栄養価が高く「野菜の王様」とも言われるブロッコリーが、重要性が高い野菜として2026年度に国の「指定野菜」になることが決まり、鹿児島の栽培農家も「追い風」と話す。しかし、国はブロッコリーの「指定産地」の要件をまだ決めておらず、今後の動向が注目されている。

「指定野菜」への追加 約半世紀ぶり

鹿児島の街頭で「普段ブロッコリー食べますか?」と聞いたところ、「週に1個は食べている。見た目がいい。かさが増える、お弁当とか」「個人的には味が好き」「筋トレしている人が鶏ムネ肉とブロッコリーを食べるイメージ」という答えが次々に返ってきた。

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ビタミンなど栄養価が高いブロッコリーは、野菜の中ではタンパク質が多いことも特徴の一つだ。農林水産省の統計でもブロッコリーの出荷量は増加傾向で、2008年には12万800トンだったのが、2022年には15万7100トンと、3万トン以上増えている。

鹿児島のスーパー・山形屋ストアの東元克夫青果部バイヤーによると、年々人気が出て、売り上げがいい状態が続いているという。「ボリュームもあり、彩りも良く食味も良い。色々な料理にも使える」とおすすめする。

このブロッコリーが2026年度から国の「指定野菜」になることが決まった。指定野菜とは、消費量が多く、国民にとって重要性が高いとされる野菜のことである。キャベツやトマト、にんじんなど14品目あり、ここに2026年度からブロッコリーが仲間入りする。指定野菜の追加は、実に1974年のバレイショ以来、約半世紀ぶりだ。

ブロッコリーが指定野菜に追加されることで、豊作で価格が落ち込んだ場合に、農家には国から補助金が支給されるようになる。農家が安心して栽培を続けることで、消費者にも安定して供給されるというメリットがある。

効率よく手軽に栽培 農家と生産量増加

鹿児島県内でブロッコリー生産量が増えている種子島・中種子町を取材した。種子島といえば「安納芋」などサツマイモの栽培で知られるが、実はブロッコリーの栽培農家も増えている。
種子島のブロッコリーは県を代表する農畜産物として、鹿児島県が「かごしまブランド」の一つに指定している。

ブロッコリーを作り始めて10年という川下さん夫婦を取材した。夫・慎也さんは「さつまいもを作った後にブロッコリーを作るので、二期作で収穫ができる」と話す。
サツマイモは4~5月に苗を植え、10~11月に収穫される。一方、ブロッコリーは9月上旬に植え付けが始まり、翌年1月~4月中旬が収穫時期だ。

農家にとって畑を効率よく使えて、農機具を使わずに包丁1本で収穫できる。そして、早いものは2カ月で育つという「手軽さ」も魅力となっている。こうしたことから種子島では、20年前は5戸ほどしか居なかったブロッコリー農家も、今では80戸に増えた。

指定野菜になることについて、中種子町園芸振興会・森山昭市ブロッコリー部会長は、「ブロッコリーが国内でメジャーな野菜になり、中種子も生産力が上がってきていて、価格的にも補償されるということなので、追い風ではないかと思う」と期待を寄せている。

補助金受給条件の「指定産地」要件未定

ただ、指定野菜で補助金を受給するためには、地域や団体が「指定産地」に選ばれる必要がある。国はブロッコリーの指定産地の要件をまだ決めておらず、関係者も今後の動向に注目している。これまでの指定野菜を見てみると、一定の作付面積や生産量が必要なケースが多くなっている。

中種子町園芸振興会 ブロッコリー部会長・森山昭市さん:
制度の中には色んなシステムがあるでしょうから、条件をクリアできるような組織作り、栽培体系が出てくるのでは。消費も今後増えてくると思うので、我々も生産者としてさらに意欲を持ちながら生産に努めていきたい。

鹿児島のブロッコリー生産量は、全国13位と決して高い方ではない。仮に生産量などが条件となると、指定産地に選ばれるためには農家と行政の連携が不可欠といえそうだ。

(鹿児島テレビ)

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