学校や職場などの環境の変化で生活リズムが崩れがちな春。
家事がうまく回らない、子どもとの時間や自分の時間が持てない…そんな悩みを抱えている人は、「便利家電」を導入してみてはいかがだろうか。

ただ、便利な家電がたくさんあるのは知っているものの、「実際にどの家電を導入すればよいかわからない」といった声もあるだろう。

家電に任せてもよいのは「リセット家事」と「苦手な家事」の2つだという、家電ライターの田中真紀子さん
家電に任せてもよいのは「リセット家事」と「苦手な家事」の2つだという、家電ライターの田中真紀子さん
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一児の母で、自宅に常時200以上の最新家電を所有し、それらを使いながら生活者目線で情報を発信している家電ライターの田中真紀子さんによると、「家電に任せてもよい家事」は大きく2種類あるという。それは「リセット家事」と「苦手な家事」。

キーワードは“罪悪感”だ。

家電任せOKなのは「リセット家事」

「例えば、食器洗いや洗濯など、汚れたものを元のきれいな状態に戻す家事を『リセット家事』と呼んでいます」(以下、田中真紀子さん)

洗濯などの「リセット家事」は家電に任せても罪悪感を感じにくいという(画像はイメージ)
洗濯などの「リセット家事」は家電に任せても罪悪感を感じにくいという(画像はイメージ)

そんな田中さんが優先的に家電に任せてもよいと考える家事の一つ目は「リセット家事」だ。その理由は…

「リセット家事は、同じ手順でやった場合、誰がやっても仕上がりに大きな差が出ません。だからこそ、自分でやらないことへの“罪悪感”を感じにくいんです」

”手を抜いてはいけない”呪縛からの解放

リセット家事の代表の食器洗い。

今でこそ、新築住宅では標準装備になりつつある「食洗機」だが、高度経済成長期の日本では、キッチンまわりの家事は”家庭を守る主婦の仕事”として「手を抜いてはいけない」という意識が強かったという。食器洗いも、手を抜くことは「罪悪感」につながっていた。

やがて共働き世帯が増えるとともに、ようやく、手を抜いてはいけない”呪縛”が解かれ始めたのだという。

最近では、水栓工事不要でシンクから離れた場所にも設置できるタンク式の登場で、食洗機は幅広い家庭で導入しやすくなっている。

食器洗いを手で行った場合、食洗機の4倍の時間がかかるというデータも(画像はイメージ)
食器洗いを手で行った場合、食洗機の4倍の時間がかかるというデータも(画像はイメージ)

そんな食器洗いには、こんなデータがある。

パナソニックの調査によると、食器洗いを手で行った場合にかかる時間は1回約20分。これに対し食洗機を使うとその時間は約5分に短縮される。1日2回洗うとすると、年間約180時間(約7.5日)もの差が出るという。

1回の差はたった15分だが、家電を上手に使うことで1年で1週間以上の「ゆとり時間」を生み出してくれるのだ。

「苦手な家事」も思い切って任せる

田中さんが考える「家電に任せてもよい家事」、もう一つは「苦手な家事」だ。

掃除が苦手な人は、汚い部屋で子育てをすることへの「罪悪感」を感じることも(画像はイメージ)
掃除が苦手な人は、汚い部屋で子育てをすることへの「罪悪感」を感じることも(画像はイメージ)

例えば掃除が苦手な人は、埃が溜まっているのに掃除できていないと「こんな汚い部屋で子育てしてよいのだろうか…」などと、できていないことへの「罪悪感」を感じるかもしれない。

人にはそれぞれ得意なこと、不得意なことがあり、嫌いな家事や苦手な家事があって当たり前です。それで悩んでいるなら、思い切ってロボット掃除機を導入するなど、『任せられるものは家電に任せる!』という考えでよいと思います」

このように、どの家電を取り入れるか決めかねている人は、2つの「罪悪感」をヒントに、自分の生活を振り返ってみるとよいかもしれない。

“お手入れフリー”へ進化する家電

では、実際に家電を選ぶ際に注目すべきポイントはどこにあるだろうか。

最近の家電は、「洗う」「ゴミを吸う」などの家電本来の機能については各メーカーとも高性能が当たり前の時代。

そこで今、各社が注力しているのが「お手入れの手間をいかに減らせるか」という点だ。

お手入れが面倒で家電の購入を躊躇する人も(画像はイメージ)
お手入れが面倒で家電の購入を躊躇する人も(画像はイメージ)

例えば、ロボット掃除機は、掃除は自動でやってくれるが、たまったゴミは自分で捨てなければならない。床拭き機能付きの場合はモップも洗わなければならない。ドラム型洗濯機は、乾燥まで自動でやってくれるが、乾燥フィルターは掃除しなければならない…。

「この手間が面倒で扱いづらいなと思ったり、購入を躊躇している人も意外と多いんですよね」

せっかく購入しても、お手入れが面倒で使う頻度が減ってしまう場合もある。

家電は「名もなき家事」でもあるお手入れを減らすように進化している(画像はイメージ)
家電は「名もなき家事」でもあるお手入れを減らすように進化している(画像はイメージ)

家電に欠かせないお手入れは、いわゆる「名もなき家事」だという田中さん。

「『名もなき家事』を書き出してみるとすごい数になるというのは、一時期話題になりましたが、今の家電はそれをどんどん減らして”使う人に寄り添う形”で進化を始めているんです」

私たちをラクにするため進化し続ける家電。お手入れの手間を減らした家電については、次回以降の記事で詳しく触れたい。

どの家電を導入するかはそれぞれの家庭で異なるが、家事にかかる時間が短縮されれば、その時間を子どもや自分のために使うことができる。一回ずつは短くても、まさに“ちりつも”。たった数分、十数分の積み重ねが、忙しい毎日に心の余裕を生み出してくれるかもしれない。
 

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田中真紀子
家電ライター。早稲田大学卒業後、大手損害保険会社、地域情報誌を経て2003年にフリーライターとして独立。子育てと家事、仕事の両立に悩む中、取材を通して家電の魅力に目覚め、以来家電専門の道に進む。日々多忙なため、常時200を超える最新家電に囲まれながら、手をかけずに家事がこなせる家電探しと使いこなしを探求している。雑誌やWebでの記事執筆・監修は年間300本以上で、テレビ・ラジオ出演も多数。

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