が高いハンディーファン。正しく使わなければ発火する可能性がある。「リチウムイオン電池」を使った製品に潜む危険性を、秋田市消防本部が実験で確かめた。あなたのハンディーファンは大丈夫?

落としただけでは変化なし…だが要注意

「リチウムイオン電池」は、充電ができる上に一般的な電池よりも小型で軽いのが特長。

「リチウムイオン電池」はパソコンやモバイルバッテリーなど様々な製品に使われている
「リチウムイオン電池」はパソコンやモバイルバッテリーなど様々な製品に使われている
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パソコンやモバイルバッテリーなど身近な製品に使用されているが、強い衝撃を受けたり、高温になる場所に長時間置いたりすると発火する可能性がある。

秋田市消防本部は、リチウムイオン電池を使ったハンディーファンに衝撃を加えるなどの実験で危険性を確かめた。

まずは落下実験。
誤って落としてしまった場合を想定して落下させてみたが、目立った変化はなかった。

落とした場合、見た目の変化がなくても状態確認を
落とした場合、見た目の変化がなくても状態確認を

しかし、強い衝撃で壊れ、発火などにつながる恐れがあるという。落としてしまった場合は、状態をよく確認するなど注意が必要だ。

表面温度80℃超で発火

続いては加熱実験。
駐車した車のダッシュボードに置いた場合を想定し、2つのハンディーファンを熱して人工的に高温の状態を作り出した。

表面温度が80度超で本体から発火
表面温度が80度超で本体から発火

1つは、加熱開始から2分半、表面温度が80度を超えると、電池ではなく本体の樹脂から火が出た。

煙が出た後、バッテリーが破裂し発火
煙が出た後、バッテリーが破裂し発火

もう1つは、熱を加えてから17分後、表面温度が94度を超えると煙が出始め、バッテリーが破裂。発火した。

次はモバイルバッテリー。
落としただけでは特に変化はないが、圧力が加わると、カバーが盛り上がり変形した。

そして、釘を刺して壊れた状態を再現すると、わずか40秒で煙が出始め、2分を過ぎると表面温度は91度に。

カバーが開き、中が真っ赤に焼けたモバイルバッテリー
カバーが開き、中が真っ赤に焼けたモバイルバッテリー

その直後、カバーがぱっくり開き、中は真っ赤に焼けていた。

電源プラグからの発火にも注意

また、湿度が高い時期は、家電のプラグにも注意が必要だ。

電源プラグやコンセントに付着したほこりや湿気で発火の恐れあり
電源プラグやコンセントに付着したほこりや湿気で発火の恐れあり

電源プラグの突起部分に湿気を含んだほこりなどが詰まると、発火して住宅火災につながる恐れがある。プラグやコンセントにごみがたまらないように日頃から気を配ることが重要だ。

「電気を安全に使ってほしい」と呼びかける秋田市消防本部・大塚豪予防課長
「電気を安全に使ってほしい」と呼びかける秋田市消防本部・大塚豪予防課長

秋田市消防本部の大塚豪予防課長は「リチウムイオン電池を含む製品の廃棄に伴う火災も増加傾向にある。廃棄する時は自治体の回収ごみに出すのではなく、家電量販店などの回収協力店に持参してほしい。火災予防に努め、便利で生活の基盤である電気を安全に大事に使ってほしい」と話している。

リチウムイオン電池は、膨らんでいる場合や充電しても電気がたまりにくい場合は、電池が劣化している可能性があるため買い替えが必要だ。思わぬ危険が潜んでいることを知り、正しく使うことを心がけよう。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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