能登半島地震の発生から4月1日で3カ月が経過した。この間、被災地に心を寄せていた人がいる。金沢市生まれで人気アイドルグループ、SixTONESのメンバー、森本慎太郎。イットでは、森本さんと被災地を巡り、今、被災地が抱える課題を取材した。今回、森本さんが訪ねたのは、被災地での炊き出し。石川県内ではいまも約8000人が避難生活を余儀なくされている中、輪島市では地震発生の翌日から料理人が集まり今も炊き出しを続けている。その思いに迫った。

輪島の料理人が集まる”炊き出し”

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輪島市朝市通りのすぐそばにある長屋。

SixTONES 森本慎太郎さん:
お邪魔します。ここは何をしている場所なんですか?
池端隼也さん:
今、輪島市内の炊き出しをでやっているんですけど、だいたい2000食くらいをここで作っています。

森本さん:
輪島市内でお店をやられていたんですよね?
池端さん:
今年で10年目だったんですけど…全壊でした。

料理人を束ねる池端隼也さん。実は…

ミシュランの一つ星に選ばれた輪島市のフランス料理店。「ラトリエ・ドゥ・ノト」のオーナーだ。

池端さん(当時):
これからももっと地域の、能登の素晴らしいものをお客様に提供したいと思っています。

自分が被災しても”輪島”のために…

輪島で生まれ育った池端さん。今回の地震で店は大きな被害を受けた。

それでも…。

池端さん:
どうぞー、気をつけてね!お父さんパン、はいどうぞ!温かいやつ食べてね。

地震発生翌日から、毎日休むことなく栄養バランスを考えた炊き出しを続けている。

さらに…

スタッフ:
白菜いっぱいだから。はーい。どうですか?1杯500円です。

復旧作業のため全国から駆けつけた作業員に向けた炊き出しも行っている。無料では食べにくいからと1杯500円。食材の購入資金にあてている。

自ら被災しながらも、ここまでやる理由は?

池端さん:
能登の自然の中で、10年間、毎日、料理してきたので、なんて言うんですかね、考えなくて、自然とやったと言う感じ。ま、なんか、本能的なものですかね。(料理人仲間の)みんなも声をかけたらすぐに手伝いに、来てくれて。

輪島の飲食店オールスター

調理場を案内してもらった。

池端さん:
ここで作っているんですけど。こっちでニンジンとか切ってほしいんで、お手伝いとかお願いします!
森本さん:
はい、僕にできる事があれば。

森本さん:
そんな薄く切るんですね。
池端さんの料理人仲間:
でないと火の通りが早くならないので。
池端さん:
それじゃ遅いです!ぱっぱぱっぱ行きましょう!時間ないよー!(笑)
森本さん:
そうですよね、炊き出しですからね!
池端さん:
輪島の飲食店オールスターなんで。

森本さん:
伝えたい事とか、知っておいてほしいこととかありますか?
池端さんの料理人仲間:
震災の時は、勢いで頑張れたけど、ちょっと時間がたつと、将来の事とか…考えてしまうとやっぱり元気がなくなる。
別の料理人仲間:
現状としてほぼ何も発災当時から変わってないから、「忘れないでほしい」

みんな:
せーの!

この日も多くの人が炊き出しを求めて並んでいた。

炊き出しをもらいに来た人:
いつもありがとう
料理人仲間:
こちらこそ、頑張ってね。

池端さん:
やっぱりね、心がこれから大事だからね、テンションが上がることはすごい大事だと思う。

池端さん:
きょうねごはん森本君いれてくれているからね!森本風味です!いつもより美味しいです!

記者:
森本さんは被災地に来ていいのかなって思っていたみたいです。
訪れた人は:
いや、もう。元気もらえた。ありがたい。よかった。

池端さんの料理人仲間:
ここまで入り込んで一緒にやってくれる人はおらんかった。
森本さん:
本当ですか?

被災地にはあの人の姿も…

さらに、この日、被災地に駆けつけたのは…俳優の常盤貴子さん。

常盤貴子さん:
やってますね!
森本さん:
やってます、やってます!

能登を何度も訪れている、常盤貴子さんです。

おばあちゃん:
急に元気が出ました。ありがとう。

常盤さん:
私は、結構、いままで会えなかった人に会えたりとかもしているので、会えるという事がこんなにも貴くて嬉しいことなんだってすごく感じて。だから、今回出会った人に、また会いに来ていただけたらなって思います。

森本さん:
(全国の人に)忘れさせないためにも、ずっと続けていくことが大事。
常盤さん:
いっしょにこれから能登を応援していけたらなって。仲間として、よろしくお願いします。

能登半島地震から3カ月。輪島市の坂口市長にも話を聞いた。

森本さん:
実際、歩いてみて、街の雰囲気が、そんなに復旧に向けて進んでいないのかなと、少し感じ取れたんですけど。

坂口市長:
解体・撤去するときに中々進まない理由は、所有者の同意がまずいるんですね。家の中に貴重品とか有るじゃないですか、それをどうしても取り出したい、想い出も取り出したいと。そういったものがあると、立ち合いをしたいと。一気に片付けるってわけにはいかないんですよ。恐らく市民の皆さん、このまま何も進んでないんじゃないかって思われるかも知れませんけど、実は中では進んでいるんです。動き出したら一気に行くと思います。それでも数カ月とかじゃなくて、1年以上はかかりますけども。

森本さん:
僕たちにできる事って?何かありますか?

坂口市長:
”今”という事になるとボランティアになりますし、ふるさと納税という部分での金銭的な支援もあります。こうした被災状況を見ていただくという事も、みなさんに取っての備えにもなりますし。そういった部分では、訪れて、ボランティアの活動もして頂きたいし、励ましてもいただきたい。

被災地を回った森本さん。今思うことは…

森本さん:
みんなが、言ってましたね…絶対忘れないでほしいって。3カ月しかたっていない、現状でも、もうニュースは、新幹線が敦賀まで通ったよとか、ここから、どんどんどんどん石川が盛り上がっていくね、みたいな。もう能登半島地震の事は、今もう、現状こういう感じですだけ終わっている。実際、被害に遭われた方々の声っていうのは、情報共有として皆さんに伝わっていない。

だからこそ、3カ月で、こんなにみんなが忘れられるのが怖いという現状が僕は怖くて…。じゃあ、もう3カ月たったら、1月1日から半年たったときはどうなっているんだろうって言う。そこも、皆さんを不安に思わせない、忘れたんだって思わせないように、1人1人がちゃんと情報を伝えて行くことが大事だなと思いましたね。

被害にあわれて、すごく傷ついたり、悩んだり、でも、みなさん前に向かって進んでいる。その歩みだったりというのは、僕たち県外に住んでいる人間はこの放送を通して理解して、そして情報を整理して、何か石川県にできることは何だろうかと言うのは、みなさんそれぞれ心の中にあるので、”忘れることはない”と思います。今、僕、言い切っちゃいましたけど、でもこうやって、伝えたり、皆さんからの声を聞いたりすることで、人と人のつながりが、情報共有をしていって、この能登半島地震というものに対して、大きな、協力をみんながしてくれると思うので、みんなで復旧・復興に向けて共に進めたらと思います。

(石川テレビ)

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