静岡県にとって待望のプロ野球のチーム「くふうハヤテ」が、2024年3月 2軍ウエスタン・リーグの開幕戦を迎えた。NPBにとっても66年ぶりの新球団で、“歴史的な一日”だ。オリックスに1対9で敗れたが、観客席のファンからは大きな拍手が送られていた。オリックスは新エースが調整のため先発し、静岡県民は一流選手のプレーも楽しめた。

66年ぶりのNPB新球団

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静岡県に誕生した待望のプロ野球チーム「くふうハヤテ ベンチャーズ静岡」。NPB日本野球機構に66年ぶりに生まれた新しいプロ野球団だ。
くふうハヤテはプロ野球2軍のウエスタン・リーグに参入し、3月から9月下旬まで静岡から西の地域との戦い、さらにイースタン・リーグとの交流戦も含め約140試合を行う。

くふうハヤテ・赤堀元之監督
くふうハヤテ・赤堀元之監督

くふうハヤテの初代監督に就任したのは静岡県藤枝市出身の赤堀元之監督だ。静岡高校で甲子園に出場し近鉄バファローズに入団、パリーグを代表する抑え投手として最優秀救援投手を5回、最優秀防御率を1回獲得した。引退後はオリックスのコーチや独立リーグの監督などを務め、指導者の経験も豊富だ。
赤堀監督は「静岡に戻ってきて恩返しができることは本当にうれしい」と、監督就任を喜んだ。

球団のトライアウト(2023年11月)
球団のトライアウト(2023年11月)

その赤堀監督の下、球団独自のトライアウトなどで選手39人を集めた。出身はプロ野球や独立リーグ、大学、高校など様々で、アメリカのマイナーリーグ経験者など外国人も4人いる。選手たちはリーグ戦で活躍し、プロ野球出身者は再び12球団に戻ることを、またアマチュア球界出身者はドラフト会議での指名を目指す。

注目選手は医師との“二刀流”

静岡県民が注目する1人が地元・静岡県河津町出身のピッチャー・竹内奎人(けいと)投手だ。最速147kmのストレートと4種類の変化球を持つ右ピッチャーで、静岡高校時代は甲子園に出場した。 

その後、群馬大学医学部で整形外科医を目指しながら準硬式野球部に在籍したが、「夢だったプロ野球選手は今しか挑戦できない」とトライアウトを受験し地元でプロになることを選んだ。
竹内投手は「チームの創設に携われたことにすごく喜びを感じていますし、ここから物語は始まっていくと思うので全員でチームを作り上げていきたい」と、意欲を語る。

この他、ソフトバンクやロッテで通算785試合に出場したベテラン福田秀平選手は、くふうハヤテの4番バッターとして野手陣を引っ張る。

田中健二朗投手
田中健二朗投手

地元・静岡県の常葉菊川(当時)から横浜DeNAに入団し274試合に登板した田中健二朗投手にも、静岡県民の熱い視線がそそがれる。田中投手は春のセンバツ甲子園の優勝投手だ。
3月1日から13日まで行われた教育リーグは、7試合で1勝4敗2分けだった。唯一の1勝は7日の広島戦で6対4で勝った。去年まで北海道で公務員を務めていた早川太貴投手が先発で試合を作り、リリーフした竹内投手など投手陣が踏ん張った。この他3月4日には欧州代表と戦い4対4で引き分けた。

静岡県野球界の“歴史的な一日”

静岡市清水区
静岡市清水区

そして迎えた3月15日の2軍ウエスタン・リーグの開幕戦、くふうハヤテベンチャーズ静岡はオリックス バファローズとの歴史的な初戦に挑んだ。この日を待ちわびた大勢のファンが見つめる中、開幕投手を託されたのは教育リーグでの唯一の勝利に貢献した早川投手だ。

先発した早川投手
先発した早川投手

初回は得点圏にランナーを背負うも後続を打ち取り無失点で切り抜けた。しかし2回、早川は2ストライクからの制球が定まらず、1アウト3塁2塁のピンチを招くと続くバッターに連続タイムリーを浴び2点のリードを許す。

5番・倉本がオリックス宮城から初ヒット
5番・倉本がオリックス宮城から初ヒット

早川を援護したい打線は2回裏 5番・倉本がチーム初ヒットで出塁するが、続く西川が痛恨のダブルプレー。

オリックスの先発は新エース宮城
オリックスの先発は新エース宮城

オリックスはメジャリーグに転進した山本由伸の後を継ぐ新エース、侍ジャパンの宮城が調整のため2軍開幕戦で先発だ。くふうハヤテは打線がつながらない。

早川が3ランを被弾
早川が3ランを被弾

2点を追う4回表、またも早川がオリックス打線につかまり2失点、続く2アウト2塁1塁のピンチで7番・山中がレフトへの3ランでこの回 5失点、序盤でリードを7点に広げられる。

富田がタイムリーツーベース
富田がタイムリーツーベース

それでも5回まで宮城に封じられていた打線は6回裏 四球で出たランナーを1塁に置き、代打・富山。宮城に代わった東からタイムリーツーベースを放ちチーム初得点をあげた。
しかし、その後もオリックスに追加点を許し、開幕戦は1対9で敗れた。

「もっと見に来てもらえるよう頑張る」

静岡野球界に新たな火を灯したくふうハヤテ。試合こそ敗れたものの、最後まで諦めないプレーに大きな拍手が送られていた。

くふうハヤテ・富山太樹選手:
すごい歓声の中で試合ができて、まだ一試合ですけど楽しかった。もっと見に来てもらえるように頑張って、自分も含めてチームとして活躍したい。まだまだ。ここをスタートにやっていきたい

くふうハヤテは17日までオリックスとの開幕3連戦だ。その後は、ソフトバンク、阪神、中日、広島とそれぞれ3連戦が続く。静岡県民は公式戦初勝利が待ち遠しい。また開幕戦のオリックス宮城投手のように、2軍戦で調整する一流プレーヤーを見られるのも楽しみだ。

(テレビ静岡)

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