11日、約34年ぶりに円相場が1ドル153円を超え、円安が加速した。円安の影響で、アメリカ産牛肉の仕入れ価格が10年で3倍に。この状況に、為替介入の可能性も指摘されるが、日米金利差による円安進行が根本原因だという。
「肉が昔のように安く食べられる意識はなくして」
11日の円相場は、一時1ドル153円を突破し、円安が止まらない状況だ。約34年ぶりの円安の影響は、どこまで広がるのだろうか。
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肉汁したたるビーフステーキを提供する店「ヌーベルバーグ」の清水恒章オーナーは「思ってもみなかったことが、予測もできないような事態が起きている。本当につぶれてしまう店もある」と話す。
この店の牛肉は、アメリカ産がメインで、円安の影響が直撃し、仕入れ価格が約10年で3倍になっているという。
この状況に清水オーナーも「販売価格は3倍にできない、仕入れ価格が3倍になったとしても。肉が昔のように安く食べられるという意識はなくしていただきたい」と悲鳴を上げる。
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3月、日銀はマイナス金利を解除。17年ぶりの利上げを決定したことで、円安に歯止めがかかると思われたが、逆に進むかたちになっている。
「旅行代も食べ物もフィリピンより安い。ビックリ」
羽田空港で、これから海外へ行こうとする人を取材すると厳しい現実が見えてくる。
アメリカ旅行に行く人は、「厳しいですよね。食べ物にしてもいろいろな物が高いので、覚悟している。買い物はしないつもり」、ドイツ出張に行く人は、「取引の時に発注タイミングを考えないといけない可能性がある」とそれぞれ話した。
一方、日本で旅行を終えた外国人は、「USJや大阪の街で買い物したけど、全部アメリカより安かったよ」と笑顔。他の外国人も、「旅行代も食べ物も、フィリピンより安いんだ。ビックリしたね」と驚きを隠さなかった。
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円安は、どこまで進むのだろうか。
鈴木財務相は11日午前10時前、「今、高い緊張感を持って動きを見ているところ。行き過ぎた動きに対しては、あらゆるオプションを排除することなく、適切に対応していきたい」と話した。
「金利上げたい日本」と「金利下げたい米国」
マイナス金利を解除したら、円高が進むと言われていたが、急速に円安が進み、約34年ぶりの水準となっている。
アメリカでの消費者物価指数も、想定より高かった。日米の金利差がますます広がり、円安が加速する見込みで、日本政府の見通しも甘かったのではないだろうか。
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旅行や買い物などの暮らしはもちろん、企業のお金周りにも広く影響する円安。まだ続くのか為替介入はあるのか、フジテレビ解説副委員長・智田裕一が解説する。
改めて為替のグラフを見ると、年明けには1ドル142円台だったが、それから円安が進み、2月ごろには150円台に突入。
3月19日にマイナス金利の解除を決めたことで円高になるという見方があった中で、さらに円安が進んでいる。
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円安に拍車をかけている大前提として、「日本とアメリカの金利の差」がある。
金利の差が開くなか、アメリカでは、高くなりすぎた金利を下げる利下げを目指していた。
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今回、アメリカで高い物価の数字が出たことで、物価上昇を抑えるため、この先も当面、高い水準の金利を続けて、お金を借りにくくしないといけない。つまり、早めに金利を引き下げるのは難しいとの見方が強まった。
一方、日本では、日銀が、マイナス金利政策を解除して、金利を上げる“利上げ”に踏み切ったが、当面は「緩和的な金融環境を続ける」としている。つまり、この先、追加での金利の引き上げは急がないとの方針を示している。
金利を下げたいアメリカは下げられない、金利を上げたいはずだった日本は、そんなに上がらないと、見通しとは逆になっている。
為替介入もタイミングが重要 覆面介入の可能性も
この先、為替介入はどうなるのだろうか。
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鈴木財務相は11日午前、「152円・153円といった数字だけではなく、行き過ぎた動きに対しては適切に対応したい」と発言していて、ある特定の為替水準だけではなく、今後、円安がどの程度、行き過ぎた動きを見せるかを見ていくと言っている。
前回、2022年9月と10月に一連の円買い介入が行われた時のドル円相場の予想変動率(三井住友DSアセットマネジメント作成)をみると、9月は17.0%、10月は19.5%だ。一方、今回は11日までで10.6%と、前回と比べると変動率がそれほど大きくないということがわかる。
また、覆面介入という、介入したかを明らかにせず介入するという方法もある。為替介入の効果を最大限に引き出せるタイミングを狙いながら慎重に判断をしていくとみられる。
(「イット!」 4月11日放送より)