富山にもっと笑顔やワクワクを届けたいと仕事や趣味などさまざまなことに情熱を注いでいる人たち。その中でも、子どもたちの笑顔のために駄菓子屋を営む男性を取材した。
利益は度外視 子どもたちのための駄菓子屋
富山・魚津市の住宅街にある新金屋公園。子どもたちが楽しく遊ぶこの公園の目の前に2年前にオープンしたのが、駄菓子屋「伽草子」だ。
学校が終わる夕方には、たくさんの小学生でにぎわっている。

迷わずお菓子を手に取る女の子たち。よくこのお店を利用するということで「いっぱいお菓子があって、うれしい」と話す。

店を営むのは、宮内教治さん、69歳。かつては魚津市内で店を経営していたが10年ほど前に引退し、この駄菓子屋で第二の人生をスタートさせた。店は宮内さんの自宅のガレージを改装したもの。ゴミ出しからはじめて、約3カ月で駄菓子屋に改装した。
店を開いた理由を聞くと、「現役世代が終わって将来どうしようかと考えたときに、『待てよ、公園の前だしロケーションがいいな』って思って。昔、子どものころに近くに駄菓子屋さんがあったんですよ。利益は度外視してやってみようかと、女房に相談したらOK出て。子どもたちとのふれあいが生きがいなもんだから」と話した。

近くに小学校があるので、放課後は子どもたちのたまり場になっている。
子どもたちはこの店について、「神っとる。しかも家から近いし。(おじさんはどういう人ですか?)めっちゃやさしい」と話し、それを聞いた宮内さんは「駄菓子屋は絶滅危惧業種なのにね。始めてみて良かった」と笑顔だった。
夢は80歳まで駄菓子屋のおじちゃん
店内は昭和時代の駄菓子屋を再現。壁には昔のレコードなどが飾ってあり、大人にとっても懐かしい空間になっている。

宮内教治さん:
おじいちゃんおばあちゃんがお孫さんを連れてきたり、三世代でね。はじめての買い物みたいな感じで、100円を一生懸命に計算している。それを見ておばあちゃんが「100円だよ」って渡したりね
「駄菓子屋は、子どもたちが最初に体験する社会勉強の場」と考える宮内さんは、あることにこだわっている。

宮内教治さん:
やっぱり金銭感覚を養うために、あえて現金のみにしているんです。計算しながら買い物をするっていう。それがいいかなって
お店の外には自由に遊べる竹馬も用意。子どもたちの笑顔を見ることが一番の喜びだという宮内さんは、「わたしが健康であれば、ずっとやりたいなって思っています。(健康のために)公園のまわりを散歩しているんですよ。オープン前に」と話した。

宮内さんの夢は、80歳になるまで「駄菓子屋のおじちゃん」でいること。
お店に飾られた子どもたちからの感謝の手紙。その言葉に力をもらい、宮内さんはきょうもお店で、子どもたちを笑顔で見守り続けている。
(富山テレビ)