富山・氷見市と埼玉・さいたま市大宮地区の経済団体が、氷見沖に日本酒やワイン600本余りを沈めて「海中熟成酒」をつくる共同プロジェクトを始めた。重しの調整など難航したが、約100本を水深15メートルの海底に、約500本を35メートルの海底に沈めることができた。2024年に試飲イベントを開催予定だ。

海底に地酒を沈めることに難航

「氷見・大宮海中熟成絆酒」と銘打つこのプロジェクトは、氷見と大宮の商工会議所や商店街などの経済団体が、10年ほど前から互いに視察をしあうなどで交流を深めたことをきっかけに行われた。

地元の漁師が地酒を沈める様子
地元の漁師が地酒を沈める様子
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5日朝、両地域の日本酒や焼酎、ワインなど632本が漁船に積み込まれ、船は氷見沖の定置網に向けて出港した。岸から約10分ほどの定置網に到着すると、このプロジェクトに協力している地元の漁師が、網に酒の入ったケースをロープでくくりつけて沈めていく。

リポーター:
氷見沖の海底に、いまゆっくりと氷見と大宮の地酒が沈められていきます

しかし、酒は思うように沈んでいかず、乗組員は「想定外」と話した。

重しをつけられた酒の入ったケース
重しをつけられた酒の入ったケース

対策として、岸から砂の入った重しを持ってきてケースにくくりつけて再チャレンジしたが、また浮いてしまい、なかなか沈んでいかなかった。

その後、重しの位置を調整したり、酒のケースを固定するためにつけられていたパレットと呼ばれる台に穴を空けて空気を抜くなどして、作業開始から約1時間後、4度目の挑戦で、ようやく沈ませることに成功した。

海中熟成酒は独特な味わいに?

このプロジェクトの実行委員会などによると、海底近くは紫外線が届かず、水温が低く安定していることや、波による振動があることから独特な味わいになると、全国では、海中熟成酒づくりに取り組む地域が増えているというが、富山湾では初めてという。

5日、海中に沈められた酒のうち、約100本を水深15メートルの海底で3カ月熟成、約500本を35メートルの海底で1年間熟成させることにしている。

2024年に関係者で試飲イベントを開催予定

2024年2月には、大宮の関係者も招いて、寒ブリと一緒に3カ月モノの熟成酒を味わうイベントを開くことにしている。

大宮の商店街振興に携わる今井良治さん:
大宮が持っていないものをすべて氷見は持っている。山も海も自然も。どのように味が深まるかを非常に楽しみにしている。

氷見・大宮海中熟成絆酒実行委員会 小清水勝則さん:
波に揺られながら富山湾が育ててくれる酒は、まろやかになるんじゃないかと予想はしながら、変化がどうなるか期待したい。日本全体とつながる地域である大宮が氷見に向いてくれている。この輪がもっと広がって、氷見のことが知れ渡り、大宮との絆が深まるきっかけに、お酒がなればいい。

今回つくられる海中熟成酒は関係者の分しかなく、一般販売は行わないということだが、出来をみて2024年以降は沈める本数を増やし、商品化なども検討していきたいという。

(富山テレビ)

富山テレビ
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