見通しの良い下り坂でのスピード違反や信号機のない交差点での一時不停止など…運転席からは見えづらい場所から突然パトカーが現れて取り締まりを受けた人もいるのではないだろうか。「堂々と取り締まりをしてくれれば…」との声も聞かれそうだが、こうした警察による隠れた交通取り締まりはなぜ行われるのか。交通量が増える春の大型連休を迎える中、警察にそのワケを聞いた。
隠れての取り締まりは「卑怯」?
「車がないと生活できない」
新潟県をはじめ、車社会となっている地域ではよく聞かれる言葉だ。
この記事の画像(7枚)こうした車が必要不可欠な地域で、重要となるのが交通ルールの順守だ。
しかし、中には法定内速度を守らなかったり、一時不停止や一方通行の標識を無視してしまう人が後を絶たないのが現状となっている。
事故などを防ぐため、警察では交通違反の取り締まりを日夜行っているが、ひっそりと隠れているパトカーを目撃したり、実際に取り締まりを受けたりする人もいるのではないだろうか。
実際に取り締まりを受けた人からは「警察官が近くにいれば違反しなかったのに」「警察の点数稼ぎだ」「隠れて取り締まりをするなんて卑怯だ」などと訴える声も聞かれるという。
なぜ? 警察が隠れて取り締まるワケ
では、一体なぜ運転手から見えづらい位置で「取り締まり」を行うのか。
新潟県警交通指導課に話を聞くと、「警察としては隠れてやっているという認識はない」と回答。
一方で、「隠れて取り締まりをしているように見える」との問いには「一般の人から隠れてやっていると言われる取り締まりは、万が一、別の場所で事件事故が発生した時にすぐにその警察官たちが向かえる側面も持っている。警察は交通違反取り締まりだけでなく、そのほかの犯罪をさせないように活動している」としている。
加えて、「隠れてやっていると言う人は大概周りが見えていない。十字路交差点などで警察が赤色灯をたかずに交差点を見ている時も、車の運転手が周りをよく見ればパトカーがいると分かるはず。周りを見ていないから、急にパトカーが現れたように見えて『隠れていた、ずるい』といった発想になるのだと思う」と話した。
また、警察は交通違反を防ぐために、パトカーによる巡回活動も行っているとして、「警察がいたら止まったのに…という声も取り締まりをしている時に違反者から聞くが、そもそも警察がいなければ止まらないという考え方が間違っている」と指摘。
「交通ルールを守っていれば、警察がいる・いないは関係ない」と強調した。
また、交通違反は多くが結果論であり、一時不停止やスピード違反など、警察官が「違反しそうだ」と感じてもその時点で注意しに行くのは現実的ではないとも言える。
違反者の言い訳で多いのは「警察がいたら止まった」
交通違反の取り締まりは「事故を起こさせないため」というのが大前提だ。
そうした思いから日夜取り締まりやパトロールをしている警察だが、違反者を見つけ、取り締まりをしていると、中には身勝手な言い訳をして取り締まりから逃れようとしたり、警察を非難する人もいるという。
取り締まりをする警察官にもよるが、交通指導課の担当者によると、取り締まり時に言われた一番多い言い訳が「警察官がいたら止まった」だったという。
中には、一方通行の道を逆走していた違反者を取り締まった際には「一方通行の標識だけじゃ分からない」と逆に怒ってきたケースもあったという。
こうした不満の声に対し、「運転者の皆さんは免許取得時に交通ルールを勉強して理解をしたと思うので、警察がいなくても、みんなが快適に道路を使えるように、自分だけの道路ではないという意識を持って交通ルールを守ってほしい」と呼びかけた。
大型連休中…慣れない土地での運転は要注意!
県警交通企画課の交通総合対策室の分析によると、大型連休中は県外から訪れた人による事故の件数が多いという。
2023年3月29日から4月7日の人身事故の件数は65件で、このうち11人の運転者が県外から訪れていた人だった。
一方で、その1カ月後の4月29日から5月7日の大型連休中の人身事故の件数は67件で事故件数はあまり変わらないものの、このうち県外から訪れていた運転者の人数は27人と倍以上に増加していた。
こうした原因について、警察は「慣れない土地ということもあり、道が分からなかったり、標識を見落としたりしているケースが多い。県外などの行楽地に行った際は普段以上に注意して運転してほしい」と呼びかけている。
春の大型連休を迎える中、事故を起こしたり、違反をして警察の取り締まりを受けることがないように、改めて車を運転する際には交通ルールを順守することが大切だ。
(NST新潟総合テレビ)