自民党の二階元幹事長は、次期衆院選に出馬しないことで、処分を免れたが、地元を取材すると、政治とカネにまつわる新たな疑惑が浮上した。

【動画】3年間で3400万円以上の"書籍代" 二階元幹事長に新疑惑 裏金で出版か…「本もらった」と話す住民も

■歴代最長の5年以上にわたって幹事長を務めた二階元幹事長

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(Q.(議員引退は)年齢の問題なんでしょうか?)
自民党 二階元幹事長:年齢の制限があるか?お前もその年くるんだよ。ばか野郎。

3月の会見で記者に対し、感情をあらわにした二階元幹事長。

いわゆる自民党の「裏金問題」をめぐって、党内で最も多い3500万円を超える不記載があったことが分かっている。

そんな二階氏が初当選を果たしたのは、今から41年前、44歳のとき。2005年には政治家人生の転機が訪れる。

当時の小泉純一郎首相のもと、いわゆる「郵政解散」で自民党圧勝の功労者となり、歴代最長となる5年以上にわたって幹事長をつとめるなど党の重鎮として君臨。その間に受け取った、使い道が公開されない「政策活動費」は50億円以上にのぼる。

■3年間で3400万円以上、2万8000冊の「書籍代」 裏金で出版?

そんな二階氏が今回の問題にともなって、収支報告書を訂正した際に明らかになったのが、3年間で3400万円以上もの「書籍代」。その数は2万8000冊にものぼり、一部は自身について書かれたものだ。

出版した会社が関西テレビの取材に応じ、本の制作段階ですでに「大量購入」が前提だったことを明かした。

(Q.いくら買い取るとかは?)
ブックマン小宮亜里編集長:6000部です。二階さんの本を出したくて、僕が買い取るからっていうお話はいただいてました。

出版社によると、二階氏の関係者で本の内容を監修した人物が、買い取りを申し出たといい、その人物に対して二階氏の事務所から金が振り込まれていた。

(Q.“裏金”が使われて出版されると知っていたら?)
ブックマン小宮亜里編集長:もちろん作ってません。そもそも二階さんが、全てを買い取っていたということ自体が驚きだったので、想像にも及びませんでしたね。

■二階氏の事務所「『選挙区外』の行政へ配布」と説明も、専門家は「全く理解できない」

約2万8000冊の書籍は一体どこに行ったのか。二階氏の地元の御坊市で住民に話を聞くと、新たな疑惑が持ち上がった。公職選挙法では政治家が「選挙区内」の人に寄付行為を行うことは禁止されている。

一方で姿の撮影をしないことを条件に、取材に応じた人は…
御坊市の住民:袋入って、皆さん順番にお持ち帰りくださいって。
(Q.お土産みたいな感じで)
御坊市の住民:そうですよね。お金は払ってないですね。
(Q.一気に3冊もらった?)
御坊市の住民:いや、何回か(に分けて)。

御坊市の住民:私も4、5冊いただいたように…。
(Q.無償で?)
御坊市の住民:読んどいて、ということでいただいたと思うんです。

他にも複数の住民が「二階氏の本をもらったことがある」と回答。

二階氏の事務所は「選挙区外」の行政や、議会関係者などに配布した、と文書で説明している。

これについて専門家は…
神戸学院大学 上脇博之教授:選挙区と全く無関係なところで本を配って、何の意味があるのかですね。私には全く理解できないですね。二階さんにやっぱり説明を、求め続けないといけないんだけど、それでもやらないんだったら、自民党本部がちゃんと責任を持って、説明しないとだめですよね。

選挙への不出馬を表明したことで、処分をまぬがれた二階氏に持ち上がった新たな疑惑。

「幕引き」を急ぐ自民党だが、このままで国民が納得するはずがない。

番組コメンテーターでジャーナリストの浜田敬子さんは、「出版社側が政治家の本を出すときは、必ず買い取りを期待する。総理になるクラスの人だと一般の人も購入するが、普通の議員の本を買うことは無いので、買い取りを期待します。誰に配るのかと想像すると、選挙区外の人に配ることは想定してない。有権者に対して自分の政策や人生観を分かってほしいから、パンフレットの代わりにわたす感覚だと思うが、厳密に言えば寄付行為にあたる。この認識が非常に甘い」と話した。

二階元幹事長に処分を下さなかった自民党の対応を有権者はどのように判断するのだろうか。次の選挙の焦点となる。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月5日放送)

関西テレビ
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