中国で、アメリカなどに渡る密航者が急増している。
地方政府は、密航者の情報を提供した人には最高で約40万円の報奨金を支払うと呼びかけているという。
現状を取材した。
川を泳ぎ、鉄条網をくぐり抜け密航

中国から国外へ脱出する人をとらえた映像。

大きな荷物を抱えた女性が、黄色い袋のようなものを腰に巻きつけると、男性に手を引かれ、川の中へ。
袋を浮輪代わりに、向こう岸まで懸命に泳いでいく。
岸に上がると、目の前には張り巡らされた鉄条網が…。

女性は隙間をくぐり抜け、山の中へ入っていった。
現在、中国では、アメリカなどに渡る密航者が急増。

SNSには、くわしいルートなどを紹介する動画が次々に投稿されているという。
横断幕が逆に密航者を増やす

その一方で、こんな動画も。
木に巻きつけられた赤い横断幕には、「密航は絶対に許さない 密航者は破滅させる」と書かれていた。
取材班は、この横断幕がある中国・江蘇省の北部へ向かった。

街の電光掲示板には、「みんなで密航を撲滅しよう」というメッセージが流れ、禁止を呼びかける貼り紙もあった。

横断幕が撮影された動画の場所に行ってみると、取り除かれていて、針金だけが残されていた。
3日ほど前に取り外されたという。
理由を聞くと、住民からは意外な答えが返ってきた。

古着店の女性:
横断幕なんて役に立ちません。呼びかけるほど、密航する人が増える。
横断幕が、逆に密航者を増やしているという。

なぜなら、このあたりは、江蘇省の中でも生活があまり豊かではない地域。
より良い収入を求め、密航する人があとを絶たないのだ。

タクシーの運転手は、「ここで10年働いても、アメリカでの1年分の給料にもならない」と言う。

こうした状況に、地方政府がとった策は、密航者の情報を提供した人に最高で約40万円の報奨金を支払うと呼びかけるものだった。

中国全体で、いったいどれだけの密航者が出ているのか、詳細は明らかにされていない。
(「イット!」 3月25日放送より)