2023年に始まった富山湾の海中で酒を熟成させるプロジェクト。沈めてから3カ月、熟成期間が終わった酒が初めて引き上げられた。能登半島地震を乗り越えた「海中熟成酒」は、海を感じる見た目に仕上がっていた。

富山湾で“海中熟成酒”プロジェクト

3月11日朝、能登半島地震の影響で地割れの被害が残る富山・氷見市の宇波漁港で、初めて取り組んだ“海中熟成酒”の引き上げ準備が進められていた。

この記事の画像(14枚)

氷見・大宮海中熟成復興絆酒実行委員会の松原勝久会長は、「大丈夫だろうと、期待を込めて、願って行きたいと思う」と話した。

気になるのは、熟成の開始後に発生した地震の影響だ。期待と不安の中、500メートル沖合に向かった。

日本酒やワインが富山湾に沈められる様子
日本酒やワインが富山湾に沈められる様子

プロジェクトがスタートしたのは、2023年12月。氷見沖の海中に氷見と大宮の日本酒やワイン約600本が沈められた。交流を深めている氷見市と埼玉県さいたま市の経済団体が共同で取り組むプロジェクトで、富山湾では初めての海中熟成酒をつくろうという試みだ。

海中熟成酒は、紫外線が届かず安定した温度や波による振動もあって、独特な味わいが期待できるとされている。

被害なく「完璧」 100本を引き上げ

海中に沈めてから3カ月がたった2024年3月11日、水深15メートルで熟成した100本の酒が海から引き上げられた。

引き上げられた酒は、氷見と大宮の地酒、梅酒、芋焼酎の4種類。地震や潮流の影響もなく、1本も割れていなかった。また、酒瓶にはフジツボが付着し、海を感じる見た目に仕上がっていた。状態を確認した氷見・大宮海中熟成復興絆酒実行委員会の松原会長は、「いいね、完璧。あとは味ですね。フジツボ付きデザインもいいね」と笑顔を見せていた。

氷見・大宮海中熟成復興絆酒実行委員会 松原会長:
上がってくるまでは、どうなるか心配していたが、引き上げた時はうれしかった。地震もあったけど、明るい希望が湧いてきた。海中熟成酒を話題にしてもらい、地元の復興やみなさんの元気につながるようにしていきたい

地震を乗り越えて無事引き上げられた海中熟成酒は、3月下旬にも開かれるお披露目会で試飲されることになっている。

今回引き上げられたのは、約600本沈められたうちの約100本で残り約500本は、1年ものとして、2024年11月末から12月にかけて引き上げられる予定だ。

(富山テレビ)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)
富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。