■大阪工場は既に「閉鎖」で確認困難

小林製薬の「紅麹原料」を使ったサプリで「腎疾患」などの健康被害が相次いている問題を巡って、小林製薬は「紅麹原料」に含まれる「未知の成分」が「大阪工場」で混入した可能性が高いと29日の会見で明らかにした。
しかし、大阪工場は、去年12月に既に閉鎖していて、大阪市によると衛生状況などの確認が難しい状況だ。製造拠点はその後、機械ごと和歌山県内の工場に移っているが、小林製薬によると、移転先で「紅麹原料」の製造は行っていない。
■「プベルル酸」は「紅麹」から生成しにくい

また、この「未知の成分」について、小林製薬は一般的に青カビからつくられる天然化合物で、毒性が非常に高いとされる「プベルル酸」の可能性があると、厚生労働省に報告していることが明らかになった。
厚労省によると、小林製薬が健康被害のあった製品のロットに予定しない物質を検出したため、高速液体クロマトグラフという手法で分析したところ、「プベルル酸」の数値が高かったということだ。
「プベルル酸」は、一般的に青カビからつくられる天然化合物で、抗生物質の特性を持つことが知られていて、毒性が非常に高いという。ただ、腎臓に対する障害は現時点では明らかになっていないとしていて、あらゆる可能性を検討し調査を進めことにしている。
小林製薬は29日の会見で「『プベルル酸』は『紅麹』から生成しにくい」と説明していて、製造過程でカビが入る所がないか、混入の可能性も含めて総点検を行っているとしている。
また、今後は小林製薬1社で判断するのではなく、国の研究機関にデータを提供しながら迅速な解明を進めていく方針だ。

■これまでに5人が死亡、114人が入院

これまでに、小林製薬の「紅麹原料」を使ったサプリ「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた70代~90代の5人が死亡、114人が入院したことが明らかになっている。 因果関係は分かっておらず、小林製薬などが調査している。
「未知の成分」が含まれているサプリの製造時期は去年4月から10月、出荷時期は去年7月から12月だということだ。