2月9日に静岡県の浜名湖で男子高校生の遺体が見つかった殺人事件は20日に大きな局面を迎えた。県警は傷害と監禁の疑いで男2人を、監禁容疑で少年3人を逮捕。殺害への関与も視野に全容解明に向け調べを進めている。

未明の“友人宅”で何が?傷害のち監禁

逮捕されたのは浜松市中央区に住む無職の男(21)、フィリピン国籍で無職の男(18)、ブラジル国籍で土木作業員の少年(17)、塗装工の少年(17)、会社員の少年(17)の計5人だ。

男2人は2月5日の明け方、死亡した中国籍の男子高校生(17)を殴るなどしてケガをさせた上、車に閉じ込めた傷害と監禁容疑、少年3人は男2人とともに監禁に関与した疑いが持たれている。

これまでに男子高校生は4日午後7時頃、家族に「遊びに行く」と告げて外出し、5日未明には浜松市中央区にある友人宅を訪れていたことがわかっていて、県警の捜査本部によれば同じ時間帯に逮捕された5人のほか、さらに複数人もこの家にいたそうだ。

捜査本部による会見(2月20日)
捜査本部による会見(2月20日)
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しかし、暴行を受けた状況については「時間・場所ともに近接していると考えている」と述べるだけで、何らかの凶器が用いられたのかも含めて犯行の態様を明らかにしていない。

男子高校生が訪れていた友人宅を調べる捜査員
男子高校生が訪れていた友人宅を調べる捜査員

ただ、捜査関係者によれば顔にもあざがあったことが確認されているほか、男子高校生は友人宅に滞在中、バイクを転倒させたことがきっかけで持ち主とトラブルになっていたようで、近隣住民は警察から「騒いでいるようなことがあったか?」「大きな声が聞こえたか?」といった質問を受けたと証言する。

監禁後の動きは?殺害関与も視野

監禁は暴行後に「傷害事件と近接した浜松市中央区内」で行われたと見られていて、使用された車は5人の中の1人が日常的に使用していた普通乗用車だった。

犯行がどれくらいの時間に及んだのか、そして、どのようにして車内に閉じ込めていたのかは明かされていないものの、逮捕容疑が死体遺棄ではなく監禁であることから当然この時点で男子高校生は生きていたと考えられていて、県警刑事部の田中憲二 参事官は「監禁の後に殺害されたと判断している」との見解を示している。

一方で遺体が見つかったのは約20キロも離れた湖西市に面する浜名湖の湖畔。それも死因は溺死で、携帯電話や財布も見つかっていない。

遺体が発見された現場付近
遺体が発見された現場付近

このため、捜査本部は5人が殺害事件に関与した可能性も視野に入れ、監禁後の行動などについて調べている。

田中参事官によると、5人のうち一部は男子高校生と面識があったものの全員が顔見知りだったわけではなく、また、5人の関係性についても「面識があった者もいる」ことは把握できているが、詳細に関しては今後捜査していく方針だ。

なお、認否については「捜査に支障があるため回答を控える」と述べている。

事件前後の経緯や経過

2月4日午後7時頃:
男子高校生が家族に「遊びに行く」と告げて外出

2月4日夜:
男子高校生が男性と2人で浜松市の繁華街を歩く姿を知人が目撃

2月5日未明:
男子高校生が浜松市中央区の友人宅を訪問

2月5日明け方:
無職の男(21)とフィリピン国籍の男(18)が男子高校生を殴るなどしてケガをさせた上、少年3人とともに男子高校生を車内に監禁

2月5日:
男子高校生がアルバイトを無断欠勤

2月9日午後3時半過ぎ:
釣り人が浜名湖に浮く男子高校生の遺体を発見

2月10日:
男子高校生の親族が身元を確認

2月13日:
司法解剖の結果、死因は溺死と判明。県警が100人体制の捜査本部を設置

2月20日:
無職の男(21)とフィリピン国籍の男(18)を傷害と監禁容疑で、ブラジル国籍の土木作業員を含む少年3人を監禁容疑で逮捕

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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