前節、長崎を相手に4失点喫し今季初黒星となった清水エスパルス。このままズルズルとJ2の“沼”にはまってしまうのか。それとも一味違った姿を見せられるのか。次節は今季のエスパルスの真価が問われる重要な一戦となる。

連勝ストップ…連敗だけは阻止へ

開幕から2連勝と好スタートを切った清水エスパルスだったが、第2節終了後のインタビューで秋葉忠宏 監督は「2連勝では開幕ダッシュとは言えない」と気を引き締めた。

しかし、アウェイに乗り込んでの長崎との一戦は1対4と大敗。18年ぶりの開幕3連勝とはいかなかった。

この試合では右サイドバックで高い位置を取る北爪健吾と安定感のある高橋祐治がセンターバックに起用されたことで、ビルドアップの面では着実なつなぎが増えた。

ところが、この“つなぎ”自体が目的となってしまったのか、前半はタテへの攻めに迫力を欠き、それどころか逆にハイラインを敷く守備の裏にボールを入れられると、ほんの少しの隙から失点を招く。

後半はやや持ち直し乾貴士のゴールもあったが、長崎に2得点を許すなどエスパルスらしい“躍動感”は終始封じられ、秋葉監督は「自滅にしか見えなかった」と振り返った。

次節の大分戦はホーム・アイスタ日本平で行われるだけに連敗は何としても避けなければならない。

そのため、今週は長崎戦で露見した弱点を克服するための練習を積み上げた。

大分は直近3シーズンこそJ2に甘んじているが、J1在籍は通算10シーズン以上の実績あるクラブで、その激しい守備はエスパルスの攻撃陣にとって脅威となることは言うまでもない。

前節、今季初ゴールを決めた乾や開幕から3試合連続で途中出場しているユースの西原源樹、さらにはレンタルから復帰し調子を上げている千葉など攻撃陣が好調を維持する中、大分のゴールをこじ開け、チームを再び上昇基調へと乗せることが出来るのか、今後の浮沈を占う一戦になるだろう。

秋葉監督「すごく大事なゲームになる」

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-前節を落とした中で次は大事な試合となる
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
まずホームでできる。サポーター・ファミリーとともに大分を迎え撃つことができる。連敗はあり得ない。「ホームだったら自分たちが勝つんだ」という気持ちがあるとアウェイで思い切り戦えるメンタリティも得られる。すごく大事なゲームになると思う。

ここでガタガタと行ってしまうのか、しっかりとこのパワーを使って勝つことを見せるのか、全然違うと思う。そのためにいい準備ができた。

選手も1得点、1プレーに集中して欲しい。また、その重みを感じて欲しい。自分たちはたった2連勝しただけ。ただ4失点はいただけない。2023年にどんな悔しい思いをしたかもう一度思い起こして欲しい。自分たちから崩れない原則を貫いて引き締めて欲しい。

-大敗の理由をどう分析したか
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
メンタルやリスク管理、長いボールに対して1人でなく全員で対応すること、二重三重のカバーをし合うことが大事で、失点の原因は1つではない。全員のフィルターがかからないといけない。それをしっかりしたい。

負けていいゲームは1つもない。逆に勝てば1つ抜けられた。相手がすばらしくて負けるのは仕方がないが、自分からは自滅にしか見えなかった。

だが、過ぎたことはしょうがない。これを教訓に今後、どう立ち直るかが大切。ミーティングの中でも選手からそうしたことが出る。それはありがたいし、次にどうするか、どう実行できるか。その意味でいいトレーニングができた。凡事徹底させたい。

-大分は1点差ゲームが多い
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
我々はいつも通りゴールに向かうということ。相手の嫌がることをするのも変わらない。相手のあるスポーツ、状況判断できることが大事。彼ら以上にボールを奪いに行く気持ち、インテンシティの強さをホームで見せたい。状況を見ながらなので押し引きで最適な判断をしたい。

-最近、千葉寛太の調子が良さそう
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
千葉は生粋のストライカーで、なかなかウチのチームにはいないタイプ。5人交代制度でいうと、そうした攻撃陣のタイプが出てきたのは嬉しい。育成出身でもあるし、ゴールを獲るところに注力しているエゴイストっぽい図太さ、負けん気の強さがいい。そう簡単に先発では出られないと思うが今後の成長に期待している。

