近年購買力のあるマーケットとしても注目が高まっているタイ。世界ブランドのベビー用品を目指すリッチェルが、東南アジアの販売強化へ現地法人を立ち上げた。ニーズをキャッチし素早く販売へつなげる独自の戦略で挑んでいる。
製造業の拠点だけではないタイ

東南アジアでいちはやく近代化に成功したタイ。
経済成長に伴って、国民の所得も増加している。部長クラスの年収は、日本企業よりも高いと言われるほどだ。

製造業の拠点としてだけではなく、近年は購買力のあるマーケットとしても注目が高まり、東南アジアにおいて、最も多くの富山県の企業が進出している。

首都・バンコクの中心部に位置する、アジア最大級の百貨店。

ベビー用品コーナーの一角に置かれているのが、富山市に本社をおく、リッチェルの商品。

リッチェルはプラスチック製品の総合メーカーで主力のベビー用品の安定供給と東南アジアへの販売強化のため2020年にベトナムに工場を設立。タイには、2021年に現地法人を立ち上げた。
ニーズをキャッチし、素早く販売へ
百貨店への出店で富裕層へのブランディングに成功したいま、次に狙うのは、ボリュームの大きな中間層だ。
そのために力を入れているのが「ソーシャルコマース」。

様々なSNSを通じて、買い手と売り手が直接、商品やサービスをやりとりする販売方法で、リッチェルではスタッフ自ら配信を行っている。
スマートフォンの普及率が95%を超えるタイで、最も影響力のある手法として注目されている。

リッチェル 下光幸さん:
「それぞれの担当を持ちながらみんながセールスをやっているような感じですね。少ないメンバーだからできると思うんですけど、この商品どうだみたいなカタログみたいなイメージだと伝わらないんですよ。でも皆さんやっぱり携帯でその場でちゃんとメッセージをダイレクトに伝えてくれないとやっぱり飛ばされるというか、見られないんですよ」
ニーズをキャッチし、素早く販売へつなげる。
現地の拠点だからこそできる独自の戦略で、認知度を高め、売り上げを着実に伸ばしている。
そして中間層獲得に向けて、リッチェルはさらなる手を打っていた。
現地拠点の独自戦略で、世界ブランドへ

バンコク郊外の町・チョームトーンにある、とある店。
外からはどんな店かわからないが、中を覗いてみると、大量のベビー用品が所狭しと並んでいた。

実はここ、地元では有名なベビー用品店。
まちのベビー用品店とあなどることなかれ。
中間層への売れ行きは百貨店をしのぐほど好調だ。

リッチェル アピポンさん:
「在庫はここだけじゃなく、隣に3階建ての倉庫があって多くの商品がそこにある」
この知られざる人気店を見つけたのは、マーケティングを担当するアピポンさん。
ネットには載っていない情報を足で稼ぎ、店と信頼関係を築くことで新たな販路を獲得した。
リッチェル 下光幸さん:
「やっぱり信頼関係がないとは入れないし、(人気店だと)分からない。パッと見た目ここがすごいお店なんてわからないんで、それはやっぱり現地法人と現地パートナーならでは」
地道な販路拡大とソーシャルコマースで客の心をつかむ、リッチェル。
現地拠点の強みを生かした戦略で、世界ブランドを目指す。

リッチェル 江本千之社長:
「日本品質、ブランドだけでは通用しない。競合環境も変化が激しい市場ですので、現地のニーズをいかに素早くくみ取って、現地のお客様に現地の言葉で届けられるよう進めたい」
11の国がある東南アジア。総人口は6.7億人。ASEAN・東南アジア諸国連合ができた1967年、230億ドルだったGDPは、今や約3兆ドルと100倍以上に達している。世界から東南アジアに熱い視線が注がれる中、富山の企業はどのような戦略で挑むのか。発展が著しい東南アジアで奮闘する富山の企業を紹介する。
(富山テレビ)