日立造船の男性社員が赴任先のタイで高さ30メートルから転落して死亡し、労災認定された。遺族が会見を開き、会社への不信感と怒りをあらわにした。

■「息子は自殺だと…母の勘でそう思いました」

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25日大阪市内で会見を開いた上田直美さん。3年前、息子を亡くした。

上田直美さん:優貴は一人息子で、名前の通り優しい子でした。元気だった息子を返してください

直美さんの一人息子で日立造船の社員だった優貴さん(当時27歳)は2021年、赴任先のタイで高さおよそ30メートルの会社の施設から転落し死亡した。

転落した現場に防止策があり、亡くなる直前に家族への感謝をノートに書いていた。

上田直美さん:息子は自死だと…母親の勘ですかね

初めての海外赴任で、慣れない仕事やミスに対する強い叱責に悩んでいたという優貴さん。転落は、トラブル処理に未明まで当たった翌日に起き、その様子は防犯カメラに映っていた。

自殺を疑う直美さんたちの請求で、会社は第三者委員会を立ち上げたがその結論は「自殺か、事故死かは分からない」というもの。

しかしその報告書の資料リストに防犯カメラの映像が含まれず、会社が第三者委員会に提供していなかった疑いがあることが分かった。

上田直美さん:会社は手すりを乗り越えたという防犯カメラの動画を持っていました。そのうえで通常の転落事故として労災申請をしたいというのは、従業員の命より会社の保身を考えているとしか思えない。いまは謝罪をされても到底受け入れる気になれない

遺族から申請を受けた、労働基準監督署は3月、海外赴任や慣れない仕事の心理的ストレスで精神障害を発症したと判断し、労災認定している。遺族は今後、会社にさらに説明を求めるとしている。

日立造船は「謹んでお悔やみを申し上げます。今後、再発防止に向けた取り組みを進めていく所存でございます」とコメントしている。

(関西テレビ「newsランナー」3月25日放送)

関西テレビ
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