郵便物やチラシなど、家には「紙」がたくさん届く。どれも必要な気がして取っておいたら、あちこちが紙だらけ、そして必要なときに大事な書類が見つからない。こんな状況に陥ったことはないだろうか。
こうした家の紙類に悩んでいるなら、スキャンして“データ化”し、整理することを考えてほしいと「片づけアドバイザー」の石阪京子さんは話す。
「インターネット上に保存できるサービスを活用すれば、スマホやタブレットでいつでも見返すことができます。共有もしやすいのでお勧めです」(以下、石阪さん)。
確かに紙の量は減らせそうだが、いざやるならどう進めればいいのか。データの消失はどう防げばいいのだろう。ポイントや留意点を聞いた。
スキャンはスマホカメラでも十分
石阪さんは家の紙類を減らすなら「金目の紙」「使う目的のある紙」は手元に残し、それ以外はデータ化(その後に処分)しても良いとしている。
詳しい考え方は別の記事で紹介しているので参考にしてほしい。(参考記事:“ちょい置き”した紙は9割が不要!やめるだけで財産の管理能力アップも?専門家伝授の失敗しない整理方法)
例えば、健康診断の結果、学校の年間予定表などはデータ化してもOK。紙類を仕分けたら、実際にスキャンとデータ化をしていく。やり方はいろいろあるが、初心者はスマホカメラで撮影し、ネット上のサービスに保存するだけでも十分だそう。
この記事の画像(8枚)石阪さんが保存先として勧めるのが「Google ドライブ」「Google Keep」だ。Google ドライブはファイルなどをネット上に保存できるサービスで、搭載しているスキャン機能が便利。
紙類をスマホカメラできれいに撮影するのは意外と難しいが、スキャン機能を活用すれば、紙部分のみを切り抜き、傾きを自動補正した状態で撮影できる。複数の撮影物をひとつのPDFファイルとして保存できるので、書類などもデータ化しやすい。
検索機能を活用できると後がラク
Google Keepは写真、メモ、音声などをネット上に保存できるサービス。データにキーワードやラベルを設定でき、検索機能が優れているのが特徴だ。
写真をアップロードする際、タイトルやメモを一緒に残せるので、撮影した紙類の内容に関連したキーワードを設定すれば、後からでも簡単に検索できる。「見たいデータがどこにあるか分からない」といった状況を心配しなくてもよくなるのだ。
「長い言葉、難しい言葉だと思い出せなくなるので『仕事』『片づけ』『家事』といった、簡単な言葉で良いです。検索で引っかかるよう、設定してみてください」
このほか、Google ドライブやGoogle Keepには、撮影物の文字をテキストにおこす機能もある。読み取った文字情報から作成しているため、誤字脱字の可能性は注意しなければならないが、紙類の情報を出力したくなったときに役立つはずだ。
大事なデータには“保険”をかける
スキャンしたデータの消失が心配で、紙類を処分できない人もいるはず。悩ましい問題だが対処法はシンプルで、異なる2つのサービスに保存して“保険”をかけるのが石阪さん流。
仮に片方のデータが消えたりしても、もう片方がバックアップになる。注意点は保存したデータを修正・更新する場合、両方にきちんとアップロードしなければならないこと。
「管理は手間になりますが、大事なデータは2カ所に保存することをお勧めします」
USBメモリやSDカードに残す方法もあるが、どれに何を保存したか分からなくなったり、保存した端末をなくす可能性がある。こちらは“予備の予備”程度に考えておこう。
思い出の品はSNSの専用アカウントに
記憶に残る手紙、子供が描いた絵などの紙類も、年数を重ねると量が増えてくるもの。こうした思い出の品は残したい一方で場所をとってしまうが、どうすれば良いのか。石阪さんは、インスタグラムなどのSNSに思い出の品を残すための専用アカウントを作り「データ化して保存すると、整理がしやすくなるかもしれない」と話す。
保存はGoogle Keepなどにもできるが、SNSは手軽さや見やすさ、その他の紙類と差別化できることからお勧めという。
「紙類だけではなく、子供の工作なども写真や動画で残せます。他人に見られないように設定できるSNSもあるので、試してみてはいかがでしょうか」
もちろん思い入れが強い紙類があるなら、手元に残しておこう。家のスペースや紙類の量と相談しながら、整理するかどうかを検討するといい。今回伝えたポイントも参考に、紙片づけに挑戦してみてはいかがだろうか。
石阪京子
片づけアドバイザー、宅地建物取引士、JADP心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。夫と不動産会社を起業後、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけの提案を始める。独自のメソッドで片づけに成功した家は1000軒以上に上る。
現在は収納監修、片づけレッスンのほか、全国各地でトークイベントやオンラインセミナーを開催し、多くの女性に暮らしの整え方のアドバイスを送っている。