3月15日に開幕したプロ野球のウエスタン・リーグ。このリーグに2024シーズンから新たに参加しているのがくふうハヤテだ。ただ、オリックスとの開幕カードは3連敗とプロの洗礼を浴びた。

オリックスの新エースを前に…

2023年11月、プロ野球オーナー会議は2024シーズンからハヤテ223の運営する新球団がウエスタン・リーグに参加することを認めた。

後に発表されたチーム名は「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。

選手はNPB出身者、独立リーグ経験者、外国人選手などキャリアは様々だ。

くふうハヤテにとって、球団の歴史の一歩目を刻む開幕戦はホーム・ちゅ〜るスタジアム清水でオリックスを迎えた。

開幕戦に駆け付けたファンたち(3月15日)
開幕戦に駆け付けたファンたち(3月15日)
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ただ、先発を任された早川太貴(元ウイン広島)は開幕の緊張感なのか立ち上がりから制球が定まらず、初回こそ2つのフォアボールを与えながら無失点で切り抜けるも、2回表は甘く入ったところを狙われ4本のヒットで2点を奪われる。

4回表にはホームランなどで一挙5失点と、デビュー戦はほろ苦い結果に終わった。

打線はオリックス・宮城に完璧に抑え込まれた(3月15日)
打線はオリックス・宮城に完璧に抑え込まれた(3月15日)

打線も1軍のペナントレースに向けた調整登板に上がった宮城大弥の前に手も足も出ず、5イニングで7三振を喫し、2番手の東晃平から1点を返すのが精いっぱいと終わってみれば1対9の完敗。

初勝利は目前も…守護神候補が大誤算

一方、16日に行われた第2戦は終盤まで間違いなくくふうハヤテのペースだった。

第2戦の試合前(3月16日)
第2戦の試合前(3月16日)

初回、先発の二宮衣沙貴(元BC・茨城)がオリックス先頭の福田周平にいきなりヒットを許し嫌な雰囲気が漂うも、続く河野聡太の強烈な打球をファースト・福田秀平(元ソフトバンク)がダイビングキャッチ。

飛び出していたファーストランナー・福田周も帰塁できずダブルプレーを奪うと、3番・茶野篤政はフォアボールで歩かせたが、4番・木下元秀をショートゴロに仕留め、無失点で切り抜ける。

すると、流れに乗った二宮は2回・3回・4回とボールを低めに集め、3イニング連続で3者凡退に斬って取る。

安定したピッチングを見せた二宮(3月17日)
安定したピッチングを見せた二宮(3月17日)

打線はその裏、フォアボールとヒットでランナーをためると、B・バスケス(元ブレーブス傘下)と福田秀が連続タイムリー。

タイムリーを放った福田秀(3月17日)
タイムリーを放った福田秀(3月17日)

さらに内野ゴロとスクイズで得点を加え、この回一挙4点を先制した。

二宮は5回表にホームランなどで2点を失ったものの先発の役割を果たすと、6回・7回は平間凛太郎(元四国ILplus・高知)が、8回は田中健二朗(元DeNA)がランナーを出しながらもオリックス打線に得点を許さず、記念すべき初勝利まで残すは9回だけとなる。

ここでマウンドに上がったのは抑えの村上航(元BC・茨城)だ。

しかし、ここからくふうハヤテにとっては悪夢のような展開が襲いかかる。

抑えを任された村上だったが…(3月16日)
抑えを任された村上だったが…(3月16日)

村上は2者連続フォアボールの後、サード・宜保優(元BC・栃木)のエラーでいきなり無死満塁とすると、野口に押し出しを与え1点差とされ、さらに河野に逆転タイムリーを許し、続く茶野にもタイムリーを浴びるなど、ワンアウトも取れずに降板となった。

結局、くふうハヤテは最終回だけで8失点。初勝利はお預けとなった。

再び救援陣が炎上…終盤に失点重ねる

翌17日の第3戦も中盤までは1点を争う好ゲーム。

1回裏にB・バスケスのタイムリー内野安打で先制後、2回表に杉澤龍の犠牲フライで同点に追いつかれるも、その後は両チームゼロ行進で6回を終える。

ところが7回表、先発・奥田域太(星城大)の後を受けた藤本颯太(元関西独立・淡路島)が難なくツーアウトを奪うも、ここからツーベースとフォアボール2つで満塁のピンチを招くと茶野にタイムリースリーベースを浴び、さらに佐野皓大にもタイムリーツーベースを打たれ4失点。

2死から失点を重ねた藤本(3月17日)
2死から失点を重ねた藤本(3月17日)

8回表には前日に大炎上しリベンジを期す村上が再びマウンドに上がるも2点を失い、1対7で開幕3連敗となった。

救援陣の立て直しが急務…エラーも最多

まだ3試合を終えただけだが、くふうハヤテの課題は明白だ。開幕カードの与四死球は30とリーグワースト。2番目に多い広島ですら15なので、突出して多いことがよくわかる。

また、3試合で6エラーというのもリーグ最多で、26失点に対して自責点が17であることを見れば、いかにエラーが得点に結びついてしまっているかも見て取れる。

くふうハヤテ・赤堀監督(3月17日)
くふうハヤテ・赤堀監督(3月17日)

投手出身の赤堀元之 監督(元近鉄)で、守備を大切にしているだけに、投手陣、特に救援陣をどのように立て直していくのか、そして守備をどのように鍛え上げていくのかが、今後のチームの浮沈のカギを握ることは言うまでもない。

想定を大きく下回った来場者数

加えて、開幕カードでは別の課題も見つかった。それは集客面だ。

公式発表によれば3連戦の来場者数は15日が1631人と最も多く、16日は1306人、17日は1363人と週末にも関わらず平日開催の開幕戦を下回った。

たしかに16日はサッカーJ2・清水エスパルスのリーグ戦が同じ静岡市清水区にあるIAIスタジアム日本平で開催されたという側面もあるが、17日の来場者数と比べても大きな違いが見られないことから、影響は限定的だったと言えるし、市が各日4000~5000人の来場を見込んでいたことを思えば、あまりにもさみしい数字になってしまった。

2軍リーグのみに参加するという試みを持続的なものとするためにはスポンサーやファンによるサポートは不可欠であり、その意味でくふうハヤテの営業手腕も試されている。

(テレビ静岡)

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