乾選手「これを乗り切らないと」

清水エスパルス・乾貴士 選手:
長崎戦は完敗。自分たちの実力として受け止めるが、まだ3試合しか終わってない。重く受け止めるべきではないし、まだ30試合以上あるので次にしっかり勝ちたい。

敗戦はプラスにはならないが、今季初得点、受ける時に中村がいい走りをして出そうと思ったが、ディフェンスがついていったのでトラップして左足で打った。パスを出した宮本とのコンビはやりやすい。あそこから逆転してというチャンスがあったが活かせなかった。

簡単に失点することはまずいし、反省すべき。次は勝利に結びつくゴールにしたい。これからの連戦は難しい相手が続くが、これを乗り切らないとJ1には行けないので頑張りたい。総力戦になる。大分は激しいプレスで来るが逆に裏を狙える。大きく蹴らせない、裏に走られないこともポイント。

蓮川選手「連敗は絶対してはいけない」

清水エスパルス・蓮川壮大 選手:
4失点というのはこれまでに覚えがなく、それなりに落ち込んだが愛犬が癒しになった(笑)

1点目と2点目は崩されたものではなく、それなりのリスク管理をしていれば防げたので、もったいない失点。入りが悪くなかっただけに守備の人間がしっかり気をつければ違う展開になった。こうした試合が二度とないように引き締めたい。

守りのラインを高く保ちたいが、コミュニケーションが大事になる。練習でもかなりやっているが、それができれば自信にもなるので大分戦で出したい。

2対1になったところで「(逆転も)いける」という雰囲気になったのだが、セットプレーで失点して吹き飛んでしまった。ゾーンディフェンスの外側を突かれた。立ち位置を見直して、集中力を持って対応できるようにしたい。強いチームになるために必要なこと。

練習でプレスの掛け方やロングボールに対応する守備だとかに取り組んで確実にできるようになれば負けるようなチームではないと思っている。練習で突き詰めたい。

連敗は絶対してはいけないし、大分戦はホームでできる。相手は自分たちを研究してきていると思うが、ネガティブにならずに自分たちが相手の裏を狙って、前向きでいれば必ず勝てると思う。悪いところを改善し、良いところを伸ばして1つになって勝ち点3を取りたい。

千葉選手「体のキレを感じる」

清水エスパルス・千葉寛太 選手:
今季はケガで出遅れたが、復帰して体のキレを感じる。良いアピールができていると思う。

もし自分が出るとしたら、ゴール以外を求められていないと思うので、個人的にもエスパルスで早く点を獲りたい。リーグ戦出場は出れば初で、ルヴァンのデビュー時は声なし応援だった。満員のアイスタでプレーしたことないのでチャンスが来たら楽しみにしたい。

ホーム開幕戦ではスタンド観戦で悔しい気持ちがあったのでそれを力に変えたい。何よりエスパルスの応援は子供の頃から知っているすばらしいもの。主役になれたらどんなに気持ちがいいか…。

レンタルの経験で自信を持って出られるようになったし、自分のプレーができるようにもなった。気を使ったりせず堂々とできている。最大の特徴はゴール前の怖さ。得点力が伸びた。何よりチームのために前線で体を張るとか、プロになりたての時にできなかったことができているし、手応え感じている。

タンキ選手「目標に向けて全力を」

清水エスパルス・ドウグラス タンキ選手:
日本に戻り、清水エスパルスというクラブに参加できることをうれしく思う。清水はとてもビッグでポジティブなクラブで、環境もよくJ1にいるべきだとも思う。

自分の特徴はフォワードだが前から献身的な守備をして、それでいて得点にも絡むことができること。攻守ともに全力を出してチームに貢献したい。

クラブは家族のようなもの。クラブが目指している「J1復帰」という目標に向けて全力を尽くしたい。1カ月くらい室内トレーニングで、コンディションはまだ十分ではないが、しっかり準備して行きたい。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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外岡哲
外岡哲

テレビ静岡 報道部スポーツ業務推進役(清水エスパルス担当)。
1984年テレビ静岡入社。
1987年~1994年(主に社会部や掛川支局駐在)
2000年~2002年(主に県政担当やニュースデスク)
2021年~現在(スポーツ担当)
ドキュメンタリー番組「幻の甲子園」「産廃が街にやってくる」「空白域・東海地震に備えて」などを制作。
清水東高校時代はサッカー部に所属し、高校3年時には全国高校サッカー選手権静岡県大会でベスト11。
J2・熊本の大木武 監督は高校時代の同級生。