能登に根差す「能登人」を訪ね、復興にかける思いを伺うシリーズ「能登人を訪ねて」今回は、石川県穴水町の商店街で、2度にわたる震災を乗り越え復興に向け動き出した親子を訪ねた。

2度の震災を乗り越え復興に向かう親子

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石川県穴水町。1日の地震で、20人が亡くなり、約500棟が全壊する被害にあった。そんな穴水町の商店街は町の中心部に位置し、約40店舗が軒を連ねている。現在(4月11日時点)は、その内の10店舗が営業を再開している。穴水商店街の会長を務める吉村扶佐司さんが営む文具店は、2月1日に営業を再開した。

稲垣慎一アナウンサー:
お話しを伺う前に、僕、昔ここに来たことがあるんですよ。
吉村扶佐司さん:
2回目やね。
稲垣アナ:
覚えてくれてた!紙相撲を一緒にやったんです。サクラのきれいな時とかに来たかったですけど…

吉村さん:
人生2回目の大地震や。2007年の6強、今は2024年の7。2回出会ってしまった…とんでもない話なんや。
稲垣アナ:
今回の地震はどんな感じだったんですか?
吉村さんの息子 覚司さん:
知っている人の家や店が倒れているというのをこの目で見ると、心が苦しくなるような感じになりました。

「これが自分達の日常…」地震から1カ月で店を再開

店は地震から1カ月後の2月1日に再開した。

稲垣アナ:
お店を明けなならんみたいなところってあったんですか?
吉村さん:
やっぱりこれが自分たちの日常生活だから、スタートだから。人が道を歩いている。今日は一人だけど、店を開いて人が動き始めればありがたいなと思って…夜は電気がついているのが1軒、2軒しかなくても、でも電気がついている、明るいところがあるということで、「開いていてよかった」という人もおります。

営業再開から2カ月、この日は、入学準備用品などが店頭に並んでいた。

稲垣アナ:
買われたのこれ、何ですか?
買い物に訪れた学童保育の人:
色紙。これで子どもたちに、いろいろ書いてもらう、1人ずつ。やっぱり地震で、転校せざるを得ない子がいる。(店が開いていることで)すごく助かってますよ。小さいものから本当に必要なものがたくさんあるので。

もう一度乗り越えるために…

吉村さんと商店街を歩いてみた。

吉村さん:
ここにパーマ屋さんがあったんですけど、2007年の時には復興して去年の12月31日までは仕事をしていたんだけど…どうも辞めるんじゃないかな、なんて心配もしているんです。
稲垣アナ:
この商店街ならではの復興してきた街並み、復興してきた歴史とか、全部ここに詰まってますね。
吉村さん:
「どのようにして人を集めようか」というのをこの10何年間は、そればっかりしていた。

2007年の地震では、約2500棟の被害を受けた穴水町。この時も、穴水商店振興会の会長を務めていた吉村さんは、復興に向けて一丸となるべく、店主らをまとめていた。

その活動の一つが「ふれあいワクワクサロン」だ。商店の店主や地元住民らが、商店街復興のアイデアを出し合った。

吉村さん(当時):
みんながここにいますから、励みになってやり遂げたいな、というふうに思っています。

これから「再編成」…若い人のアイデアで新たな街づくり

吉村さん:
色んなイベントを何回も何回もして、「穴水町は楽しいことをしているぞ」と。去年もしていたが、今年もしているのがか!と。これから話さなきゃいけない事は、再編成というのかな。私ぐらいの年代がばっかりおると、とてもじゃないけど話も合わないし、やることも違うし、だから完全に若い人に任せる。
稲垣アナ:
息子さんの役割って、これから大きくなりますね。

商店街から車で5分ほどの場所に、息子の覚司さんが5年前に開いた、ミニ四駆の専門店がある。

父の店が再開したことで、自分の店も再開の準備に入ることにしたという。

稲垣アナ:
お父さんが商店街を復活させる思いをおっしゃっていましたが、息子さんとしては、どのような思いを持ってらっしゃいますか?
覚司さん:
そうですね。子どもたちもいなくなったりはしましたけど、残っている子どもたちが笑顔になれる場所になればなと思いながらやっていきたいと思っています。

覚司さん
覚司さん

3月17日、覚司さんは穴水町の福祉施設でミニ四駆のイベントを開いた。会場は、久しぶりに顔を合わせた子どもたちの笑顔があふれていた。

覚司さん:
久しぶりにね、子どもたちの笑顔を見られましたし、すごくいいなと思いました。(穴水町に)残ってくれた人に、笑顔になってほしい、というのが思いのもとにあります。

みんなでもう一度集まって…「笑い声が聞こえる街に」

稲垣アナ:
今後、お店や商店をどんな感じにしていきたいと思っていますか?
吉村さん:
2007年はそうだった。今回も、もう一つ踏ん張って頑張ろうじゃないかと。みんな集まってくれよ、というようなことですかね。
覚司さん:
小学校から子どもたちが通ってくるので、その時に笑い声とかが聞けるような場所になればいいなと思っています。

稲垣アナ:
ここからです。また、ぜひ頑張ってください。
吉村さん:
穴水ここにあり!

(石川テレビ)

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