高校に進学し、これから始まる生活に胸を高鳴らせている新高校生も多いだろう。そんな高校1年生で自身の進路を考える最初のステップとなるのが、“文理選択”だ。

「『文系』『理系』の選択を意識することで、本人が将来の学部学科やキャリアを考える機会になる」と話すのは、記憶定着をサポートするアプリ「Monoxer」を開発する、モノグサ株式会社代表取締役CEOの竹内孝太朗さん。

リクルートでオンライン学習サービス「スタディサプリ」の立ち上げに携わり、教育ICTに関する研究を続けている。

竹内さんによると、普通科の高校では1年生の後半に様々な進路調査があり、2年生から文理で分かれるのが最もポピュラーなケースだという。

画像はイメージ
画像はイメージ
この記事の画像(7枚)

多くの学校で進路選択をテーマに講演する竹内さんは「数学が好きか嫌いか」で文理を判断してしまう生徒が多いと感じていた。選択する学問が将来のキャリアにどう役立つかよりも「得意な科目で偏差値の高い大学に行けば、その先に有利な就活があるのではないか」と考える傾向があるようなのだ。

しかしその観点のみで文理選択してしまうと、後々興味のある分野を選択できる可能性が狭まり、後悔してしまうかもしれない。

竹内さんが伝えるのは、好きなモノ・コトを「届けたいか」「創りたいか」という考え方だ。「届ける」仕事をしたいのであれば文系、「創る」仕事をしたいのであれば理系を選択するのがおすすめだという。

「文系」「理系」で得られるもの

そもそも将来どんな仕事をしたいのか、方向性が明確に定まっていないことに不安を抱えている人もいるだろう。そんな悩みの解決の糸口になりそうな、文理選択のヒントを聞いた。

画像はイメージ
画像はイメージ

――文系を選択すると、将来どんなことが役立ちそう?

私は文系を“人間中心の学問”だと思っています。自分自身がどう思うか、人間がどうするかに重きを置く文系においては、様々な学問分野から「共感を獲得すること」の素地を学ぶことが出来ると思っています。

仕事を進める中では「私はそう思う」と主張するだけでなく、「たしかにそうかも」と納得させることが必要な場面も多々あります。将来何らかの共感を獲得することで何かを誰かに「届けたい」ということであれば、文系の学問の営みにおいても、キャリアの中で役に立つ要素はあると考えています。

画像はイメージ
画像はイメージ

――では、理系は?

理系は“真理の追究をする学問”だと思います。そして真理を追究した先の実利は、やはり物作りに貢献することが多いです。例を挙げると、より速く動く車や、ほとんど色落ちしないインクなどですね。

「創りたい」ということが決まっているなら、理系が良いと思います。

自分は届けたい?創りたい?

――将来の夢がなくて不安な場合は、どんなことを意識すれば良い?

高校1年生の時点で、夢がないことを不安に思わなくて大丈夫です。

ただ、必ずお願いをしたいのは「数学を捨てるな」ということ。数学を捨てたら、いろんな選択肢が狭まってしまいます。というのも、数学抜きで真理の追究をするのは不可能です。

さらには文系でも、共感獲得する技として数学は非常に重要なので、文理関係なく数学を捨てない、選択肢として残し続けるという意識は持ってください。その上で、「届けたいか」「創りたいか」を考えてみましょう。

一度文系を選んで、高校2年の終わりに理系に行くのは実際かなり大変です。「自分は創りたい可能性がある?」というのは少し意識的にイメージした方が良いと考えています。

「お花」にまつわる仕事をイメージ
「お花」にまつわる仕事をイメージ

――具体的にイメージするにはどのようにしたらいいの?

まず、好きな概念(モノ・コト)を1つ決めてください。今回は「お花」を例に想像してみましょう。

我々は消費者なので、最後に届けている人である「花屋さん」だけ知っている人も多いかもしれません。

けれども、例えば「バラが1年中いつでも購入できるのはなぜだろう?」「それって丈夫な種子を開発している人がいるよな」「便利な農具を開発している人もいるかもしれない」と色々思いを巡らせてみてください。

そう考えていくうちに、「お花」に関わる仕事では、「花屋さん」以外にも多様な選択肢があることもわかりますよね。

好きな概念を取り巻く様々な職業を想像して、「創る仕事に興味があるかも」と思ったら、理系に行くのがおすすめです。

「人はどれだけでも変わっていける」

――最後に、高校生にアドバイスは?

人生の重要な時期に何に時間を使うかはちゃんとキャリア観を持って決めていただけたらうれしいですが、人生はとても長く受験が終わっても続きます。その中で人はどれだけでも変わっていけるので、今何か確信めいているものがないということを不安に思わないでください。

何かどうしても…と選択を迫られた場合は、「まあでも人生長いしなあ」と思っていただいても、私は十分いいんじゃないかなという風に思っております。

画像はイメージ
画像はイメージ

将来のことを考えると、自分の選択に自信を持てなく人もいるだろう。今この瞬間の答えに正解はないが、「届けたいか」「創りたいか」の考え方で自分を見つめ直すのも、良い機会になるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。