地震から1年半が経ち、震災の記憶をどうつないでいくかが課題だ。そんな中で注目を集めている絵本がある。描いたのは石川県内の小学生だ。話題の絵本の内容と思いを聞いた。

パンダちゃん、大丈夫かな?

幼稚園での読み聞かせ
幼稚園での読み聞かせ
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白山市の幼稚園で行われた絵本の読み聞かせ会。約90人の園児が耳を傾けたのは能登半島地震について描かれた絵本「門前のパンダちゃん」。

読み聞かせ:
1月1日の午後大地震が起きた。
とても揺れた、すごく怖かった。
障子は破れ、窓やふすまは倒れ、
たたみは浮いたり沈んだりと
家じゅうぐちゃぐちゃになった。

絵本を描いたのは白山市の小学4年生大脇優羽咲さん。去年の能登半島地震で輪島市門前町にある祖母の家が全壊した。

現地の状況を見た優羽咲さんは地震への想いを、家に取り残されていたパンダのぬいぐるみを主人公にして絵本にまとめた。

大脇優羽咲さん:
家が斜めになって家の中がぐちゃぐちゃになってすごく悲しかったので描きました。パンダちゃん大丈夫かなとか、家大丈夫かなと思いながら描いていました。

去年の夏に描かれたこの絵本は文芸社が主催する「第27回えほん大賞」で佳作を受賞。地震の記憶を風化させず伝えていこうと母親などが絵本を自費出版し、広める活動を行っている。

幼稚園のころから絵本を描くのが好きだったという優羽咲さんは、地震が起きた時の状況を子ども目線の分かりやすい言葉で描いている。

絵本を読み聞かせる優羽咲さん:
僕は怖かったけどじっと耐えた。
たまたま僕は倒れたふすまとタンスの間にいたから
つぶれることはなかった。
家が壊れていくのをずっと見ていた。

絵本を読み聞かせる優羽咲さん:
いつか門前のお家が直って、
また門前のお家に帰れるといいなぁ。
僕はその日が来るのを願っている。

読み聞かせを聞いた園児:
パンダちゃんかわいそうだった。パンダちゃんが戻ってきてよかったなと思いました。

読み聞かせを聞く園児たち
読み聞かせを聞く園児たち

優羽咲さんの母・希映さん:
東京の方ではもうあまりニュースにならないというのを聞いたときに、もっとこの本を読んで
もらえないかなと思いました。地震について子どもたちに知らせていくっていうのは、とても大切な社会のテーマだと思っていますので、何か防災とかの意識につながれば嬉しいと思っています。

今後はクラウドファンディングによる絵本の増刷を経て、全国の学校や図書館などに寄贈される予定だ。

優羽咲さん:
地震を忘れないで地震のことをたくさん知ってほしいです。

優羽咲さんは車でパンダちゃんを迎えにいく場面で、車窓から見える地震の被害を細かく描写している。子どもだけでなく、大人にもぜひ読んでもらいたい。

(石川テレビ)

石川テレビ
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