全国的に少子化が進む中、広島県でも出生数が過去最低を更新した。
そんな時代に、高校生たちは「結婚」や「出産」をどう考えているのか。広島市の崇徳高校新聞部が実施した校内調査から、驚くべき傾向が見えてきた。

広島県の出生数 15年連続過去最低

2024年、日本の出生数が統計開始以来、初めて70万人を下回った。
厚生労働省によると、全国で生まれた赤ちゃんは68万6061人。広島県内でも1万5765人と15年連続で過去最低を記録した。

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合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は全国で1.20、広島県では1.29と、いずれも過去最低水準。広島県は「急速な少子化に歯止めがかかっておらず、危機的な状況であることは従来から変わっていない」との見解を示している。

なんと9割が…! 高校生の結婚観

少子化という厳しい現実が続く中、広島市西区の崇徳高校新聞部が、校内の高校生を対象に「結婚観」に関する調査を行った。回答したのは男女60人。驚くべきことに、その大半が「結婚したい」と答えている。

崇徳高校新聞部は、全国高等学校総合文化祭で最優秀賞の受賞歴を持ち、2023年度の部員数は200人超え。全国でも屈指の規模と発信力を誇る。
今回の調査を主導したのは、3年生の部長・柚川花菜さん。K-POPが好きな高校生で、被爆80年に向けた平和取材にも熱心に取り組んでいる。
「6月といえば“ジューンブライド”という言葉もあるし、高校3年生は18歳で結婚できる年齢。晩婚化のニュースもよく耳にするので、今どきの高校生がどう考えているのか気になって調べてみました」

柚川さんの調査では、「将来結婚したいですか?」という質問に対し、全体の9割にあたる男子生徒24人、女子生徒30人が「結婚したい」と回答。
その理由として、男子からは「妻や子を愛したい」「子どもが欲しい」といった声、女子からは「憧れ」「幸せになりたい」「1人で暮らしたくない」などの思いが寄せられた。

また、「結婚式を挙げたい」と答えたのは男子22人、女子25人にのぼり、多くの高校生が結婚や挙式に前向きであることがうかがえる。一方で「お金がかかるから挙げたくない」といった現実的な意見もあった。

「25歳で結婚したい」男女とも最多

結婚したい年齢についても“晩婚化”の流れとは対照的な結果が…。
男女ともに「25歳」が最多。次いで「27歳」、さらに男子は「30歳」、女子は「26歳」と回答していて、ほとんどが20代での結婚を希望する傾向が見られた。

【結婚したい年齢】崇徳高校の男女60人中
男子生徒    女子生徒
25歳(8人)  25歳(10人)
27歳(4人)  27歳(6人)
30歳(4人)  26歳(5人)
23歳(3人)  28歳(2人)
26歳(3人)  23歳(2人)

柚川さん自身は「27歳で結婚したい」と話す。
大学卒業後に就職し、長く働きたいという希望を持つ一方で、将来への不安ものぞかせた。
「ただ、理想と現実は違うんだろうなとも思います。『結婚・出産・子育て』と『キャリア』の両立は難しいのかなと…」

「子育ては広島で」地元への愛着

「広い世界を見たい」と関東の大学進学を目指す柚川さんだが、「結婚や出産は住み慣れた広島で」と語る。その言葉には、自分を育んでくれた地元への深い愛着がにじむ。

崇徳高校新聞部 部長・柚川花菜さん
崇徳高校新聞部 部長・柚川花菜さん

「私が結婚を目標とする10年後には、子育てと仕事が両立できる社会になっていてほしい」

この調査は、崇徳高校新聞部が校内の生徒を対象に独自に実施したもので、全国的な傾向を示すものではない。
それでも「9割が結婚したい」という結果は、少子化が進む今、見過ごせない声である。
若者たちのまっすぐな願いが、未来に届く社会であるために——今、大人たちが向き合うべき課題がある。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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