スイーツはもちろん、カクテルや料理など、様々なカタチで旬のイチゴを堪能してもらおうというイベントが長崎で開かれている。長崎県はイチゴの収穫量全国3位を誇る。販売額も右肩上がりに伸びているその裏には若い世代の参入があった。
イチゴの魅力を最大限に
JR長崎駅西口から徒歩1分の場所にある「ヒルトン長崎」。ホテル2階にはバーやカフェ、レストランで食事やお酒を楽しめるフロアになっている。
ラグジュアリー感あふれるフロアで長崎の景色を見ながら楽しめるのが、大粒のイチゴがたっぷり乗った「シャルロットフレーズ」だ。
女性の帽子をイメージして作られたフランスの伝統的なケーキだ。中はイチゴとホワイトチョコのムースの2層仕立てで、イチゴを存分に楽しめる。
いま長崎のイチゴが熱い！
旬のイチゴの魅力を最大限に楽しめるイベントが長崎県で開かれている。2024年2月24日から3月24日まで開催されているのが「いちご頂（いただき）フェス」だ。
長崎県全域の59店舗の飲食店などが参加し、県産イチゴを使ったオリジナルのスイーツや料理を期間限定で提供している。諫早市で始まった「頂（いただき）プロジェクト」だが、今年は県全体に広がりパワーアップしている。王道のイチゴパフェやイチゴ大福、中には「イチゴと鶏の洋風チキン南蛮」や「しょうゆからあげ イチゴソース添え」など、これまであまり見られなかったコラボが楽しめるのも、このイベントの魅力だ。
「自家製ジャムのいちごクレープ」（『BASE café』長崎・諫早市）を試食させてもらった。
テレビ長崎 山口史泰アナウンサー：色鮮やかで大粒のイチゴがゴロゴロと入っている。イチゴの甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がり、甘いクレープにとてもよく合う
長崎県産イチゴを堪能するイベントを開催した理由には、県内産イチゴの注目度が上がってきているからだ。
頂プロジェクト 陣野真理代表：いま長崎のイチゴは熱い。まずイチゴの生産量が多い。若手の農業者も増えている。これだけいろんなお店が使っているので、イベントを開催した
販売額が過去最高の裏には…
長崎県のイチゴは、2022年度は8502トンと全国3位の生産量を誇る。
作付面積は年々狭くなっているものの販売額は増えていて、2022年は過去最高の110億円を突破している。
なぜ収穫量と売り上げを伸ばすことができるのかー。長崎市西海町の生産農家を訪ねた。
楠元航平さん（34）の農業ハウスでは約1万8000株のイチゴが育てられ、3月は赤くて大きないちごが実っている。ハウスには最新技術が導入されている。
イチゴ農家 楠元航平さん：機械でハウス内の環境を読み取ることができる。温度や湿度、炭酸ガス濃度、土壌の水分量・地温などをはかることができる。
この装置でハウス内の環境がスマートフォンで見られるようになっている。「数字で見えること」での大きなメリットがあるという。
スマートフォンで、光合成に必要な二酸化炭素の発生装置や暖房を遠隔で操作して、1年を通してイチゴの生育に適した環境をつくることで、収穫量と売り上げの拡大につなげている。
イチゴ農家 楠元航平さん：（導入前は）もう少し暖かく、もう少し冷たくしなさいと言われても、どれくらいしていいものか分からず、感覚に頼るしかなく難しかった。収穫量が極端に少なかったり、形も悪いものが多く、味にばらつきがあった
イチゴ農家も増加中
長崎県から最新技術のサポートを受けてイチゴの生産を始める人も増えている。この日、楠元さんのハウスに異業種からイチゴ農家に転職しようと研修に訪れた人がいた。津田健太さん（33）・紗織さん（35）夫妻だ。
健太さんは工業系の企業から、紗織さんは畜産農家からの転職を決意。1年間の研修を経て、今後イチゴ農家としての再スタートをきる。
津田健太さん・紗織さん夫妻：いま、業界的にもうまくいっている波にあやかりたい。自分たちの好きなものでもあった
イチゴ農家 楠元航平さん：イチゴ農家になる人が毎年増えているという実感がある。私が入る前は10人～11人だったが今は24人で倍以上になっている。（理由としては）環境制御が整っていたり、リース事業、農協が建てたハウスを借りられる制度があるので新しく始める人が入りやすい環境がある
全国的には長崎のイチゴはまだ知名度が低いため、「頂フェス」を通して県の内外の人に味や魅力に触れてもらうきっかけにしたいと生産者も期待を寄せている。「いちご頂フェス」は2024年3月24日まで。一期一会の美味しさとの出会いを求めに、出かけてみてはいかがだろうか。
（テレビ長崎）
