北九州市の飲食街で起きた大規模火災から約1カ月。「小倉の伝統の味を絶やしたくない」と、被災した店主が新たな一歩を踏み出した。

再開の見通し立たたず…イベントで「一歩を」

2024年2月3日、JR小倉駅で開かれた旅行ガイドブック「地球の歩き方・北九州市版」の発売イベント。「東筑軒」のかしわめしなど、北九州の名物グルメが大集結する中、名物のひとつ“焼うどん”発祥の店「だるま堂」も出店した。

「だるま堂」3代目・竹中康二さん(55)
「だるま堂」3代目・竹中康二さん(55)
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鉄板を前に切り盛りする、だるま堂3代目の竹中康二さん(55)。この日に向けては、並々ならぬ思いがあったという。

「だるま堂」3代目・竹中康二さん:
火事からちょうど1カ月ですし、その間、皆さんに焼うどんをご提供できなかったので…

2024年1月3日、北九州市小倉北区の鳥町食道街で発生した大規模火災。火は隣接する魚町銀天街にも燃え広がり、36店舗、約2,700平方メートルが焼失した。「だるま堂」も被災した店の一つだ。

火災のあった1月、竹中さんは涙を拭きながら「先代に申し訳ない」と話していた。

火災から1カ月が経過しようとしていた2月2日になっても、がれきは手つかずのまま。「再建はこの場所で」と誓ったものの、営業再開の見通しは立っていなかった。それでも、「一歩踏み出したい」とイベントでの出店を決めたのだ。

「いろんなお声を頂いた皆さまにお答えする意味でも、2月3日(イベントの日)は1人でも多くの方に焼うどんを提供できたらなって」と、竹中さんは思いを語った。

ひと月ぶりの復活で大盛況

迎えたイベント当日の2月3日。「おいしいです!」「さすが発祥の地ですね!」1カ月ぶりに復活を遂げた「だるま堂」には客がひっきりなしに訪れていた。
「火事の後、初めてという面では感慨深い」と話す竹中さん。

そして、北九州市の老舗デパート・小倉井筒屋から「1日でも早い復活を」と出店の打診があり、小倉井筒屋での営業再開が発表された。

「だるま堂」3代目・竹中康二さん:
いつ鳥町食道街が復興するのか見えないものですから、それまで焼うどんの味を提供できないわけにもいかない。必ず鳥町食道街には、創業の時と同じように焼うどんを提供できる日を1日も早く実現させたいと

伝統の味、「焼うどん」をより多くの人の届けるため、歩みを進める竹中さん。小倉井筒屋での再開は4月中旬の見通しだ。

(テレビ西日本)

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