「能登を歩き、能登の皆さんと共に長く続く復興の道のりを見届けたい」日々のニュースでは伝えきれない能登人の「いま」を感じてもらう「能登人を訪ねて」1回目は、能登半島の先端・狼煙町を歩いた。

能登で暮らす人々を訪ねて…

能登半島の最先端、珠洲市の狼煙に来た。海から朝日が昇って夕日が海に沈む場所として大好きな場所だ。今回の地震で地盤が上がってしまって想い出の海岸線は形を変えてしまっている。しかし、こちらの禄剛埼灯台は地震による奇跡的に大きな被害がなかったそうだ。

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稲垣真一アナウンサー:
私はこれから能登の様々なを地域をめぐって、復興に向けて進んでいく街の様子をこの目で見て、そして感じたことを伝えていこうと思っています。

石川テレビ稲垣真一アナウンサー
石川テレビ稲垣真一アナウンサー

能登の人は、土に生まれ土に帰る。そんな能登人に会いに行く。向かったのは禄剛埼灯台の麓の街、珠洲市狼煙町だ。

稲垣アナ:
お久しぶりです。
糸矢敏夫さん:
地震の時ばっかりやね。

この地区の区長を務める糸矢敏夫さん。私は、去年5月、自主防災のあり方について、糸矢さんを取材した。

稲垣アナ:
ここの場所は、避難所ですか?
糸矢さん:
うちの狼煙の集会所で、1月2日からここを避難所にして、つい先日、3月17日に避難所を閉じたばかりです。この避難所、前回(2023年の地震)で壊れて、直して、元日は新年互礼会で、「きれいになったでしょう?今年もがんばりましょう」って酒飲んでる最中に地震が起きたんです。

3月17日まで、避難所として使われていた部屋を見せてもらった。

糸矢さん:
多い時で、ここに40人ぐらい。隣に10人ぐらい寝ていたかなぁ。
稲垣アナ:
このスペースで40人は…
糸矢さん:
まだ良い方ですよ。実は、高齢社会だからお年寄りいっぱいいて、中に認知症がある方もいて…。
稲垣アナ:
誰がどんな世話をしていたんですか?
糸矢さん:
全体ですね。みんなで。そのお世話が大変だから、高齢者と女性はまとまって30人くらい、2次避難に送り出しました。

糸矢さんは、コミュニティの崩壊は絶対あってはならないという信念を持って陣頭指揮を執ったという。遠くへ住民を送り出すのは断腸の思いだったという。

稲垣アナ:
街ごとに、「コミュニティを維持して」と言うけど、二次避難したあとにみなし仮設行く人とか、いろいろな問題があるじゃないですか。
糸矢さん:
それを無くそうと思って、だからまたこれも名簿ですよ。連絡先だけは確保しておいて、何かあったら電話連絡なり、一番効率的だったのは、ライングループを作ってもらって、直接被災者だけじゃなく、その子供さんもメンバーにして、60人くらいのグループ。そこにいろいろな情報を流すと。

電気がついた事をきっかけに次の一歩へ

この日、11日ぶりに避難所に灯りがともった。

みんな:
乾杯!電気つきました。やったー!

この乾杯が次のアクションを生んだ。

糸矢さん:
電気来たので、さあ、今から復興に向かって頑張るかと。のろしリバイバルミーティングというのをそこから一週間おきにずっと今まで9回くらいやった。ここに残っているメンバー、15人くらいでね。

狼煙の町を歩いてみると…

糸矢さんと街を歩いてみた。

稲垣アナ:
こうやって町を歩いてみると、本当に静かなんですけど…今、何人くらいこちらに暮らしているんですか?
糸矢さん:
半分くらい(100人中50人)は戻ってきましたよ。水道が来て、2月の末から。
稲垣アナ:
水道が戻ってきて、少しずつ街も戻りつつある?
糸矢さん:
そこの畑、耕したあとがあるでしょ?
稲垣アナ:
本当や!
糸矢さん:
帰ってきて、みんな畑しています。少し昔の風景が出てきた。観光客がいなかったら、こんなもんですよ。

狼煙漁港にも行ってみたが…

糸矢さん:
あそこに一そう沈んでいるし、それから、流された船もあるし…今すぐ漁に出るという事は難しい状況ですね。

稲垣アナ:
今後の町の復興へのビジョンは?
糸矢さん:
厳しいけれどピンチはチャンスでね。 若い人なら、500万や1000万の借金背負ったって何とかやっていける。そういう気概の有るひとらが、能登にやってきて、狼煙にやってきて、漁業やろうとか農業やろうとか、観光業やろうとかって言う人が、出てくれるような環境を今、一生懸命作っていければと思っています。

これからの能登復興に向け糸矢さんは決意を新たにしていた。

糸矢さん:
ここ狼煙でしょ?復興の”のろし”をここからあげますから!

(石川テレビ)

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