日本初の民間発射場から打ち上げられた小型ロケット「カイロス」。発射直後に爆発し、打ち上げは失敗に終わった。打ち上げを行ったスペースワンは会見で、経路がずれた場合などに自動的に爆発する「自律飛行安全システム」が作動したと説明。そして、「ここで諦めることなく前に向かって進む。出発点に立ったつもりで頑張るつもり」と決意を新たにした。
全長18mの小型ロケットが爆発
13日午前11時1分、本州最南端の町、和歌山・串本町にある民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられた、全長18mの小型ロケット「カイロス」。

しかし、発射から5秒後に爆発し、打ち上げは失敗に終わった。
「カイロス」は民間の発射場から打ち上げられる日本初のロケットで、搭載している政府の小型衛星を軌道に投入できれば、民間単独ではこちらも国内初となるはずだった。
「カイロス」に一体何が起こったのか。
「残念!ショック!」
午前11時1分12秒に発射されて、炎を上げながら上空へ進んでいったロケットは、わずか5秒後、機体が炎に包まれ爆発。

白煙が広がるなか、破片の一部は発射場付近に落下し、火災が発生。炎は複数の場所で激しく立ち上り、爆発の大きさを印象づけたが、火災によるけが人などは確認されていない。
発射の瞬間を撮影しようとスマートフォンを向けていた見物客は、爆発してしばらくの間、状況が飲み込めない様子でぼう然とするばかりだった。

予定では森の向こうからロケットが上昇してくるはずだったが、「ドン」という大きな音が響き、煙が立ち上るだけで機体は見えない状態。

会場に流れた「発射点火後に爆発して機体がバラバラになった」というアナウンスで、異変の真相を知らされた。アナウンスを聞いた見物客からは、「え~。うそ…」と、落胆する声があがった。

打ち上げを見るために集まっていた地元の小学生たちも、「えー!残念!ショック!」「成功してると思っていたけど、途中でバーンっていったから。何年もかけてロケットを作ったのに失敗に終わったので残念だなと思いました」と落胆した表情を見せていた。
発射の瞬間を現地で見守ったというロケット専門家・和歌山大学の秋山演亮教授は、爆発の原因について、「打ち上げからしばらくして、機体の中心ぐらいからオレンジ色の光が出てきたので、これはダメだなと思って。異常を検知して破壊指令を自動的に出したという感じがします」と推察した。
「出発点に立ったつもりで頑張る」
打ち上げを行ったスペースワンは13日午後に会見を開き、経路がずれた場合などに自動的に爆発する「自律飛行安全システム」が作動したと説明。そもそもの原因については、対策本部を立ち上げて調査を始めているとした。

今後の打ち上げについてはあくまで前向きだ。スペースワンの豊田正和社長は、「期待に添えなかったことに対して、大変申し訳なく思っています。地元の方に対しての私どもの最大の貢献は、次なる時にミッションを達成することです。ここで諦めることなく前に向かって進む。出発点に立ったつもりで頑張るつもりです。よろしくお願いします」と決意を述べた。
(「イット!」 3月13日放送より)