影響が広がる紅麹(べにこうじ)原料の問題について、3月29日午後2時から小林製薬が会見を行った。
その冒頭で、小林章浩社長は、「深くおわび申し上げます」と謝罪した。

これから国の機関と協力して解明を進める

小林製薬・小林章浩社長:
現在、当社が製造いたします紅麹を摂取することによる腎疾患等の発生問題によりまして、非常に多くの皆さまにご心痛・ご不安をおかけしており、今回の件が社会問題にまで発展しておりますこと、深くおわび申し上げます。

さらに、被害を訴えている人々に対しても謝罪した。

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小林製薬・小林章浩社長:
それぞれに対し、言葉に尽くせない大変なご迷惑をおかけしております。
まずは、お亡くなりになりましたお客さまのご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます。

また、現在も入院中・治療中の方が数多くいらっしゃることも承知しております。一刻も早いご回復をお祈りしております。

弊社は今後も入院中・治療中の方をはじめ、お客さまや関係するすべての皆さまへ丁寧な対応を続けてまいります。

小林製薬・小林章浩社長:
加えて、今回の事態の全容の解明、これ以上の被害の拡大防止と原因の究明、お客さまへの丁寧な説明と補償を含めた真摯(しんし)な対応。品質管理体制はもちろん、危機管理体制の改善それらに社を挙げて、また外部の専門家の知見にもしっかり耳を傾けながら、全身全霊取り組んでまいります。
この度は本当に申し訳ございませんでした。

小林製薬は会見前、問題の紅麹原料を使ったサプリメントについて、29日新たに5人目となる死亡者が出ていたと明らかにしていた。

小林製薬・渡邊 淳信頼性保証本部長:
個別の病名は、ここでは差し控えさせていただきたい。“腎疾患等”という表現をしているが、それ以外のものも含まれる。

また会見では、入院患者数が延べ114人になっているとしている。

問題を起こした成分の解明状況については、次のように答えた。

小林製薬ヘルスケア事業部・梶田恵介食品カテゴリー長:
この1週間で、構造まではだいぶ見えてきている。しかし28日、厚生労働省に報告を受け、これから先は、われわれ1社で判断するのではなく、国の研究機関とともに情報提供しながら解明を進めていく。
現時点では不明確な部分があるので、今後迅速に詰めていきたい。

カビから生成された可能性も

カビ由来の成分から生成されたのではという声についてや、未知の成分が外部から混入した可能性はゼロではないと回答した。

ーーカビ由来の成分という声もあるが?

小林製薬ヘルスケア事業部・梶田恵介食品カテゴリー長:

われわれが想定している化合物であれば、カビから生成される可能性もある。早々に解明していきたい。

ーー外部からカビ混入の可能性は?

小林製薬・山下健司製造本部長:

紅麹自体も菌ですので、可能性としては「ゼロ」ではない。

そして、カビ毒の「シトリニン」が検出されたことについては、これを否定した。

小林製薬・梶田恵介食品カテゴリー長:
不検出です。外部の機関で測定して不検出でした。

このほか、問題発覚後、原材料の変更や製造工程に変更点は確認されていないと回答。
ただ、原因解明にかかる期間については明言を避けている。

公表が遅れた「原因の特定に取り組んでいた」

会見では、すでに通院している人や、これから通院を希望する人など、補償の対象となる人数が約680人になると明らかにした。

小林製薬・渡邊 淳信頼性保証本部長:
入院・通院、またはこれから病院に行きたいとおっしゃってる方には、同じように伝えしています。
入院されている方114名。通院されている方、通院したいという希望がある方、あわせますと約680名になります。

ーー4月より前に被害はあった?

小林製薬・渡邊 淳信頼性保証本部長:

数として把握していませんが、一部います。
今回の意図しない成分が入っていたことによることなのか、それともそれ以外の理由なのか、今は区分することができなく、全体の数の中に含めています。

健康被害の報告から回収・発表までに時間がかかったことへの批判については、「真摯に向き合う」とし、経営陣の責任については言及を避けている。

小林製薬・小林章浩社長:
もうちょっと早く公表できれば防げたということでしたら、こちらのご批判に対して、私ども言葉もございません。

そもそも、紅麹が原因であるのかどうかまったくわからない状況でございましたので、原因物質の特定に急ぎ取り組んでもらっていた。

最終的には、3月22日の発表。これが遅かったという点については、大変問題だと認識。
今後も真摯に向き合って検証をしてまいりたい。
(「イット!」3月29日放送より)